この記事では企業分析を行う際に、役に立つ経営指標の意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
当座比率とは
企業の短期的な支払い余力から財務健全性を測る指標である「当座比率」を解説します。
それでは、実際の企業の流動比率をクイズを通じて確認してみましょう。
今回は、古本屋を運営するブックオフグループホールディングスと、名刺管理サービスを運営するSansanの流動比率を比較します。
2023.3.3に更新
大手町のランダムウォーカー
トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。
この記事では企業分析を行う際に、役に立つ経営指標の意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
企業の短期的な支払い余力から財務健全性を測る指標である「当座比率」を解説します。
それでは、実際の企業の流動比率をクイズを通じて確認してみましょう。
今回は、古本屋を運営するブックオフグループホールディングスと、名刺管理サービスを運営するSansanの流動比率を比較します。
この記事では企業分析を行う際に、役に立つ経営指標の意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
企業の短期的な支払い余力から財務健全性を測る指標である「当座比率」を解説します。
それでは、実際の企業の流動比率をクイズを通じて確認してみましょう。
今回は、古本屋を運営するブックオフグループホールディングスと、名刺管理サービスを運営するSansanの流動比率を比較します。
このクイズの解答は...
(下記のボタンを押して回答できます)
ブックオフGHD(古本屋)
Sansan(名刺管理サービス)
わかりましたか?
ぜひ、友達や同僚とも一緒に考えてみましょう。
それでは正解の発表です。
正解はSansanです。
ブックオフは、流動資産は大きい特徴があります。しかし、流動資産の大部分が書籍の在庫であるため、棚卸資産が大きくなります。その結果、当座資産は流動資産に比べ、大きく小さくなり、それに伴い当座比率も小さくなります。
一方、Sansanは、流動資産の中身の大部分が現金等です。従って、流動資産と当座資産は近似するため、流動比率とほとんど変わらない当座比率となります。
それでは、ここからは当座比率の使い方を解説します。
当座比率とは、企業の短期的な資金の余裕度を調べる指標です。
支払期限までが短い「流動負債」に対して、企業の支払い原資である「当座資産」をどれだけ保有しているかを表します。
当座比率は、下記の計算式で算出します。
( 当座資産÷流動負債 )×100=当座比率(%)
この数値が高いほど、短期的な負債に対する支払いの余裕度が高く、安全性が高い企業だと判断できます。
当座資産とは、流動資産よりもより現金化しやすい資産のことをいいます。
当座資産の中身には、次のようなものがあります。
当座比率は、「100%」がひとつの目安となります。
その理由を説明するため、「流動比率が100%以上」の場合と、「流動比率が100%以下」の場合に分けて話を進めます。
当座比率が100%以上ある企業は、流動負債よりも多くの当座資産を持っています。万が一、短期的な負債の決済を迫られたとしても、当座資産で返済可能です。
資金不足には陥いる可能性が低いため、安全性が高い企業と言えるでしょう。
対して、当座比率が100%以下の企業はどうでしょうか。
流動負債をまかなえるだけの当座資産を持っていないため、急な決済を迫られた場合には、資金が足りずに倒産する危険性があります。
当座比率を使って分析する際には、流動比率との違いを意識しましょう。
流動比率には、短期間で現金化できない「棚卸資産」が含まれています。
従って、厳密な短期の支払能力を把握したい場合には、流動比率は適しません。
そこで、流動比率の代わりとなるのが、当座比率です。
当座比率の計算では、流動資産から棚卸資産を除外した「当座資産」を使います。
棚卸資産を除外する理由は、棚卸資産は短期間での現金化が難しい場合があるためです。
棚卸資産が短期間で現金化が難しいと考えられる理由は下記の2点です。
そのため、より厳密に企業の支払い能力を見る際には、棚卸資産を除外した当座比率を使います。
下図のような企業を例に考えましょう。
流動比率が100%以上となっているため、一見、安全性が高いように思えます。
しかし、当座比率は100%を下回るため、安全性は低いという結論になります。
流動比率と当座比率に差が生まれる原因には、上記で解説した棚卸資産が関係していることが多いです。
企業の安全性を分析する際は、まず流動比率で簡易的に把握して、より厳密に測りたいときに当座比率を使うのがおすすめです。
当座比率の計算に必要な、当座資産と流動負債の取得方法を紹介します。
当座資産と流動負債の数値は、有価証券報告書から取得します。
第一部【企業情報】の中にある、第5【経理の状況】を開いてください。
貸借対照表の中から、次の項目を取得します。
あとは、計算式に当てはめれば、当座比率を算出可能です。
以上、当座比率の解説でした。
当座比率は、流動比率と同じで、安全性の分析で使える指標です。流動比率との違いは、その厳密さです。現金化に時間がかかる「棚卸資産」などを排除した上で、短期的な支払能力を見ています。
流動比率と比べるとマイナーな指標ですが、企業の短期的な支払能力を厳密に把握する際に役立ちます。
ぜひ、分析に取り入れてみてください。
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