配当利回りとは?計算式や目安についてわかりやすく解説
2024.4.29
株価に対して1年間で何%の配当金がリターンとして得られるかを表した指標を配当利回りといいます。配当利回りは、投資家が銘柄を選ぶ際の判断材料として使われる重要な株式指標です。
この記事では、配当利回りの意味や計算式、目安についてを図解を用いて解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
目次
配当利回りとは?
配当利回りとは、現在の株価で株を買った場合に配当金で年間、株価の何%の現金収入が得られるかを表した株式指標です。
基本的に、配当利回りが高いほど、株価は割安と評価されます。
配当とは
配当とは、利益の一部を株主に還元することをいいます。また、この還元されるお金を配当金と呼びます。
企業は、株主から出資してもらった資金を使って利益を上げ、そのお金の一部を株主に還元します。配当金の金額をいくらにするかは、決算日の後に開催される株主総会にて決定されます。
利回りとは
利回りとは、投資した金額に対する収益の割合のことをいいます。
たとえば、100万円を投資し5万円のリターンを得ることができれば、利回りは5%となります。
配当利回りの計算式
配当利回りは、下記の計算式で算出します。
- 1株あたり配当額÷株価×100=配当利回り(%)
1株あたり配当額と株価を比較することで、投資額を何年で回収できるかを見ています。
たとえば、1株あたり配当額が50円で株価が1,000円であった場合、
50円÷1,000円×100=5%
となります。
配当利回りの考え方はシンプルで、配当利回りの数値が高ければ高いほど、株価が割安であると判断できます。
下図の場合、配当利回りの高い企業Bの方が割安であると判断できます。
配当利回りを見る際のポイント
配当利回りを見る際のポイントは主に3つあります。
- 配当利回りの目安
- 株価と配当利回りの関係性
- 配当性向と合わせて使う
順を追って解説します。
配当利回りの目安は4%
一般的に、配当利回りの目安は4%以上が好ましいと言われています。
もちろん企業の業績等で配当金が減額されるリスクもあるため、参考の1つとして4%という数値を覚えておくぐらいが望ましいでしょう。
株価と配当利回りの関係性
配当利回りは、1株あたり配当額が増加し、株価が下落すると上がります。
逆に1株あたり配当額が減少し、株価が上昇すると配当利回りは下がります。
配当利回りは常に変動するため、投資判断をする際は下図の関係性を押さえておきましょう。
配当性向と合わせて使う
配当利回りは、配当性向という指標と合わせて使うと、より深い分析を行うことができます。
配当性向とは、当期純利益の中からいくらの配当金を支払っているかを表す指標です。この指標を使うことで、1年間で稼いだ利益からどれほど還元しているかを見ることができます。
配当利回りを使う際の注意点
配当利回りを使う際の注意点は主に3つあります。
- 配当利回りが低くても割高とは言い切れない
- 配当利回りの計算で使う配当額に注意
- 配当利回りが高すぎる銘柄は問題を抱えている可能性がある
順に解説していきます。
配当利回りが低くても割高とは言い切れない
配当利回りが低かったり配当金を出さなかったりする企業も中には存在します。
その場合、安易に割高とは言い切れない理由があります。
企業体質の強化や将来への投資のために利益を配当金に回さずに内部留保にする会社は配当利回りが低くなる特徴があります。
上記の理由は、将来的に利益が増加する可能性があるため割高とは言い切れません。
特に成長企業は、利益を配当金に回さず将来への投資に回すことがあるため、配当利回りだけで割安性を判断するのではなく他の指標も合わせて判断する必要があります。
配当利回りの計算で使う配当額に注意
株式投資は会社の将来を見越して行うものです。
そのため、投資検討する際は、1株あたり配当額は1株あたり予想配当額を使うのが基本となります。
ただし、あくまで予想値のため業績変化などにより予想の配当額と実際の配当額に差が生まれることがあるので注意が必要です。
配当利回りが高すぎる銘柄は問題を抱えている可能性がある
配当利回りが高すぎる銘柄は何かしら問題を抱えている可能性が高いです。
配当利回りが高い銘柄は主に3つの理由が考えられます。
- 株式市場が下落中の場合
- 業績悪化を株価が先取りしている場合
- 投資家から不人気の場合
株式市場が下落中の場合
1つ目の理由として、株式市場が下落中で企業実態よりも売り込まれている可能性が考えられます。
この場合は、一時的に配当利回りが高くなっている可能性が高いため特に問題はありません。
業績悪化を株価が先取りしている場合
2つ目の理由は、業績悪化による配当金の減少を株価が先取りしている場合です。
この場合は、工場閉鎖や事業撤退などの損失計上や市場環境の悪化による業績悪化などで将来に配当金が減少する可能性が高いと投資家が考えた場合、株価が下げ止まらない可能性があるため注意が必要です。
投資家から不人気の場合
3つ目の理由は、投資家から不人気で安値で放置されている場合です。
この場合は、理由①と同様、一時的に配当利回りが高くなっている可能性が高いため特に問題はありません。
配当利回りの調べ方とは?
それでは実際の指標の調べ方です。
今回は決算短信を使って配当利回りの計算に必要となる数値を取りに行きます。
ステップ1:決算短信を入手する
企業の配当利回りを調べるには、まず、決算短信を手に入れましょう。決算短信は企業のIRページから入手することができます。
ステップ2:配当額を取得する
次に、決算短信の【2.配当の状況】の欄から、来期の予想配当額の数値を取得します。
ステップ3:株価を取得する
次に、Yahoo!ファイナンス等の株価を把握できるサイトや証券会社のアプリなどで株価を取得します。
ステップ4:配当利回りを計算する
最後に、配当利回りを計算します。
決算短信で取得した1株あたり配当額をYahoo!ファイナンスで取得した株価で割った金額に100を乗じることで、配当利回りの数値を算出することができます。
配当利回りのまとめ
以上、配当利回りの解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
配当利回りとは、株価に対して1年間で何%の配当金がリターンとして得られるかを表した指標で、目安は4%以上が望ましいとされています。ただし、配当利回りが高すぎる銘柄はなにかしら問題を抱えている可能性があるため注意が必要です。
ぜひこれを機に、配当利回りを実際の銘柄分析に取り入れてみてください!
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