初心者でもわかる!プロダクトライフサイクルの基礎知識を事例で解説
2024.5.1
この記事では経営戦略を行う際に、役に立つフレームワークの意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
プロダクトライフサイクル(PLC)とは?
「プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)」とは、製品が市場に導入されてから撤退するまでの過程を、4つの段階に分類した概念であり、ビジネス戦略策定の際に重要な考慮要素となります。
縦軸に収益、横軸に時間を置き、2つの関係性から導入期(イントロダクション)、成長期(グロース)、成熟期(マチュリティ)、衰退期(デクライン)に分類されます。
プロダクトライフサイクル(PLC)の提唱者
プロダクトライフサイクルの理論は、1950年代にアメリカの経営学者であるレイモンド・バウマンによって提唱されました。その後、1960年代には、アメリカの経営学者であるセオドア・ルビノビッツによって発展させられ、マーケティング戦略の分野で注目を浴びるようになりました。
プロダクトライフサイクル(PLC)の普及の背景
商品やサービスの市場寿命を正しく見極めることはビジネス成功の鍵となります。その証拠として、プロダクトライフサイクルの理論を用いたマーケティング戦略の成功事例が多数報告されています。
このような多数の成功事例を背景にプロダクトライフサイクルの理論は急速に普及していきました。
また、プロダクトライフサイクルの理論は、マーケティングの分野だけでなく、製品開発や生産管理などの分野でも広く活用されるようになりました。現在では、世界中のビジネスマンや経営学生などに広く普及しており、ビジネスの基礎的な知識として学ばれています。
プロダクトライフサイクル(PLC)が学べるクイズ
さて、それではここで簡単なクイズです。
プロダクトライフサイクルの導入期において、企業が重視すべき戦略は、下記の3つの選択肢のうちどれでしょうか?
タップで回答を見ることができます
コスト削減
差別化戦略
広告宣伝活動
正解は選択肢③でした。
導入期は製品の認知度が低く売上が伸び悩む段階であり、広告や宣伝活動を通じて製品の認知度を向上させることが重要です。
例として、アップルが2007年に発売した初代iPhoneの導入期を挙げることができます。アップルは、革新的なデザインと操作性を持つiPhoneの認知度を向上させるため、テレビCMやインターネット広告などのマーケティング活動に力を入れました。これにより、消費者の関心を引き付け、徐々に市場でのシェアを拡大していくことができました。
このように、導入期には広告や宣伝活動を通じて製品の認知度を向上させることが、市場での成功につながるとされています。
ここからは、それぞれのステージごとの特徴についてを解説します。
プロダクトライフサイクル(PLC)の4つのステージ
プロダクトライフサイクルは、一般的に4つのステージに分類されます。
それぞれのステージでの商品の需要と供給のバランスが変化し、それに合わせてマーケティング戦略も変化していきます。
プロダクトライフサイクル:導入期
導入期は、商品が市場に導入されたばかりの期間を指します。この期間は、まだ商品が一般的に知られておらず、需要も限定的であるため、販売量は少ない傾向にあります。
マーケティング戦略としては、商品の特徴や利点を伝えるプロモーションを行い、商品を知ってもらうことが重要です。
プロダクトライフサイクル:成長期
成長期は、商品が市場で認知され、需要が急速に拡大する期間を指します。この期間は、競合商品が登場することも多く、市場規模が拡大する一方で、市場シェアを確保するための競争も激化します。
マーケティング戦略としては、広告や販売促進などのプロモーションを積極的に行い、市場シェアを拡大することが重要です。
プロダクトライフサイクル:成熟期
成熟期は、市場における需要と供給が一定になり、競合商品も多数存在する状態を指します。この期間は、価格競争が激しくなり、販売量が減少する傾向にあります。
マーケティング戦略としては、商品のブランドイメージや付加価値を高めることで、価格競争から抜け出し、市場シェアを維持することが重要です。
プロダクトライフサイクル:衰退期
衰退期は、商品の需要が急速に落ち込み、市場から姿を消していく期間を指します。この期間は、商品の機能や特徴が陳腐化しており、市場から淘汰される傾向にあります。
マーケティング戦略としては、商品の差別化やリニューアル、新たな市場開拓などを検討することが重要です。
プロダクトライフサイクル(PLC)とBCGマトリックスの関係とは?
プロダクトライフサイクルとBCGマトリックス(PPM)は、ビジネスにおける商品やサービスのポートフォリオ管理に関する理論です。それぞれの関係性について解説します。
商品のポートフォリオを管理するツール
プロダクトライフサイクルは、商品やサービスの市場における寿命を表す概念であり、市場における需要と供給のバランスがどのように変化するかを示します。一方、BCGマトリックス(PPM)は、商品やサービスのポートフォリオ管理において、現状の市場占有率と市場成長率に基づいて、商品やサービスの戦略的位置づけを行うツールです。
BCGマトリックス(PPM)について詳しく知りたい方は下記の記事がお勧めです。
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プロダクトライフサイクルとキャッシュの関係
プロダクトライフサイクルの各フェーズによって、キャッシュの需要は大きく異なります。
プロダクトライフサイクルとBCGマトリックス(PPM)を活用し、各ステージに応じたポートフォリオ戦略を立てることができます。
資金需要の高いフェーズ
たとえば、プロダクトライフサイクルの導入期、成長期には、市場開拓を図るため多額のキャッシュが必要です。
この時には、BCGマトリックスにおいては「スター」「問題児」と位置づけられることが多く、これらに該当する事業には多額の資金が投下されます。
資金需要の低いフェーズ
一方、プロダクトライフサイクルの成熟期、衰退期には、既存の商品やサービスをブランド力や技術力などの付加価値で差別化することが必要です。
この時には、BCGマトリックスにおいては「金のなる木」「負け犬」と位置づけられることが多く、キャッシュの流出は抑えらる場合が多いです。
プロダクトライフサイクルの事例
事例としては、アップルの「iPod」が挙げられます。iPodは、プロダクトライフサイクルの成長期において登場し、急速に市場を席巻しました。そして、成熟期に差し掛かると、付加価値を高めるために「iTunes Store」を開設し、音楽配信ビジネスに進出しました。
このように、iPodはプロダクトライフサイクルの変化に合わせたBCGマトリックスの戦略を展開し、長期間にわたって市場での競争力を維持していきました。
プロダクトライフサイクル:まとめ
以上が、プロダクトライフサイクルについての解説となります。
商品やサービスの寿命を理解し、適切なマーケティング戦略を立てることは、企業経営において非常に重要な要素です。
是非、今回の解説を参考にして、商品やサービスのライフサイクルを理解し、マーケティング戦略の立案に役立ててください。
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