Adobeを時系列比較からビジネスモデルの変更を数字で読み解く!
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企業分析2024.4.29
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企業のビジネスモデルと財務数値を結びつける会計クイズ。
1日1問挑戦して、ビジネス知識を身に付けましょう。
今回は、「Illustrator」や「Photoshop」で有名なAdobeの時系列比較問題です。
この記事では、時系列分析からAdobeの変遷を数字を使って解説します。
目次
今回の会計クイズ
会計クイズ:登場企業紹介
最初に今回の登場企業の紹介です。
・Adobe
Adobeのサービスとセグメント別売上高
Adobeのセグメント別売上高を見ると、PhotoshopなどのCreative Cloudが約60%を占めておりメイン収益源であることが分かります。
他にもマーケティング領域のDigital ExperienceやPDFの作成・編集などのDocument Cloudも展開しています。
Adobeの売上高推移
売上高推移を見ると、2012年に売り切り型からサブスク型への転換で売上高は右肩上がりに急成長しています。
会計クイズ:問題(Adobe)
以上を踏まえてクイズです。
「Illustrator」や「Photoshop」でおなじみAdobeの2021年度の貸借対照表はどちらでしょう?
Adobeの約15年間の変遷がどのようにコスト構造に変化があるかを予想して考えてみてください。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
貸借対照表について詳しく知りたい方は、下記の記事もおすすめです。
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貸借対照表とは?読み方を企業分析のプロがわかりやすく解説
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会計クイズ:正解の発表
正解は選択肢①がAdobeの2021年度の貸借対照表でした。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
他の時系列分析の事例にも興味がある方はこちらもお勧めです。
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10年でビジネスモデルが変化した企業は?決算書から経営戦略を解説
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Adobeの2006年から2021年にかけて変化したのは?
それではここから解説です。
Adobeの2006年から2021年の変遷についてを数字を使って追っていきます。
Adobeの貸借対照表の変化内容とポイント
Adobeの貸借対照表の変化ポイントは主に2つあります。
・流動負債
・固定負債と固定資産
なぜこのように変化したのかAdobeの戦略とともに見ていきましょう。
Adobeの戦略①:サブスクリプションへの移行
Adobeとは
Adobeとは、イラスト制作や画像編集ソフトなどのクリエイター向けツールを提供する企業です。
買い切りからサブスクに転換し急成長
2009年度まではセグメントにProduct(売り切りモデル)とService&Supportのみの記載でした。
しかし、2010年度からSubscriptionが連結売上高の10%を超え、1セグメントとして開示されました。
翌期の2011年度第2四半期に、主力商品「Creative Suite」にもサブスクモデルを導入しています。
ユーザーにとっては初期費用がかからないため、新規ユーザーの獲得に貢献しました。
また、最新バージョンへの移行を容易にすることが既存ユーザーを惹きつけたことを背景に、2012年度第2四半期にクラウド型のサブスクサービス「Creative Cloud」リリースしました。
その結果、一時は売上が下がるもその後、右肩上がりに急成長を遂げました。
サブスク移行により、繰延収益が増加
サブスクリプション収益の成長に伴い、繰延収益も大幅に増加しています。
繰延収益(負債)とは、サービス提供が完了していないにもかかわらず代金を前受けしているときに、当期の提供サービスに該当しない分についてを翌期に繰り延べるための勘定科目のことをいいます。
Adobeの戦略②:マーケティング領域の拡大
Creative Cloudに加え、マーケティング領域のサービス展開
AdobeはCreative領域が主力ですが、マーケティング領域のDegital Experienceも1/4を占めています。
Creative領域であるコンテンツの制作だけでなく管理や収益化までサポートすることで、顧客へ付加価値の高いサービスを提供できるようになりました。
買収による成長も
また、Adobeはマーケティング領域を買収により拡大させています。
マーケティング領域拡大のための大型買収が多い結果、のれんが大幅に増加しています。
買収のための資金は主に長期借入金で調達しています。
会計クイズ:まとめ
最後に、貸借対照表の変化ポイントをまとめると
・流動負債:サブスクモデルの成長により繰延収益(負債)が増加したため
・固定負債と固定資産:主にマーケティング領域の成長のための買収で長期借入金とのれんが増加したため
でした。
Adobeの約15年間の変遷がコスト構造にどのような変化を与えるかを決算数値を見ることによって読み取ることができます。
以上、今回のクイズの正解は、選択肢①がAdobeの2021年度の貸借対照表でした。
お付き合いいただきありがとうございました。
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<この分析記事の出典データ>
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