テレビ業界のビジネスモデルがわかる!日テレ・TBS・テレ東の比較
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企業分析2024.4.29


この記事では、企業の儲けの仕組みについてを図解を通じてわかりやすく解説します。
今回は、テレビ業界がテーマです。
テレビ放送局がどのように利益を生み出しているかを、数字を使って解説します。
会計クイズ:テレビ業界
登場企業紹介
最初に今回の登場企業の紹介です。
- 日本テレビ放送網
- TBSテレビ
- テレビ東京
上記の3社は、すべてメインの収入源が地上波放送収入の会社(テレビ局)です。
テレビ放送局のビジネスモデル
テレビ局の代表的なビジネスモデルについて紹介します。
テレビ局は、番組の隙間などに入れるCM枠(広告枠)を広告代理店を通して広告主に販売して広告収入を得ます。
広告収入(CM枠)には、2つの種類があります。
タイム収入とスポット収入と呼ばれるものです。
タイム収入は、1つの番組の放送時間の途中で放送する広告から得られる収入
スポット収入は、番組間や特定の番組と関係なく放送する広告から得られる収入
会計クイズ:ヒント
ここからは、問題を解く上でのヒントを紹介します。
問題を解くうえで、重要になる点をまとめています。
テレビ放送局の経営指標:視聴率
各社の個人視聴率の順位を比較すると、全時間帯で下記のようになります。
- 日テレ 1位
- TBS 3位
- テレビ東京 5位
テレビ放送局の経営指標:収入額
次は、各社の収入の内訳(2020年度)についてを紹介します。
①日本テレビ放送網
放送収入2,268億円
そのうち、タイム収入1,210億円、スポット収入1,057億円
②TBSテレビ
放送収入1,483億円
そのうち、タイム収入784億円、スポット収入698億円
③テレビ東京
放送収入665億円
そのうち、タイム収入436億円、スポット収入229億円
上記のようになっており、視聴率が高いほど放送収入も大きくなる傾向にあります。
テレビ放送局の経営指標:番組制作費
最後に、各社の番組制作費の金額を比較してみます。
- 日本テレビ 884億円
- TBSテレビ 884億円
- テレビ東京 317億円
日本テレビとTBSテレビは、放送収入に違いがありつつも、番組制作費に差がないことが読み取れます。
会計クイズ:テレビ放送局の比較問題
以上を踏まえて会計クイズです。
個人視聴率3位のTBSテレビの損益計算書はどれでしょう?
各社のビジネスモデルがどのような財務数値になるのかを予想して考えてみてください。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
損益計算書の読み方を1からしっかり学びたい方には、下記の記事もおすすめです。
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会計クイズ:正解発表
正解は選択肢①がTBSテレビの決算書でした。
今回も沢山方にお付き合い頂きました。ありがとうございます。
それではここからはクイズの解説と共に、各社のビジネスモデルや経営戦略についてを解説します。
テレビ業界のビジネスモデルとは?
日本テレビ放送網とTBSテレビ:ビジネスモデルを比較
まずは日本テレビ放送網(日テレ)とTBSテレビの違いを見ていきます。
テレビ局の放送収入は視聴率によって変わるため、個人視聴率1位と3位では放送収入に大きな違いが生まれます。
その結果、日本テレビ放送網(日テレ)の方が、TBSよりも50%ほど放送収入が多くなっています。
しかし番組制作費は、2社にほとんど差がありません。
両者の損益計算書を比較してみると、放送収入が大きい日本テレビ放送網の方が収益性が高く表示されていることがわかります。
このように、制作費がほとんど変わらないのであれば、収益が高い方が利益率は大きくなります。
TBSホールディングスのメインの収益源
TBSはテレビ放送以外の事業(例えば不動産)で稼いでるのではないか?と思った方がいるかもしれません。
しかし、今回の問題は、TBSホールディングスの中のTBSテレビの財務数値を持ってきたため、テレビ放送以外の事業は含まれずに上記のような財務数値になっています。
補足をすると、TBSホールディングス全体の営業利益は、不動産で71%、TBSテレビ等では21%となっています。
そのため、TBSテレビの収益性が高くなくとも、不動産で安定的に利益を生み出していることが読み取れます。
テレビ東京の決算書:売上高
テレビ東京は、他2社とは収入源が変わってきます。
テレビ東京は2社と比較して、放送収入が大きくありません。
放送収入以外に「その他の収入」が大きな割合を占めていることがわかります。
さらに「その他の収入」の内訳を見てみると、ライツ事業での収入、特にアニメ部門で多く稼いでいます。
テレビ東京のビジネスモデル:ライツ事業
ライツ事業とは、テレビ東京が持つコンテンツを放送収入だけではなく、ゲーム化による権利収入、番組の再放送が見れる「Paravi」、海外へのコンテンツ販売など自社が制作したコンテンツを二次利用することで収益を稼ぐ事業です。
実際に、最近の決算短信から中国の動画プラットフォームに配信許諾などの海外展開が好調などと記載されています。
テレビ東京:ライツ事業の収益性
ライツ事業は放送事業と比較して、収益性が高いです。
有価証券報告書に掲載されているデータから、ライツ事業の営業利益を概算してみると、22億円となります。
一方で、放送事業は23億円程度となります。
ライツ事業よりも1.4倍ほどの売上高を上げる放送事業とライツ事業の営業利益が、ほぼ同じとなるため、ライツ事業の利益率の高さが読み取れます。
※ライツ事業の収益性の概算
会計クイズ:解説のまとめ
以上、今回は、テレビ局というテーマで、各社のビジネスモデル・稼ぎ方を比較しました。
決算数値を見ることで、テレビ業界のビジネスの傾向に加え、テレビ局という3社でもビジネスが違うことを読み取ることができます。
今回のクイズの正解は、選択肢①がTBSテレビでした。
お付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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<この分析記事の出典データ>
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