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わかりましたでしょうか?
正解は選択肢③のソニーグループでした。
研究開発費の総額はトヨタ自動車や本田技研工業の方が大きいですが、両者は売上高の規模も非常に大きいです。
従って、売上高に占める研究開発費の比率はソニーグループに比べて大きくありません。
- ソニーグループ 売上高8.3兆円 研究開発費0.6兆円
- 本田技研工業 売上高14.5兆円 研究開発費0.8兆円
- トヨタ自動車 売上高31.3兆円 研究開発費1.1兆円
このように比率で確認することで、規模の違う会社同士を比較することが可能となります。
それでは、ここからは具体的に研究開発費の使い方を解説していきます。
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売上高研究開発費率の計算方法とは?
売上高研究開発費率の計算方法と、売上高研究開発費率を構成する要素についてを解説します。
研究開発費と売上高を比較して算出
売上高研究開発費率は、下記の計算式で算出します。
研究開発費÷売上高×100=売上高研究開発費率(%)
研究開発費とは
研究開発費は、下記の2つにわけられます。
研究費とは、新しい知識の発見を目的とした探求にかかった費用のことを指します。
開発費は、新しい製品・サービスを作るのにかかった経費の事を指します。
実際に財務諸表には、研究費と開発費にわけて記載されているわけではないですが、どんな内容で構成されているのかを把握しておくことは重要です。
参考:EY HP

売上高研究開発費率の基本的な考え方
売上高研究開発費率は、指標概要でも記載した通り、売上高に対し、研究開発費にどれほど投資しているのかどうかを把握することができます。
例えば、製薬会社の場合、研究開発費用は新薬の開発や薬の改良などに使われます。
この研究開発がうまくいけば、企業の強みとなり企業が成長する一つの要因となります。
そのため、研究開発費は企業によっては成長のために欠かせないものとなっています。
ただし、研究開発費をかければ、必ず将来の売上高や利益につながるわけではないため、研究開発費が大きいほど企業の成長が期待できるなどはありません。
研究開発費に加えて、研究開発費をかけることで得られた結果もあわせて確認する必要があります。

売上高研究開発費率の使い方とは?
指標を見る際は、大きく2つの比較方法があります。
時系列での比較
企業の過去の動向を追うことができるため、今後企業がどのように研究開発費をかけるのかをおおまかに予測することができます。
競合企業との比較
研究開発費の投資効率を競合企業と比較することで、研究開発費に対してどれほど売上高を上げているかが読み取れます。
さらに、企業のビジネスモデルの特徴も見えるため、競合との強みや弱みなどの違いを把握することにも役立ちます。

売上高研究開発費率を見る際のポイント
売上高研究開発費率を見る際のポイントについて解説していきます。
プロダクトの把握
研究開発費率のみでは、企業の財務諸表等を読み切れません。
その際に、プロダクトを把握する必要があります。
- プロダクトの競争優位性の把握
- プロダクトライフサイクルの把握
取り扱っているプロダクトが、業界内で競争優位性はあるのかどうかや業界自体の動向を把握する必要があります。
業界によっては常に進化を求められ、多額の研究開発費をかける必要がある場合があります。

プロダクトライフサイクルの把握
プロダクトライフサイクルを把握することで研究開発費の動向がわかることがあります。
企業のプロダクトが「導入期」・「成長期」・「成熟期」・「衰退期」のどれに該当するのかにより研究開発費の投資が効率的になりやすいかどうかが把握できます。
「導入期」や「成長期」の場合は、これから市場の拡大余地が大きいため先行投資を回収できる可能性が高いです。
反対に「成熟期」や「衰退期」では、市場の拡大余地が小さいため、投資分を回収するのが難しくなります。

具体的に製薬業界でイメージすると、新薬を開発するタイミングでは多額の研究開発費が必要ですが、完成してしまえばその費用はほとんどかかりません。
ただし、新薬が特許で守られる期間は決まっているため、新薬が完成したとしてもまた次の新薬の開発にとりかかり継続的に研究開発費がかかる傾向があります。
研究開発費率の調べ方とは?
それでは実際の指標の調べ方です。
今回は有価証券報告書を使って売上高研究開発費率の計算に必要となる数値を取りに行きます。
有価証券報告書から売上高研究開発費率を計算する
有価証券報告書の第一部【企業情報】の中の、第5【経理の状況】を開いてください。
損益計算書の中から、次の項目を取得します。

経理の状況の研究開発費を売上高で割ると算出することができます。

売上高研究開発費率のまとめ
以上、指標の解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
どんな指標でも同じことが言えますが、指標の比率が高い低いだけではなく、なぜ高いのか?なぜ低いのか?をビジネスに結び付けて考えられるとより示唆のある分析となります。
指標を比べ差が出ることがわかったら、次はその原因がどこにあるのかを調べることで一歩深堀した企業分析を行うことができます。
ぜひ参考にして頂けると幸いです。
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