配当性向とは?計算方法や目安についてわかりやすく解説
2024.5.7
企業が稼いだ利益をどれくらい株主に還元しているかを示す指標を配当性向といいます。配当性向は、投資家が銘柄を選ぶ際の判断材料として使われる重要な株式指標です。
この記事では、配当性向の意味や計算方法、目安についてを図解を用いて解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
目次
配当性向とは?
配当性向(はいとうせいこう)とは、当期純利益の中からいくらの配当金を支払っているかを表す指標です。
1年間で稼いだ利益からどれほど還元しているかを見る際に使います。
一般的に、この指標の数値が高いほど株主に多くの利益を還元していると判断し、逆にこの指標の数値が低いほどあまり利益を株主に還元していないと判断します。
配当性向の計算式
配当性向は、下記の計算式で算出します。
- 1株あたり配当額÷EPS×100=配当性向(%)
1株あたり配当額とEPS(1株あたり純利益)を比較することで、当期純利益に占める年間配当金の割合を見ています。
EPS(1株あたり純利益)とは
EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の1株あたり純利益を表す株式指標です。
EPSは、下記の計算式で算出します。
- 純利益÷発行株式数=EPS(円)
純利益を発行済株式数で割って計算することで、1株あたりの純利益を求めるができます。
配当性向の目安は?
それでは、配当性向を見る際の目安について解説していきます。
目安は50%以下
投資先の支払い余力が高いほど望ましいため、配当性向の目安は50%以下が好ましいです。
配当性向50%以下であれば、来期以降も継続して配当金を支払える可能性が高いと言えます。
配当性向が高すぎる企業は要注意
1株あたり純利益以上の配当金を出している配当性向100%以上の企業は、かなり無理をして配当金を支払っていると考えられます。
来期以降も継続して配当金を支払えない可能性があるため注意が必要です。
業種ごとの傾向
配当性向は業種ごとに異なります。
ITベンチャーなどの新興企業は、利益を将来への投資に回すため、配当金を出さない企業も存在します。そのため、配当性向が低いからといって、その企業は悪いと判断してはいけません。
一方、電気・通信などの成熟企業は利益を配当金に回すため、配当性向が高くなる傾向があります。
配当性向を見る際は業種ごとの傾向も踏まえて判断しましょう。
配当性向の使い方とは?
配当性向を見る際のポイントは主に3つあります。
- 過去の実績値と来期の予想値を確認
- 配当性向50%以下か確認
- 配当利回りと合わせて使う
過去の実績値と来期の予想値を確認
配当性向は常に一定ではありません。
企業の業績や市場の影響によって配当金額が変わります。
そのため、決算書から過去の配当性向と来期の予想値を確認しておく必要があります。
配当性向50%以下か確認
配当金の継続性の観点から配当性向は50%以下であることがベストです。
配当金>1株あたり純利益となるような配当性向100%以上の企業は、来期以降も継続して配当金を支払える可能性が低いため、投資先の企業を分析する際は確認しておきましょう。
配当利回りと合わせて使う
配当性向と合わせて配当利回りという指標を使うと、より分析の質が上がります。
配当利回りとは、現在の株価で株を買った場合に配当金で年間何%の現金収入が得られるかを表した指標です。
この指標の数値が高い方が株価は割安と言えます。
配当性向の調べ方とは?
それでは実際の指標の調べ方です。
今回は有価証券報告書を使って配当性向の数値を取りに行きます。
ステップ1:有価証券報告書を入手する
企業の配当性向を調べるには、まず、有価証券報告書を手に入れましょう。有価証券報告書は企業のIRページから入手することができます。
ステップ2:主要な経営指標等の推移を開く
次に、有価証券報告書の第一部【企業情報】の中の、【主要な経営指標等の推移】を開きます。
ステップ3:配当性向の数値を把握する
有価証券報告書の【主要な経営指標等の推移】の【(2)提出会社の経営指標等】から配当性向のデータを数年分把握することができます。
配当性向のまとめ
以上、配当性向の解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
配当性向は、当期純利益の中からいくらの配当金を支払っているかを表す指標で、目安は50%以下が望ましいとされています。配当性向を見る際は業種ごとに傾向が異なるため、その点は注意しましょう。
ぜひ、配当性向を実際の銘柄分析に活用してみてください!
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