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Apple・Tesla・Microsoftのビジネスモデルを解説

2024.4.29

Apple・Tesla・Microsoftのビジネスモデルを解説

この記事では、企業の儲けの仕組みについてを図解を通じてわかりやすく解説します。

今回は、米国の代表的なテック企業である「Apple」「Tesla」「Microsoft」の3社比較です。

世界のIT企業がどのように利益を生み出しているかを、数字を使って解説します。

会計クイズ:世界のIT企業編

会計クイズ:登場企業

最初に今回の登場企業の紹介です。

  • Apple(アップル)
  • Tesla(テスラ)
  • Microsoft(マイクロソフト)

この3社は、世界の代表的なテック企業です。

それでは各社のビジネスの特徴を簡単に紹介します。


Apple:事業内容

Appleは、知らない人はいないであろう「iPhone」や「Mac」などのプロダクトと、それに関連するサービスを展開しています。

Appleの売上高は、

  • iPhone 52%
  • Mac 10%
  • iPad 8%
  • Apple Watch等のウェアラブル製品やアクセサリーなど 10%
  • 関連サービス 20%

で構成されています。


Tesla:事業内容

イーロンマスクがCEOで有名なTeslaは、電気自動車や家庭用蓄電池、その他関連製品・サービスを販売しています。

Teslaは、電気自動車の販売が売上高の9割を占めています。


Microsoft:事業内容

Microsoftは、みなさんも一度は使ったことがあるであろうMicrosoft OfficeなどのソフトウェアやSurfaceなどのハードウェアを販売しています。

Microsoftの売上高は、

  • Azureなどのクラウドやサービスが含まれる「intelligent Cloud」 38%
  • PowerpointをはじめとしたOfficeなどが含まれる「Productivity and Business Processes」 32%
  • SurfaceをはじめとしたハードウェアやOSが含まれる「More Personal Computing」 30%

で構成されています。


会計クイズ:問題

「Apple」、「Tesla」、「Microsoft」の3社の損益計算書のうち、Appleの損益計算書はどれかを予想してみてください。

決算数値は2023年3月時点の最新数値を元に作成しています。

タップで回答を見ることができます

1

選択肢①

2

選択肢②

3

選択肢③

※損益計算書って何?という方は下記の記事を参考にしてみてください。

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会計クイズ:正解

正解は選択肢②がAppleの損益計算書でした。

今回も沢山の方にお付き合い頂きました。ありがとうございました。

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それでは、ここからは1社ずつ解説していきます。


Apple:決算書の読み方

まずはAppleから見ていきます。


Appleの決算書の読み方:売上高

Appleの売上高は、

  • iPhone 52%
  • Mac 10%
  • iPad 8%
  • Apple Watch等のウェアラブル製品やアクセサリーなど 10%
  • 関連サービス 20%

で構成されています。

つまり売上の大半をプロダクト販売が占めていることがわかります。

主力のiPhoneは下降トレンドでしたが、2021年度から復活しています。

しかし、直近決算である2023年1Qは原材料費高騰や円安の影響により前年同期比で減少しています。


Appleの決算書の読み方:販売チャネル

iPhoneなどのプロダクトは、複数のチャネルで販売されています。

Apple StoreやAppleのオンラインストアでの直接販売が38%で、携帯キャリアや家電量販店などの間接販売が62%を占めています。


Appleのビジネスモデル:ファブレス

Appleの大きな特徴としてファブレス企業であることが挙げられます。

ファブレスとは、ハードウェアの製造を外部企業に委託するビジネスモデルのことです。日本では、任天堂も採用していることで有名です。

さらにAppleは、輸送や物流管理も外部企業に委託して運営しています。


Appleのビジネスモデル:レベニューシェア

もう一つ特徴的なビジネスモデルに「レベニューシェア」があります。

Appleは、AppStoreと呼ばれる、iPhoneなどにダウンロードできるアプリのプラットフォームを運営しています。

このAppStoreのビジネスモデルが、「レベニューシェア」です。

つまり、Appleとアプリ開発者が協業してAppStoreをつくりあげ、アプリ課金によって得られた収益を両者で分け合うビジネスモデルです。

このAppStoreがメインであるServics事業の収益性を見てみましょう。

Services事業 売上総利益率72%

Producst事業 売上総利益率36%

App Storeはプラットフォームであるため、原価は大きくなりにくい傾向にあります。

そのため、製造原価が発生するProduct事業と比較して、売上総利益率が高くなります。


Appleの業績:損益計算書

以上を踏まえてAppleの損益計算書を確認します。

製造業であるProduct事業が売上の大半を占めているため、売上原価率が高い傾向にあります。

一方で、製造業としては利益率が高くなっています。

これは、製造等の外部委託によって営業費用を抑制していることや、利益率の高いServices事業が大きく貢献していることが理由です。

最後にAppleの決算の特徴である季節変動を紹介します。

Appleの売上高と利益率は、Q1(10月~12月)に大きくなる傾向があります。

決算資料によると、これはQ1にクリスマスや年末が含まれており、Apple製品の需要が高まることが要因です。

また、その時期に向けて新製品を9月ごろに投入することも要因として考えられます。


Tesla:決算書の読み方

続いてTeslaを見ていきます。

Teslaの業績:売上高

Teslaの売上高の9割は電気自動車の販売が占めています。

先程のAppleは製造を外部に委託していましたが、Teslaは自社で保有する工場で電気自動車等を製造しています。


Teslaの業績:マーケティング

Teslaの大きな特徴に、マーケティング費用をほとんどかけないことが挙げられます。

Teslaの電動自動車には話題性と知名度があります。

そのため、多くのメディアに取り上げられ、口コミもたくさん獲得しています。(CEOであるイーロンマスク自身のメディア露出も多いです)

その結果、広告をかけることなく製品が認知され、売れるという状態を確立できています。

Teslaの費用と利益の推移を見てみましょう。

Teslaは長年赤字が続いていましたが、売上高の成長に伴う、主に販管費率の低下により2020年度から黒字化しています。


Teslaの業績:損益計算書

以上を踏まえて損益計算書を確認します。

Teslaは自社で自動車を製造しているため、売上原価率は高い傾向にあります。

しかし、マーケティング費用をかけることなく売上高を伸ばしてきたため、販管費等の比率は非常に小さく、2020年度以降は黒字となっています。


Teslaのビジネスモデル:クレジット収益

最後に、Teslaの特徴的な収益源を紹介します。

それは、規制クレジットによる収益です。

自動車業界では、メーカーにCO2排出を基準以下にしなければいけない「CO2排出規制」というものがあります。

ガソリン車を大量に販売している自動車メーカーは、この基準を超えてしまうことがあります。

しかし、Teslaの電気自動車はCO2を排出しないため、排出権の枠が多く残ります。

このCO2排出権を、ガソリン車を扱う他のメーカーに販売することで、Teslaは収益を獲得しています。

これが規制クレジットによる収益として計上されています。

規制クレジットによる収益は、権利販売であるため、利益率100%と考えることができます。

この仮定のもと、営業利益にどれだけインパクトがあるのか見てましょう。

黒字化した2020年度は、営業利益の8割がCO2排出権の販売によって得た収益で占めています。

規制クレジット収益にかなり依存しているように見えます。

しかし、2021年度の営業利益では約2割と、割合が小さくなりました。

規制クレジット収益への依存から脱却して、メインの電気自動車の販売で稼げていることがわかります。

さらに、直近の2022年度は営業利益のうち約13%となっており、電気自動車の販売が好調であることが読み取れます。


Microsoft:決算書の読み方

最後にMicrosoftを見ていきます。

Microsoftの業績:売上高の内訳

Microsoftの売上高は、

  • Azureなどのクラウドやサービス「intelligent Cloud」 38%
  • PowerpointをはじめとしたOfficeなど「Productivity and Business Processes」 32%
  • SurfaceをはじめとしたハードウェアやOS「More Personal Computing」 30%

でバランスよく構成されています。

各セグメントについて紹介します。

「Productivity and Business Processes」では、Office、Linkedinなどをはじめとした生産性の向上やコミュニケーション、情報サービスに関する商品サービスを提供しています。

「Intelligent Cloud」では、Azure、SQL Server、Githubなどの各サーバー製品とビジネスや開発者をサポートするクラウドサービスを提供しています。

「More Personal Computing」では、Windows、Surface、XBOXなどのOSやデバイス、ゲーム等を提供しています。


Microsoftの業績:セグメント別の収益性

Microsoftのセグメント別の財務数値を見てみると、売上高が同規模であるだけではなく、すべてのセグメントで営業利益率が約40%となっています。

Microsoftのセグメント別の売上高の推移を見てみても、どれも着実に成長しています。

特に、「Intelligent Cloud」が最近のMicrosoftの成長を牽引しています。

Microsoftの損益計算書をみてみると、デバイスを提供しているため、その分の売上原価が発生します。

しかし、原価が小さい傾向にあるソフトウェアやクラウドサービスの割合が高いため、売上原価率は製造業に比べて低く、営業利益率が高くなっています。


Appleの会計クイズ:まとめ

最後にまとめです。

今回は、米国の代表的なテック企業である3社のビジネスや収益・費用構造について解説しました。

決算数値を見ることで、身近に使用している製品やサービスの実態を読み取ることができます。

以上、お付き合いいただきありがとうございました。

決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。

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<この分析記事の出典データ>

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この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

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トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

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