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米国企業の決算書の読み方特集!コストコの儲けの仕組みをForm10-Kから読み解く!

米国企業の決算書の読み方特集!コストコの儲けの仕組みをForm10-Kから読み解く!

2023.8.8に更新

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大手町のランダムウォーカー

トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

目次

会計クイズ:米国企業編

この記事では、企業の儲けの仕組みについてを図解を通じてわかりやすく解説します。
今回は米国企業編です。
Form10-Kから米国企業がどのように利益を生み出しているかを、数字を使って解説します。

Form10-Kの読み方がわからない方は、先に下記の記事をご覧ください。

登場企業の紹介

最初に登場企業の紹介です。
今回は、日用品を中心に販売する会員制の倉庫型小売業「Costco」を扱います。
コストコとは

会計クイズ:問題

早速ですが、クイズです。
小売ビジネスを展開する「Costco」「マツモトキヨシ」「ドン・キホーテ」3社の棚卸資産回転期間のうち、Costcoの棚卸資産回転期間はどれかを考えてみてください。

会計クイズ:米国企業編

この記事では、企業の儲けの仕組みについてを図解を通じてわかりやすく解説します。
今回は米国企業編です。
Form10-Kから米国企業がどのように利益を生み出しているかを、数字を使って解説します。

Form10-Kの読み方がわからない方は、先に下記の記事をご覧ください。

登場企業の紹介

最初に登場企業の紹介です。
今回は、日用品を中心に販売する会員制の倉庫型小売業「Costco」を扱います。
コストコとは

会計クイズ:問題

早速ですが、クイズです。
小売ビジネスを展開する「Costco」「マツモトキヨシ」「ドン・キホーテ」3社の棚卸資産回転期間のうち、Costcoの棚卸資産回転期間はどれかを考えてみてください。

米国企業の決算書の読み方特集!コストコの儲けの仕組みをForm10-Kから読み解く!の会計クイズ

このクイズの解答は...
(下記のボタンを押して回答できます)

選択肢①

選択肢②

選択肢③

【補足】棚卸資産回転期間とは

棚卸資産回転期間とは、商品や材料を仕入れてから販売するまでにどの程度の時間を要したかを示す効率性の指標です。
棚卸資産回転期間が長い場合、売れ残りの在庫が多いことを表すため、一般的には短い方が望ましいです。
棚卸資産回転期間とは
棚卸資産回転期間について詳しく学びたい方は、下記の記事がおすすめです。










それでは、正解の発表です。

会計クイズ:正解の発表

正解は、選択肢①がCostcoの棚卸資産回転期間でした。
Costcoは他の小売業と比べて、在庫の回転が速いことがわかります。
会計クイズ:正解の発表
ここからは、Form10-KからCostcoの競争優位性を読み解いていきます。

コストコのビジネスモデルは?

まずはコストコのビジネスモデルを確認しましょう。

ビジネスモデル

コストコは、通常の小売業とは異なり、会員制ビジネスを採用しています。コストコでは、年会費を払って会員になることで、安く商品を購入することができます。
コストコのビジネスモデル
つまり、コストコは仕入販売だけでなく、会員収入も大きな収入源となっており、両者の利益を組み合わせて目標利益額を狙う戦略を取っています。
コストコのビジネスモデル
企業分析には2つのビジネスをセットで考える分析方法と、分けて考える分析方法があります。
本記事では、両者のビジネスを分け、仕入販売ビジネスに焦点を当ててコストコの競争優位性を読み解いていきます
コストコのビジネスモデル

店舗数

次に、コストコの店舗数を確認していきます。
Form10-KのItem1-Businessからコストコは全世界に838店舗有していることが記載されています。
コストコの店舗数

会員数

また、会員数は年々増加しており、総会員のうち約60%が様々な特典が付くエグゼクティブ会員で構成されています。
コストコの会員数

コストコの販売戦略は?

コストコの事業の概要を押さえたら、次に販売戦略についてを見ていきます。

SKUの概要

はじめに、小売業で登場する用語について説明します。

  • SKU

SKUとは、「Stock Keeping Unit」の略称で、受発注・在庫管理を行うときの最小の管理単位をいいます。
たとえば、黒・青・赤の3種類のシャツをそれぞれS・M・Lの3サイズ販売する場合、SKUは9SKU(3×3)と計算します。
SKUとは
コストコのForm10-Kを見ると、コストコの商品数(SKU)は4,000種類と記載されています。この数字は他の小売業と比べて非常に少ない傾向にあります。
コストコのSKU

店舗当たりの売上高

コストコの1店舗あたりの売上高2.45億ドルと記載されています。日本円にすると約300億円強となり、1店舗で非常に売上を上げていることが分かります。
店舗当たり売上高

店舗面積

店舗面積は、1店舗当たり約1万3千平方メートルと広い店舗で商品を販売しています。
コストコの店舗面積
つまり、コストコは大規模な店舗で少数の商品を大量に販売するモデルということがわかります。
コストコの販売モデル

競争優位性の構築

コストコは、少ない種類の商品を大量に仕入れることで、1個当たりの単価を抑えるボリュームディスカウントを行っています。
これによって、仕入原価を安くしコスト低減につなげています。
ボリュームディスカウント
安く仕入れた商品は原価に近い値段で会員に販売しています。
コストコの会員は安い商品をたくさん買うことができるメリットがあり、コストコにとっては顧客を囲い込むことができ、さらに会員収入で安定的な収入源があるというwin-winの関係を築いています。
これがコストコの競争優位性です。
コストコの会員のメリット

売上原価の推移

以上を踏まえて、売上原価の情報を見ていきます。
原価に近い値段で商品を販売しているため、原価率は約90%弱です。
コストコの売上原価の情報

コストコの物流戦略は?

原価が90%ということは、営業費用を抑えないと利益が残りません。
では、コストコはどのように費用を抑えているのでしょうか?
コストコの粗利

倉庫で販売

費用を抑える戦略の1つに倉庫で販売するモデルがあります。
Form10-Kによると、メーカーから直接商品を購入し、自社のデポまたは倉庫に直送していると記載されています。これによって、配送コストを削減することが可能になります。
倉庫で販売するモデル
また、コストコは仕入れた商品を倉庫で販売することで物流コストも抑えています
倉庫で販売するモデル

少人数のオペレーション

商品数が少ないため、在庫管理や倉庫管理を少人数のオペレーションで回すことができ、人件費を削減しています。また、店舗のデザインを簡易的なものにし、装飾や照明などのコストも削減しています。

このように、コストコは商品数の少なさや、倉庫型の店舗を用いるなど工夫をすることで営業コストの削減を行っています。
少人数のオペレーション

販管費の推移

以上を踏まえて、販管費の推移を見ると、販管費は増加しつつも売上に対する比率は9%前後で推移しているのが読み取れます。
販管費の比率
つまり、販管費は微増しつつも売上の増加スピードの方が速いため、利益を残せるビジネスモデルであることが読み取れます。
コストコの業績の推移

コストコの在庫回転率は?

最後に、小売業において重要な指標である「在庫回転率」を見ていきます。

回転率の概要

はじめに、利益方程式の公式を簡単に説明していきます。

  • 収益モデル
  • コスト構造
  • 利益率モデル
  • 資源回転率

収益モデル

収益モデルとは、企業がどのように収益を上げるかを示すモデルです。
コストコの場合は、単価×数量で構成されます。
収益モデル

コスト構造

コスト構造とは、企業が提供する製品やサービスにかかる費用がどのように構成されているかを示すものです。
コストは、数量に応じて発生する変動費と、数量に関係なく一定額発生する固定費に分類します。

コストコの場合、仕入原価が変動費に当たり、物流コストや人件費などが固定費に当たります。
コスト構造

利益率モデル

利益率モデルとは、商品を1単位販売した時に、どの程度の利益を得ることができるのかを表す概念です。

コストコは原価に近い値段で商品を販売しているため、限界利益は少ないです。
利益率モデル

資源回転率

資源回転率とは、目標利益額を獲得するために、どの程度の量を販売する必要があるのかを表す概念です。

コストコは限界利益が少ないため、いかに販売数量を上げられるかが重要となってきます。
資源回転率

コストコの棚卸資産回転期間

冒頭のクイズで説明したように、少数の商品を大量に販売するコストコの棚卸資産回転期間は、約30日と他の小売業と比べて短いです。
コストコの回転率
高速回転で商品を販売するため、売上高と売上原価は同時に増加しています。
コストコの業績
利益率は一定で推移していますが、売上が増加するにつれて利益額も増加するため、結果として直近では78億ドルと日本円で約1兆円の利益が出ていることが分かります。
コストコの利益の推移

会計クイズ:まとめ

最後にまとめです。
今回は、Form10-Kからコストコの競争優位性を読み解いてきました。

コストコの利益の源泉となるポイントは以下の3つです。

  • 大量仕入れ
  • 効率的な物流
  • 高回転

ボリュームディスカウントで仕入原価を抑え、倉庫販売により販管費を下げつつ、商品を高回転で回すことにより利益額を増加させるビジネスモデルです。
まとめ:コストコのビジネスモデル
上記の3点を利益方程式にまとめます。
コストコは、1単位当たりの限界利益は少ないですが、それを高回転で販売することにより、固定費を回収するだけの利益を残しています。
まとめ:コストコの利益方程式
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。

決算書の基礎からしっかり学びたい方は、ぜひ学習アプリ「Funda簿記」をご覧ください。
アプリ内で決算書の構成や作り方を学ぶことができます。


<この分析記事の出典データ>
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