このクイズの解答は...
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わかりました?
こちらのクイズの正解は、①収益性です。
テーマパーク事業を運営するオリエンタルランドは、収益性が高い一方、効率性はそこまで高くありません。
このように、企業のROAを分解することで、どのような要素に企業の強みがあるのかを把握することができます。

ROAとROEの違いは?
ROAと似た指標にROEという指標があります。
この2つの指標はどのような違いがあるのかを順を追って解説します。
ROEは自己資本を使った収益性の指標
ROEとは「Return On Equity」の略で、株主が出資した資本を元手に、企業がどの程度の利益を生み出したかを示す投資収益性の指標です。
ROAは企業のすべての資産を分母にするのに対し、ROEは企業の株主資本を分母にする違いがあります。

ROEでは負債の利用度が考慮される
ROEを分解すると、売上高利益率、総資産回転率に加え財務レバレッジが追加されます。
財務レバレッジとは、企業の総資産が自己資本の何倍となるのかを表す指標です。企業が負債をどの程度利用してビジネスを行なっているかを意味しています。
ROEは、上記の3つの指標の掛け算であるため、企業の総合力を分析する重要な指標と言われています。

ROEについて、より詳しく知りたい方は下記の記事もおすすめです。

ROA(総資産利益率)の目安
ROAの考え方はシンプルです。ROAの数値が高ければ高いほど、効率よく利益を生み出していると判断されます。
しかし、より重要なことは数値の背景までをセットで考えることです。ROAの高低のみを見るのではなく、「なぜそのような数値になるのか?」のように、ビジネスの背景までを理解することでより深い示唆を得ることができます。

ROA(総資産利益率)を使用する際の注意点
ROAを使用する際には注意点が2つほどあります。
1つ目は、ROAが企業実態を反映しないケースを知ることです。
例えば、資産に計上されない資源(企業の社員や、会員数など)が競争優位を生み出す企業では、ROAが企業の実態を反映し難い傾向があります。

ROA(総資産利益率)の業種平均
2つ目は、異業種での比較です。
下記の図を見ると分かる通り、業界業種ごとにROAの平均値が異なります。
そのため、安易に異業種での比較をしてもROAの数値が比較対象として意味をなさない場合があります。

ROA(総資産利益率)の企業事例
それではここから実際の上場企業を事例にROAの読み方を解説します。
企業事例から読み取るROA:装置型産業
まずは「ディズニーランド」でおなじみのオリエンタルランドの事例です。
今回は、適切なROAの数値を出すためにコロナ前の数値を使用します。
オリエンタルランドのROAは9%となります。このROAを分解し、オリエンタルランドの成長ドライバーを把握していきます。
オリエンタルランドは売上高営業利益率が非常に高く、ROAを構成する収益性が優れていることが分かります。
一方、テーマパーク等の設備を使って売上を上げているため、総資産回転率は0.45と1を下回り低くなっています。

従って、オリエンタルランドのROAは、高い営業利益率が土台にあることが読み取れます。
企業事例から読み取るROA:小売業
次に、薬局を運営するクスリのアオキHDを見ていきましょう。
クスリのアオキHDは商品を仕入れて販売する小売業です。
クスリのアオキHDのROAも、オリエンタルランドと同様に9%となります。しかし、ROAを分解すると、効率性が非常に高く、オリエンタルランドとは成長ドライバーが全く異なることがわかります。
クスリのアオキHDはいかに多く販売するかが重要であるため営業利益率は低いものの、総資産回転率は非常に高くなります。

企業事例から読み取るROA:まとめ
どちらもROAの数値が9%でしたが、売上高利益率と総資産回転率に分解するとそれぞれの企業の成長ドライバーを把握することができます。
ぜひ他の企業でも試してみて下さい!
ROA(総資産利益率)の調べ方
最後にROAの調べ方を紹介します。ROAの調べ方は主に2つありますので、好みで使い分けてください。
ROAの調べ方:企業の概況
有価証券報告書の第一部【企業情報】を開いてください。
【主要な経営指標等の推移】の中から、次の項目を取得します。

これらの数値をもとに、ROAを計算することが可能です。

ROAの調べ方:経理の状況
次に、2つ目の調べ方を紹介します。
有価証券報告書の第一部【企業情報】の中の、第5【経理の状況】を開いてください。
貸借対照表と損益計算書の中から、次の項目を取得します。

経理の状況に掲載されている数値をもとに計算することで、より具体的なROAの数値を求めることができます。

ROA(総資産利益率)のまとめ
以上、ROAの解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
指標を比べ差が出ることが分かったら、次はその原因がどこにあるのかを分解式などを用いて調べることで、より深い企業分析を行うことができます。
ぜひ参考にしていただけると幸いです。
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