この記事では企業分析を行う際に、役に立つ経営指標の意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
流動比率とは?
企業の短期的な支払い能力から財務健全性を測る指標である「流動比率」を解説します。
それでは、実際の企業の流動比率をクイズを通じて確認してみましょう。
今回は、メルカリと任天堂の流動比率を比較します。

このクイズの解答は...
(下記のボタンを押して回答できます)
メルカリ(アプリ運営会社)
任天堂(ゲーム会社)
わかりましたか?
ぜひ、友達や同僚とも一緒に考えてみましょう。
それでは正解の発表です。
正解は任天堂です。
メルカリも任天堂も共に、現金の比率が高く流動資産が大きい企業です。
一方、両者の流動負債には違いが存在します。
メルカリは顧客からの預り金が多く、その結果、流動負債も大きくなります。
その結果、流動負債の金額が小さい任天堂の方が流動比率は大きくなります。
- メルカリの流動比率(流動資産3,034÷流動負債2,247=135)
- 任天堂の流動比率(流動資産21,262÷流動負債5,930=393)
それでは、ここからは、流動比率の指標を解説します。
流動比率の使い方
流動比率とは、企業の短期的な支払能力を表す代表的な指標です。
「流動資産が流動負債の何倍あるか」を示しており、流動比率の数値が高いほど、安全性が高いと判断します。
流動資産と流動負債を比較して算出
流動比率は、下記の計算式で算出します。
(流動資産÷流動負債)×100=流動比率(%)
ここで、流動比率の計算で使う、「流動資産」と「流動負債」について、簡単に概要を説明します。
流動資産の解説
まずは、流動資産についてです。
流動資産とは、短期で現金化できる資産のことをいいます。
流動資産の中身には、次のようなものがあります。
- 現金及び預金
- 売上債権
- 棚卸資産
流動負債の解説
次に、流動負債についてです。
流動負債とは、1年以内に支払期限が訪れる負債のことをいいます。
流動負債の中身には、次のようなものがあります。
- 短期借入金
- 1年以内返済予定社債
- 事業負債
流動比率の目安は?
流動比率は、「100%以上」が望ましい水準となります。
その理由を説明するため、「流動比率が100%以上」の場合と、「流動比率が100%以下」の場合に分けて話を進めます。
流動比率が100%以上の場合
流動負債よりも流動資産の方が多い状態を表します。
1年以内に支払期限が到来する流動負債を賄うだけの、十分な流動資産を持っていることになるため、安全性が高いと言えるのです。
流動比率が100%以下の場合
流動負債よりも流動資産の方が少ない状態を表します。
もし、急に流動負債の全額返済を迫られた場合、流動資産をすべて現金化したとしても、返済しきれません。資金が不足して倒産という事態にもなりかねないので、安全性が高いとは言えません。
以上の理由から、流動比率は「100%以上」が望ましいと言えます。
流動比率を見る際のポイント
ここからは応用的な流動比率の使い方となります。
流動比率を見る際のポイントは主に2つあります。
- 流動資産を構成する、棚卸資産と売上債権を考慮する
- 流動負債を構成する、前受収益を考慮する
流動資産の中身を考慮する
流動比率は、流動資産の合計額を使って計算するため、流動資産の中身については考慮されていません。
流動資産には、棚卸資産や売上債権が含まれるのですが、これらの資産には「現金化できない可能性」があります。
従って、それぞれを考慮したうえで、指標を確認する必要があります。
流動資産には、上記で説明したような特徴があるため、流動比率はあくまで簡易的な指標として使いましょう。
また、類似指標である当座比率は、流動比率より厳密に安全性を測定します。
上記指標を学びたい方は下記の記事もおすすめです。
流動負債の中身を考慮する
流動資産と同様、流動負債の中身にも目を向けましょう。
よくある例が、流動負債の多くが返済不要の「前受収益」で構成されている場合です。
この場合には、流動比率が100%以下でも問題無い可能性があります。
前受収益とは、サービスの対価を前払いで受け取った場合に発生する勘定科目です。
現金の支出を伴わない負債科目であるため、流動比率の計算の際には、流動負債から除外しても問題ありません。
流動比率の調べ方とは?
流動比率の計算に必要な、流動資産と流動負債の取得方法を紹介します。
有価証券報告書から流動比率計算する
有価証券報告書の第一部【企業情報】の中にある、第5【経理の状況】を開いてください。貸借対照表が掲載されているので、そちらを開きます。
それぞれの数値を取得できたら、計算式に当てはめることで、流動比率を計算できます。
流動比率のまとめ
以上、流動比率の解説でした!
流動比率は、企業の短期的な支払能力を測る、代表的な指標です。ぜひ、分析に取り入れてみてください。
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