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【図解】0から学べるキャッシュ・フロー計算書の読み方

【図解】0から学べるキャッシュ・フロー計算書の読み方

2022.7.28に更新

キャッシュフロー計算書とは

キャッシュ・フロー計算書は、財務3表の1つで、企業の活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことを表すものです。

企業の活動は大きくいうと、本業の営業活動、投資活動、財務活動で構成されています。
その一連の流れをキャッシュ(現金)の動きから教えてくれるのがキャッシュフロー計算書です。
企業にとって最も重要となる現金ベースでの財務諸表のため、企業の決算を読む上で、欠かせないものとなっています。
CF計算書とは
いきなりですが、ここで問題です。
通信会社を展開しているソフトバンクグループとKDDIのキャッシュフロー計算書が並んでいます。

どちらがソフトバンクグループでしょうか?
CF計算書:ソフトバンクとKDDI
今の時点でこの問題が全くわからなくても安心してください。
この記事を読み終わるころには、この問題の正解するまでの思考フローと、CF計算書の基本的な読み方が身に付きます。

さて、ここからキャッシュフロー計算書について詳しく解説していきます。

キャッシュフロー計算書の役割

キャッシュ(現金)の増減を明らかにするだけであれば、貸借対照表の前期と当期の現金等の金額を比較するだけで判明します。
しかし、どのような理由で現金が増減したか?は貸借対照表では明らかにすることはできません。
CF計算書:現金等の増減を把握できる資料
そこで登場するのがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュフロー計算書では、現金の増減のみならず、どのような理由で現金が増減したのかまで明らかにしてくれます。
CF計算書とは

キャッシュフロー計算書が難しいと言われる背景

そんな有用なキャッシュフロー計算書ですが、財務三表の中でも特に難易度の高い計算書と言われることが多いです。

難しいと言われる理由は大きく2つ
①複雑な表現が多く記載されている
②会計に馴染みがないと理解が難しい

簿記の仕組みを理解していないとお金の流れを追うことが難しい資料になっています。
CF計算書は難しい
しかし、やっていることは単純です。
「活動毎にお金の増減を報告している」だけです。
キャッシュフロー計算書を「作成」するためには、細かい仕組みまで理解する必要がありますが、「読む」ことが目的なら大枠だけ抑えるだけでキャッシュフロー計算書から情報を読み取ることが可能です。

大枠を理解しやすくするためにシンプルな図解に変換します。
CF計算書の図解化
図を見ると、期末残高までに各企業活動がキャッシュ(現金)にどのような影響を与えているかわかると思います。

簡単に解説すると、両端が現金残高の期首と期末の数値で、真ん中の3つの活動が現金の増減事由です。
それではいよいよ次の項目から、キャッシュフロー計算書の読み方を紹介しています。

キャッシュフロー計算書の構成

それでは、キャッシュフロー計算書をどのように読んでいくのか、まずは大枠から見ていきましょう。
下の図は、さきほどのキャッシュフロー計算書を図解したものです。
CF計算書の確認ポイント
キャッシュ・フロー計算書に係る活動は大きく以下の3つに区分することができます。
営業活動:本業の営業活動による現金の増減
投資活動:投資による現金の増減
財務活動:資金調達と返済による現金の増減
それぞれの企業活動によって現金がどのように増減したのかを見ます。

さて各企業活動について、詳細に紹介していきます。

営業活動によるキャッシュフロー

企業の営業活動によって流入、流出した現金の動きが記載されます。

営業活動によるキャッシュフローに記載されるのは、「商品を販売して手に入れた現金」「材料を仕入れるために支払った現金」「広告宣伝費などの販管費の支払の際に流出した現金」などです。
また、営業活動の区分には「税金コストの支払」や「災害に伴う保険金の受取」などの投資活動や財務活動に区分されない項目も記載されます。
営業活動によるCF

営業活動によるキャッシュフローの確認ポイント

営業活動のキャッシュ・フローは、本業でどれだけのキャッシュを獲得できたかを表すため、3つの区分の中で最も重要です。

営業活動によるキャッシュフローは、プラスなのか、マイナスなのかが重要な論点になります。

営業キャッシュ・フローがプラスの場合、本業は順調と言えます。
また、そこで得た資金を投資活動の財源にしたり、株主への利益還元の財源にすることができます。

一方、マイナスになっている場合は、他の活動で補わなければなりません。
また、継続的にマイナスが続くのであれば早急に事業の改善が必要になります。
営業活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローには、企業の投資活動によって流入、流出した現金の動きが記載されます。
投資を行い、現金を支払ったのならマイナス、設備や株を売却し現金を受け取ったのならプラスです。
投資活動によるCF

投資活動によるキャッシュフローの確認ポイント

投資活動によるキャッシュ・フローは、マイナスだからダメということはありません。
営業活動や財務活動によって流入した現金を投資して事業拡大を目指した動きを取れているかが、論点になります。
要は、投資の財源はどこからなのか?投資先はどこなのか?投資する市場はどのステージで、どの程度の投資をおこなっているのか?などを読み取ることが重要ということです。
例えば、飲食業を主たる事業としている会社が、本業の飲食業で稼いだ収益を原資に、これから立ち上げるネット通信販売事業に投資行うなどです。
投資活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュ・フローはシンプルで、資金調達と返済による現金の動きを表しています。
現金を調達したらプラス、返済したらマイナスです。

例えば、企業が上場し資金調達をした場合、この区分が大きくプラスとなることが多いです。
財務活動によるCF
最後は、営業、投資、財務のそれぞれの活動の結果、現金がいくら増減したのかを確認します。
この4つの視点を見ることによって、企業のお金の動きの概要を把握することができるようになります。
CF計算書

キャッシュフロー計算書:実際の企業事例

冒頭の問題をもう一度見てみましょう!
全くわからなかったものが、少しわかるようになったなど見え方が変わっていると思います。
実際の企業の事例に触れるとより一層理解が深まるとも思いますので、再度解いてみてください!

キャッシュフロー計算書:会計クイズ

選択肢①の会社は本業の稼ぎ以上に投資を行い、足りない分は財務活動で資金調達を行っています。
選択肢②の会社は本業で稼いだ範囲内で投資を行い、さらには返済や株主還元に充てています
どちらがソフトバンクグループのキャッシュフロー計算書でしょうか?
ソフトバンクグループとKDDIのCF計算書









キャッシュフロー計算書:クイズの解答


正解は選択肢①がソフトバンクグループのキャッシュフロー計算書でした!
ソフトバンクグループとKDDIのCF計算書
それでは解説です。

ソフトバンクグループは日本でも有数の非常に投資活動に活発な企業です。
有形固定資産や無形固定資産への投資はもちろん、近年はベンチャー企業への投資も活発です。
そのため投資活動によるキャッシュフローから約4兆円の現金が流出しています。
ソフトバンクグループのCF計算書
当然投資を行うためには財源が必要です。
ソフトバンクグループはその投資の財源を、本業から稼いだ現金のみでは賄いきれず、外部から資金調達も行っています。

その影響が財務活動によるキャッシュフローに現れます。
直近決算では約8兆円の有利子負債での借入を行っています。
ソフトバンクグループのCF計算書
ソフトバンクグループの借金は貸借対照表の負債項目にも反映されます。
貸借対照表を見てみると、流動、固定共に負債の割合が多いことがわかります。
その内訳を見ると、有利子負債だけで13兆円もの金額になります。

このように外部から調達を行い投資を続けるというのが、ソフトバンクグループの特徴です。
ソフトバンクグループの貸借対照表
ソフトバンクと同様にKDDIも通信事業を展開している会社です。
通信事業の特徴としては、一度契約したら毎月継続して安定的に収益の入るストックビジネスであるため、非常に収益率が高いという特徴があります。

KDDIの損益計算書を見てみても分かる通り、5兆円近い売上規模ながら営業利益率は20%近くあり、非常に高収益企業です。
KDDIの損益計算書
ソフトバンクグループとの違いは投資スタンスにあります。
KDDIは自社で稼いだ現金の範囲内で投資を行い、さらにその余った金額を返済や株主還元に返します。
そのため、非常に健全なキャッシュフロー計算書の形をしています。

このように、通信事業を展開する2社ですが、投資スタンスが全く異なるため、その結果がキャッシュフロー計算書に反映されるという事例でした。
ソフトバンクグループのCF計算書

キャッシュフロー計算書:パターンの事例

企業活動が3種類(営業、投資、財務)で、プラスかマイナスのいずれかとなるので、全体のパターン数は8パターンです。
図で見ると、以下のようになります。
CF計算書のパターン
企業を見る場合、各活動のキャッシュ・フローがどのような状態かを把握するように心がけて見てください。
その際、上図のどの型に当てはまるのかを確認することで、どのような状態か推測することができます。

では、具体的にどの型がどういう状態なのかを見ていきましょう。

キャッシュフロー計算書の事例:①健全型

「健全型キャッシュ・フロー」は企業のあるべき姿の1つです。
本業で資金を獲得し、その資金で新規事業や企業へ投資、借入金の返済を行なっています。
CF計算書:健全型

キャッシュフロー計算書の事例:②積極型

「積極型キャッシュ・フロー」は事業拡大フェーズの企業がとるキャッシュ・フローです。
本業で獲得した資金を投資し、不足する投資資金を借り入れています。
CF計算書:積極型

キャッシュフロー計算書の事例:③改善型

「改善型キャッシュ・フロー」は事業を縮小しようとしている企業がとるキャッシュ・フローです。
本業と設備売却で得た資金で借入金の返済を行います。
CF計算書:改善型

キャッシュフロー計算書の事例:④衰退型

「衰退型キャッシュ・フロー」は事業が衰退している企業のキャッシュ・フローです。
本業が赤字になっており、設備売却をすることで借入金の返済を進めています。
CF計算書:衰退型

キャッシュフロー計算書の事例:⑤勝負型

「勝負型キャッシュ・フロー」は資金繰りが厳しい企業のキャッシュ・フローです。
本業で資金が流出しているが、借入金を投資に充てている状態です。
CF計算書:勝負型

キャッシュフロー計算書の事例:⑥救済型

「救済型キャッシュ・フロー」は、かなり厳しい状態の企業がとっているキャッシュ・フローです。
本業で資金が流出しており、設備を売却、さらに足りない資金を借入金で補っている状態です。
CF計算書:救済型

キャッシュフロー計算書:まとめ

キャッシュフロー計算書は企業の現金の動きと、その内訳を開示する報告書です。

少しでも財務諸表に対するハードルが低くなっていると嬉しいです。

こちらの読み方を参考に、色々な企業の財務諸表を読んだり、 #会計クイズ に参加していただけると幸いです。
日々、財務諸表を読むことで、確実にビジネス基礎力が高まると信じています。
是非、継続的に財務諸表に触れてみてください。

CF計算書のまとめ

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