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【手元流動性】企業の短期的な支払い余力を測る指標

【手元流動性】企業の短期的な支払い余力を測る指標

2022.6.24に更新

手元流動性とは

手元流動性とは、企業の短期的な支払能力を分析する際に用いる指標です。
月商の何か月分の運転資金を持っているかがわかります。


手元流動性の計算式

(現金預金+短期有価証券)÷(年間売上高÷12か月)=手元流動性(月)
手元流動性とは

手元流動性の考え方

流動性の高い資産を売上と比較することで、短期的な支払い能力を測ります。
計算式の分子には、急な支払いが発生した際、その支払いに充てられる資金の総額が入ります。
具体的には、現金や換金性の高い資産(短期の有価証券など)です。
※売掛金や棚卸資産は、すぐには換金できないため、手元資金には含めません。

手元流動性は、「月商の3か月分」がひとつの目安となります。
3か月分の運転資金を持っていれば、仮に売上高がゼロになったとしても、事業の立て直しに踏み切るための時間的な余裕を確保できるからです。

また、「大企業なら1か月分の手元資金があれば良い」という目安もあります。
この根拠は、大企業は信用力があるため借入がしやすく、資金調達にはそこまで苦戦しないからだと考えられます。
手元流動性の基本的な考え方

手元流動性を見る際のポイント

・指標を見る際の注意点
・より厳密に見る際は、CFも確認
・指標が重要になる場合
の順で解説していきます。

手元流動性を見る際の注意点

手元流動性で安全性を測るときは、資金の調達元を確認する必要があります。
なぜなら、いくら多額の資金を持っていたとしても、調達方法によっては、運転資金として使えない場合があるからです。

例えば、資金を借入金でまかなっている場合が該当します。
長期借入金であれば、返済期限が数年以上先に設定されるため、問題ありません。
しかし、短期借入金で返済期限が迫っている場合は、企業が持っている現金や預金を、借入金の返済に充てなければいけません。
現金や預金を借入金の返済に充ててしまうと、当然ながら手元の資金が減ります。
この状態で、万が一急な支払いが発生した場合、支払いができずに倒産する可能性が出てきます。

そのため、手元流動性を調べる際は、現金や預金をどのように調達してきたか、直近で借入金返済などが起きないかなどを、確認すると良いでしょう。
手元流動性の資金

より厳密に安全性を見る際は、CFも確認

より厳密に資金を把握したい場合は、キャッシュフロー計算書に載っている「現金同等物」を確認しましょう。

なぜキャッシュフロー計算書の「現金同等物」の方が、厳密に把握できるのでしょうか。
理由は、貸借対照表とキャッシュフロー計算書では、現金の定義が異なるからです。

実は、貸借対照表に記載されている現金及び預金には、現金化に3か月以上かかる定期預金が含まれています。
これに対して、キャッシュフロー計算書に記載されている現金同等物は、3か月以内に現金化できる定期預金のみが含まれます。
つまり、貸借対照表に記載されている現金の方が、現金化までに時間がかかるかもしれないということです。

したがって、キャッシュフロー計算書の現金同等物を資金と考えた方が、「短期の支払い能力」として正しく実態を把握できます。
手元流動性をより厳密に見るには、CFを使う
現金の認識基準

手元流動性が重要になる場合

売上が変動しやすい企業は要確認

飲食店の場合、店舗が休業に追い込まれると、売上を獲得できません。

例えば、鳥貴族は2020年4月に、既存店売上高が前年同月比3.9%まで落ち込みました。原因は、新型コロナウイルス感染症の影響で店舗が休業したためです。
店舗が休業すれば、お客さんが入らないため、売上を獲得できません。そのため、毎月発生する店舗の賃料や人件費などは、企業が保有している資金を使って支払うことになります。
このような理由があるため、飲食店にとっては手元資金の確保がとても重要なのです。
手元流動性は売上が変動しやすい企業に有効

手元流動性が比較的重要ではない場合

東急不動産ホールディングスなど、不動産業の場合をみていきましょう。同社のビジネスモデルは、不動産賃貸業です。
そのため、飲食店とは違い、売上が突然ゼロになる事態は起きにくい業種と言えます。

なぜなら、賃貸不動産は毎月の賃貸料が決まっているため、解約されない限りは、毎期一定の売上高を確保できるからです。
このような理由から、手元資金の重要性は飲食業ほど高くはありません。

手元資金は、業種によって重要性が異なります。手元流動性比率を使って安全性を測る時は、分析している企業に「売上がゼロになる事態が起きるかどうか」を考えましょう。
案敵的な売上でも財務余力確認

手元流動性の調べ方

手元流動性の計算に必要な数値は、有価証券報告書を使って取得できます。

有価証券報告書の第一部【企業情報】の中にある、第5【経理の状況】を開いてください。
貸借対照表が載っています。こちらから、「現金及び預金」の額を把握できます。
なお、厳密に手元資金を把握したい場合は、キャッシュフロー計算書を見ましょう。
キャッシュフロー計算書の下の部分に、「現金及び現金同等物の期末残高」という項目があるので、こちらから数値を取得してください。
貸借対照表よりも厳密な手元資金を把握できます。

続いて、損益計算書から売上高の金額を取得しましょう。
売上高は、損益計算書の一番上に載っています。この数値を12で割れば、「月商」が計算できます。
これで、手元流動性の計算に必要な「手元資金」と「月商」を取得できました。あとは計算式に当てはめれば、手元流動性が算出できます。
手元流動性と有価証券報告書
手元流動性と有価証券報告書
手元流動性と有価証券報告書
手元流動性と有価証券報告書
以上、指標の解説でした。
手元流動性は、売上が大きく減ってしまうような危機的状況で、企業がどれだけの期間耐えられるのかを確認する指標です。
ぜひ安全性分析する際に使ってみてください。

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