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YouTuberとVTuberで収益力が高いのは?

2024.11.18

YouTuberとVTuberで収益力が高いのは?

1日1問挑戦して、ビジネス知識を身に付けましょう。

今回は、動画配信ビジネスを展開する2社の比較問題です。

この記事では、YouTuberやVTuberを使ってどのように収益を生み出しているかを、数字を使って解説します。

今回の会計クイズ

会計クイズ:登場企業紹介

最初に今回の登場企業の紹介です。

・ANYCOLER(動画収益とグッズ販売)

・UUUM(動画収益)

この2社は、動画配信関連の事業を行っている企業です。

両者共にYouTube上にコンテンツを提供するビジネスを展開していますが、それぞれのビジネスモデルには違いが存在します。


ANYCOLER:事業内容と特徴

ANYCOLERはVTuberグループ「にじさんじ」を運営する企業です。

VTuberによるライブストリーミングを中心に複数のサービスを展開しています。

VTuberとは、「Virtual YouTuber」の略で、アニメキャラクターで活動するYouTuberのことです。


UUUM:事業内容と特徴

UUUMは、国内登録者数ランキングトップのはじめしゃちょーなどが所属するYoutuber事務所です。

YouTuberによる動画収益がメインです。


会計クイズ:問題

以上を踏まえてクイズです。

VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLERの損益計算書はどちらでしょう?

両者のビジネスモデルがどのようなコスト構造になるのかを予想して考えてみてください。

※両者共に2021年度のデータを元にしています


タップで回答を見ることができます

1

選択肢①

2

選択肢②

損益計算書の読み方を1からしっかり学びたい方には、下記の記事もおすすめです。


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会計クイズ:正解の発表

正解は選択肢①がANYCOLERの決算書でした。

お付き合い頂き、ありがとうございました。


ANYCOLERとUUUMのビジネスモデルの比較

それではここから解説です。

この記事では、YouTuberやVTuberを使ってどのように収益を生み出しているかを、数字を使って解説します。


ANYCOLERとUUUMの比較:マネタイズパターン

それでは、まずは両者の売上高の内訳を見ていきます。

ANYCOLERは投げ銭によるライブストリーミング収益やグッズ販売によるコマース収益、イベント収益など複数の収益源を有しています。そのため、売上高の内訳も多岐に渡ります。

一方、UUUMはYouTubeをはじめとした広告収入で売上の大部分を構成しています。

両者の売上高の推移を見ると、直近3年間は両者とも売上高が右肩あがりに増加しています。


ANYCOLERとUUUMの比較:収益構造

それでは、両者の売上高を決算資料から分解し、成長要因を分析します。

ANYCOLERの売上高は「配信者数✕1配信者あたり売上高」に分解します。

一方、UUUMの売上高は「チャンネル数✕1チャンネルあたり売上高」に分解します。

売上高を分解することでどの変数が成長ドライバーとして機能しているのかを知ることができます。


ANYCOLERとUUUMの比較:配信者数とチャンネル数

両者共に配信者数とチャンネル数は増加しているものの、成長率に若干の差が存在します。

ANYCOLERの配信者数の成長率はやや鈍化している一方で、UUUMのチャンネル数は毎年約1.3倍のペースで成長していることがわかります。

従って、チャンネル数という変数はUUUMの方が上回っていることが読み取れます。


ANYCOLERとUUUMの比較:1チャンネルあたりの売上高

次に、両者の1配信者あたりの売上高と、1チャンネルあたりの売上高の推移を見ていきます。

ANYCOLERの1配信者あたり売上高は2~3倍で成長しており、非常に高い収益性が読み取れます。

一方で、UUUMの1チャンネルあたり売上高は近年減少傾向にあるようです。

単価の推移データに関しては、両者で逆の動きとなっていることがわかります。


ANYCOLERとUUUMの比較:経営戦略

以上の内容をまとめます。

ANYCOLERは1配信者あたり売上高、UUUMはチャンネル数(クリエイター数)が売上を押し上げる成長ドライバーとなっていることが読み取れます。

ANYCOLERはライブ配信を起点とし、ライブイベント、グッズ販売とVTuberの活動領域を拡大しています。その結果、様々な収益源を有し、1配信者あたりの売上高は非常に大きく成長しています。

中には、投げ銭で数億円を生み出すVTuberも存在するようです。

一方、UUUMは広告収入がメインであるため1チャンネルあたりの売上高はそこまで爆発的に増加しません。

そのため、YouTuberとの提携を増やし、チャンネル数を増加することで売上高を拡大させています。


ANYCOLERとUUUMの決算数値の比較

それでは両者のビジネスモデルが整理できたところで、次は両者の決算数値を見ていきます。


ANYCOLERとUUUMの比較:コスト構造

まずは両者のコスト構造を確認します。

両者ともに売上原価の大半が配信者への報酬(レベニューシェア)です。

ANYCOLERは視聴者からの課金もあるため、プラットフォームへの支払手数料も大きくなっています。

ANYCOLERとUUUMの比較:収益構造

UUUMはチャンネル数(クリエイター数)が成長ドライバーです。単価自体はそこまで大きく増減しないため、利益率も毎期一定の水準で推移します。

損益計算書を確認すると、クリエイターへの報酬である売上原価の比率には前当期で比較しても大きな変動はありません。

一方、ANYCOLERは配信者あたり売上高が成長ドライバーであり、投げ銭やグッズなどで様々なマネタイズパターンを有しています。単価が上がるにつれて1配信者あたりの収益性も高まるため、結果として営業利益率が大きく増加しています。

このように、同じ動画配信ビジネスでも経営戦略やビジネスモデルは大きく異なります。


ANYCOLERとUUUM:今後の成長性への考察

最後に両者の今後の成長性に関する考察です。


UUUMのリスク:単価減少の原因

UUUMは1チャンネルあたり売上高が減少しています。

この原因は相次いでトップクリエイターが脱退していることだと考えられます。

UUUMは動画収益の約3割を取り分として受け取っています。

その取り分に見合った価値を提供できていないと感じたクリエイターが脱退しています。

チャンネル数は伸びているが、トップクリエイターの脱退により売上高の成長は鈍化傾向にあります。


ANYCOLER:今後の成長性

ANYCOLERもUUUMと同様に人気VTuberの脱退リスクを抱えています。

しかし、VTuberのリテンション率(継続率)は97%と非常に高いです。

その要因はANYCOLERがVTuberのIPを保有しているためです。

AVYCOLERは自社でIPを保有することでグッズなどの収益源の多角化に加え、高いリテンション率を実現しています。

このように権利の持ち方がUUUMとANYCOLORの一番の違いとなっています。


会計クイズ:まとめ

最後にまとめです。

今回は、動画配信ビジネスというテーマで、両者のビジネスモデルを比較しました。

動画配信ビジネスと言っても、両社の成長ドライバーや収益源、脱退リスクなどが全く違うことが決算数値を見ることによって読み取ることができます。

以上、今回のクイズの正解は、選択肢①がANYCOLERでした。

お付き合いいただきありがとうございました。

決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。

決算書の読み方を基礎からしっかり学びたい方は、ぜひ学習アプリ「Funda簿記」をご覧ください。

アプリ内で決算書の構成や作り方を学ぶことができます。

<この分析記事の出典データ>

ANYCOLOR IR

UUUM IR

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この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

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トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

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