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【国際収支とは】国の損益計算書と呼ばれる国際収支をわかりやすく徹底解説

【国際収支とは】国の損益計算書と呼ばれる国際収支をわかりやすく徹底解説

2022.6.6に更新

国際収支は国の損益計算書?

国際収支とは、日本と海外の間で行われた資金のやり取りの記録です。財貨やサービスの輸出をプラス、輸入をマイナスとして計上し、一定期間内の収支を集計します。
日本からいくらの資金が支出され、いくらが収益となったか。プラスとマイナスを比較した成績を算出するところから、国の損益計算書とも呼ばれています。
国際収支の仕組み
国際収支は、日本国内の居住者(居住者)と外国の居住者(非居住者)の間で行われた取引を、以下の区分により計上します。
・経常収支
・金融収支
・資本移転等収支
計上する価格は原則として取引価格を使用し、取引が発生した時点を計上時期とします。
原則として国際収支の資料は円建てで作成され、外貨建ての取引は市場実勢レートにて円換算されます。

経常収支

経常収支は、居住者と非居住者の間で行われた経済活動のうち、財貨・サービス・所得の取引や経常移転を対象としたものです。集計上は以下の項目に分けて集計されます。
・貿易・サービス収支
・第一次所得収支
・第二次所得収支

貿易・サービス収支

居住者と非居住者の間で行われた対価を伴う取引が計上されます。
財貨を対象とした収支は「貿易収支」として計上されます。
・一般商品全般
・非貨幣用金
無形財であるサービスを対象とした収支は「サービス収支」として計上されます。
・輸送
・旅行
・金融
・知的財産使用料
・通信・コンピューター・情報サービス
・文化・娯楽サービス
・その他業務サービス

第一次所得収支

第一次所得収支は、居住者・非居住者間で発生した雇用者報酬、投資収益が計上されます。また投資収益は以下の3つに区分されます。
・直接投資収益:親会社と子会社の間で発生した配当金・利子
・証券投資収益:子会社以外からの配当金、債券等の金融商品の利子
・その他の投資収益:上記に該当しない利子。貸付金・借入金・預金などの利子・利息が該当する

第二次所得収支

第二次所得収支は、居住者と非居住者間で発生した、対価を伴わない資産の提供にかかる収支が計上されます。
食糧や衣料品などの無償資金援助、外国人労働者による本国への送金などが該当します。

金融収支

金融収支は、居住者と非居住者の間で行われた経済活動のうち、貨幣的資本の取引を対象としたものです。集計上は以下の項目に分けて集計されます。
・直接投資
・証券投資
・金融派生商品
・その他投資
・外貨準備

直接投資

外国企業の株式取得、貸付期間が1年を超える金銭の貸付けなどの企業間取引が計上されます。資本を投下した対象によって以下に区分されます。
・株式資本
・収益の再投資
・負債性資本

証券投資

証券投資は、株式、投資信託、債券の取引のうち、直接投資や外貨準備に該当しないものを計上します。具体的には以下の項目が該当します。
・株式
・投資ファンド持分
・債券(中長期債、短期債)

金融派生商品

先物取引、オプション取引、スワップ取引など、他の金融商品の価格に連動して価格が決まる金融商品を計上します。

その他投資

直接投資、証券投資、金融派生商品、外貨準備のいずれにも該当しない金融取引を対象に計上します。具体的には以下の項目が該当します。
・持分
・現預金
・貸付・借入
・保険・年金準備金
・貿易信用・前払
・その他資産・その他負債

外貨準備

為替介入や通貨危機に対する対応などに使用する通貨当局が管理する対外資産を計上します。具体的には以下の項目が該当します。
・貨幣用金
・特別引出権
・IMFリザーブポジション
・その他外貨準備

資本移転収支

対価を伴わない固定資産の提供や債務免除等を計上します。性質により以下の項目に分類されます。
・資本移転
・非金融非生産資産の取得処分

国際収支と密接な関係である「GDP」はこちらから

国際収支の考え方

国際収支は、発生した取引を複式簿記の手法を用いて記帳します。
複式簿記では、ひとつの取引に対し、資産の増加・負債の減少を借方、資産の減少・負債の増加を貸方に記載します。
またその資産の増加・負債の減少の原因となった現象を貸方、資産の減少・負債の増加の原因を借方に記載します。
 
国際収支は、複式簿記の原則に基づき以下の計算式が成り立ちます。
経常収支+資本移転等収支-金融収支(+誤差脱漏)=0
ただし、国際収支は金額の構成が複雑な上、規模が大きいため誤差が非常に出やすい特徴を持ちます。その誤差は「誤差脱漏」を使用して帳尻を合わせ、貸方・借方それぞれの合計の誤差をゼロにする前提で運用されます。
国際収支における黒字・赤字は、一般的には財貨・サービスの輸出入差額を示す経常収支を指しています。

外貨準備高とは

外貨準備高は、国が保有する外貨であり、国際通貨として認知されているものです。国が通貨危機などに陥り、自国の通貨の価値が危ぶまれてしまうと、自国通貨を使った海外との取引が困難となります。
外貨準備高は外国の通貨や証券で構成されており、直ちに使用できるものとして準備されています。もし自国の貨幣を使った貿易が困難となった場合でも、外貨準備高を用意しておくことで、緊急時に国際収支を支えることができるのです。

日本の国際収支は黒字なのか?

日本の国際収支は、2020年においては17兆6,976億円の黒字となりました。
貿易・サービス収支は、昨年比で▲9,965億円の▲4,905億円となりました。貿易収支が2兆6,645兆円の黒字幅拡大を見せたものの、サービス収支が▲3兆5,362億円の赤字転化をした影響が大きく、貿易収支を食い潰した形となっています。
一方で好調なのが第一次所得収支で、堅調に20兆7,175億円の黒字。第二次所得収支、貿易・サービス収支の赤字を吸収してなお、17兆6,976億円の黒字を出しています。
諸外国との収支比較
世界の国際収支を見ると、2020年の1位は中国で2,740億米ドル。2位はドイツで2,670億米ドル。日本は1,644億米ドルで、第3位につけています。4位に台湾、5位に韓国が入り、トップ5中4か国がアジアが占め、アジアの経済力の強さが浮き彫りになりました。
一方のアメリカは6,161億米ドルの赤字で、193か国中最下位。192位のイギリスのおよそ6倍の経常赤字を計上しており、世界最大の貿易赤字国の地位を不動のものにしています。
ただし、アメリカはGDP成長率が2%台と堅調に推移しており、国内需要が絶好調。多くのモノを必要とするアメリカ国内経済を支えるために、膨大な輸入が必要という側面もあります。

国際収支はなぜ重要なのか?

国際収支を通じて得られる対外取引状況の数字からは、日本の世界における立ち位置を見ることができます。また国際収支とあらゆる指標との関係を知ることで、国際収支から今後の経済の動向を予測することも可能です。

国の経済活動の状況を表している

国際収支は、国が海外との貿易でどのような取引をしているのかを明確に表す指標です。国際収支を分析すれば、国が何を収入源として、どんな経済を展開しているのかを見ることができます。
日本は長らく”モノ作り大国・日本”として、製品の輸出が外貨の稼ぎ頭でした。しかし近年では貿易収支は赤字となり、貿易大国の姿は鳴りを潜めています。一方で経常収支を押し上げているのが、投資や第一次所得です。対外経済取引の主役がモノから人、カネへとシフトしている現状から、日本が投資立国、人材立国としての立場を強めていることがうかがえます。

国際収支と為替相場は深い関係

国際収支の動きは、為替相場と深い関係を持っています。
例として、日本からアメリカへの輸出を増やした場合、アメリカからの代金受取により、経常収支は黒字側に振れる動きを見せます。その代金はドルで受け取っているため、代金を受け取った企業はドルで円を買う動きが生まれるため、円の価値が上がり円高ドル安に振れる要因となります。
反対にアメリカからの輸入が増えた場合には、アメリカ側で日本円が売られてドルが買われるため、円安ドル高の傾向が強まります。

国際収支と貿易摩擦の関係

貿易摩擦は、貿易黒字国と赤字国の間で起きる貿易上の衝突のこと。輸入される製品が国産品と競合し、国内の生産者が職を失うリスクが生まれます。輸入国側の消費者とすれば、商品の選択肢が増えるため安価な商品の輸入は歓迎したい面もありますが、職を失った生産者の業態転換が簡単ではないため、国は生産者や作業を保護するために輸入制限や高い関税をかける場合もあります。
輸入制限や関税がかけられると、輸出側はそれまで通りに売れなくなるため、国際収支に大きなダメージを受けることになります。そのため輸出側は輸入を再開してもらえるように働きかけますが、その折り合いが上手くつかない場合、国家間の対立を招く恐れもあります。

まとめ

国際収支からは、世界経済において現在の日本がどのような立ち位置にいるかが見えてきます。国際収支の構成を見れば、各国とどのような関係を築いているのか、日本は何を売りにして生きていく国なのかといった実態が見えてくるでしょう。

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