ドミナント戦略とは?セブンイレブンが採用しているビジネスを解説
2024.4.29
みなさんは、セブンイレブンがどうして近い商圏に複数店舗出店しているか知っていますか?
Googleマップなどを確認してもわかる通り、セブンイレブンは至近距離に複数の店舗を出店しています。
今回は、セブンイレブンが採用するドミナント戦略についてをわかりやすく解説します。
図解を通じてわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
目次
ドミナント戦略とは
ドミナント戦略とは、チェーンストアがある地域の商圏に複数の店舗を出店し、その地域の商圏を占領する戦略のことを言います。
主に小売業で採用される戦略です。
ドミナント戦略では、同じ地域に複数店舗出店するため、この地域で〜といえばA店といったように認知度を獲得できます。
よって顧客が増加することで、その地域でのシェアの拡大につながります。
さらに、店舗間の距離が近いとトラックの移動距離が減るため、効率的に配送することができます。
そのため、店舗間の距離が遠い場合よりも配送費が低くなります。
ドミナント戦略:導入企業事例クイズ
それでは、ここまでの事例を踏まえて、簡単なクイズです。
ドミナント戦略をビジネスで採用している企業は以下のうち、どれだと思いますか?
タップで回答を見ることができます
Costco
Walmart
IKEA
正解できましたでしょうか?正解した方は、ぜひSNSや友達に共有してみてくださいね。
それでは、ここからドミナント戦略を解説します。
ドミナント戦略の考え方
ドミナント戦略の登場には、世界でもトップクラスの売上を誇る「ウォルマート」が関係しています。
ウォルマートがドミナント戦略を発明
徹底的に安さにこだわった「ディスカウントストア」を経営している中で生まれたのが「地域ドミナント(ドミナント戦略)」でした。
ウォルマートの創業者であるサム・ウォルトンは、徹底的に安さにこだわったディスカウントストアを作る上で重要なのが、在庫管理と物流センターだと考えました。
在庫管理が重要な理由は、売れない商品を店舗に置いておくよりも、売れる商品を店舗に置いておく方が収益が上がりやすくなるからです。その在庫管理を行うために、物流センターが必要になります。
物流センターが整備されることで、店舗で売れている商品を迅速に配送することが可能となり、売れる商品を常に配置することが可能となります。
ドミナント戦略による競争優位性
ウォルマートは自社で物流網を展開し、物流センターから350マイル以内に店舗を出店する戦略を採用しました。その結果、店舗が商品を注文してから、店舗に納品されるまでの期間を2日まで短くすることに成功しました。
店舗は在庫を2日分まで保有していれば十分であり、売れるかわからない商品を大量に仕入れることが無くなりました。
これが、ドミナント戦略の始まりです。
その一方、ウォルマートと競合であった他社のディスカウントストアは、物流機能を外部に頼っていたため、物流費用が高い上に、納品までに5日以上かかっていました。この差がウォールマートの競争優位性を構築しました。
参考文献:私のウォルマート商法
店舗ビジネスと物流の関係
店舗小売ビジネスを展開する上で、物流は商品を運ぶために欠かせないものになります。
一台のトラックだけではなく複数のトラックなどを利用して、ほぼ毎日商品を配送するとなると、大きなコストになります。
そのため、店舗ビジネスを考える際には、物流の最適化が欠かせません。
店舗ビジネスと在庫管理の関係
在庫管理も店舗ビジネスにおいて欠かせません。
店舗は商品棚など販売できるスペースに制限があります。
そのため、売れない商品を置いておくと、売上をあげる機会を失っている状態になります。
よって、売れる商品に切り替えるという在庫の管理が必要になります。
ドミナント戦略:導入企業事例
ドミナント戦略を採用しているセブンイレブンとカクヤスを例に解説していきます。
ドミナント戦略:セブンイレブン
セブンイレブンはドミナント戦略を展開していることで有名ですが、新宿駅付近の地図を見てみると、近いところだと約100mの間隔で出店されています。
ドミナント戦略を取ることで、他社の参入余地をなくすと同時に配送効率を上げています。
現在さまざまなコンビニがドミナント戦略を展開していますが、今から新規でコンビニを展開することは、ハードルが高くなっています。
それは、出店余地がない、また0から物流の構築が困難ということが要因としてあります。
ドミナント戦略:カクヤス
カクヤスは、店舗や宅配で酒を販売する事業を行っている上場企業です。
カクヤスは東京23区に集中的に出店するという戦略を取っています。
東京23区内であれば、急な配達依頼があっても、各店舗から迅速に配達することが可能です。
ドミナント戦略のメリットは?
ドミナント戦略を採用するメリットについて解説します。
ドミナント戦略により特定地域でのシェアを獲得
特定地域に集中的に出店するため、認知度が高くなり自然にシェアの拡大につながります。
例えば、同じ地域に複数の店舗を出店することで、目にする頻度が多くなり、意識せずとも買い物といえばあのお店となります。
ドミナント戦略により配送効率の向上
特定地域に密集しているため、店舗間の距離が近くなり、配送時間が短くなることで、配送効率の向上につながります。
そして、配送効率が向上することで、配送費用の削減にもつながります。
ここで考慮すべき点は、ドミナント戦略は店舗間の距離に加えて、物流センターと店舗の距離もセットで考える必要があることです。
店舗間の距離が近かったとしても、物流センターまでが遠い場合は、配送コストが高くなります。
さらに、1店舗ごとに供給する商品量が多い場合は、1台のトラックで1店舗分しか載せられず、コストが低くなりません。
そのため、店舗と物流センターの距離も考慮する必要があります。
ドミナント戦略のデメリットは?
ここからはドミナント戦略のデメリットについてを解説します。
ドミナント戦略により顧客の奪い合いが発生する
ドミナント戦略を展開する場合、ある地域の顧客を複数の店舗で取り合うことになるため、1店舗ごとの売上の低下につながる可能性があることです。
同じチェーン店同士で顧客の奪い合いをすることで、商品販売数が下がります。
さらに、複数出店するごとに各店舗の費用が増加してしまいます。
ドミナント戦略:まとめ
今回は、ドミナント戦略を解説しました。
決算書を読む際や、ビジネスを学ぶ際などに意識してみてください。
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