SWOT分析とは?自社の現状を把握するためのフレームワークを解説
2024.5.1
この記事では経営戦略を行う際に、役に立つフレームワークの意味と使い方について解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
目次
- SWOT分析とは?:基本的な概念と使用方法
- SWOT分析とは?
- SWOT分析の4つの要素を解説
- SWOT分析の使用方法
- クロスSWOT分析とは?:SWOT分析を更に深く理解する
- クロスSWOT分析とは?
- SWOT分析とクロスSWOT分析の違い
- クロスSWOT分析の使用方法
- SWOT分析とクロスSWOT分析を使うメリットと注意点
- SWOT分析のメリット:自社の状況を整理できる
- SWOT分析の注意点:手法にすぎない
- SWOT分析を実践するためのポイントとテンプレート
- SWOT分析の実践方法:PEST分析・3C分析と合わせて使う?
- クロスSWOT分析では目標達成のための戦略を考える
- SWOT分析の事例
- 任天堂のStrength(強み)
- 任天堂のWeakness(弱み)
- 任天堂のOpportunity(機会)
- 任天堂のThreat(脅威)
- SWOT分析のまとめ
SWOT分析とは?:基本的な概念と使用方法
SWOT分析とは?
SWOT分析とは、内部環境を強みと弱み、外部環境を機会、脅威にわけることでさまざまな環境変化に対応する戦略を立案するためのフレームワークです。
SWOT分析のSWOTとは、「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)」の頭文字を取ったものです。
SWOT分析の4つの要素を解説
それぞれの要素について解説していきます。
Strength(強み)
Strength(強み)とは、内部環境のプラス要因です。
自社の商品やサービス、ブランドなどにおいて、競合と比較して強みとなる部分が該当します。
Weakness(弱み)
Weakness(弱み)とは、内部環境のマイナス要因です。
自社の商品やサービス、ブランドなどにおいて、企業の課題となる部分が該当します。
Opportunity(機会)
Opportunity(機会)とは、外部環境のプラス要因です。
市場拡大や競合優位の可能性など、自社にとってプラスとなる部分が該当します。
Threat(脅威)
Threat(脅威)とは、外部環境のマイナス要因です。
市場縮小や競合激化の可能性など、自社にとってマイナスとなる部分が該当します。
SWOT分析の使用方法
では、実際にSWOT分析の使用方法について説明します。
- 目的の設定
- 外部環境の分析
- 内部環境の分析
1.目的の設定
SWOT分析を行う前に、必ず分析の目的を設定しておきましょう。
これを行わないとフレームワークに当てはめて終わってしまい、分析の成果が得られません。
目的を明確にしたうえで分析や議論を行うことが大切です。
2.外部環境の分析
目的が定まったら実際に分析を行います。
まずは、自社を取り巻く外部環境から分析しましょう。
外部環境の項目は主に、市場変化や競合との関係性、経済状況、政治情勢、法律の改正などがあります。
上記の項目を分析し、外部環境が自社にとって機会となるか脅威となるかを当てはめていきましょう。
3.内部環境の分析
次に、内部環境の分析をします。
内部環境の項目は主に、商品やサービス、ブランド、立地、人材、技術力、資源などがあります。
上記の項目を分析し、競合と比較して自社にとって強みとなるか弱みとなるかを当てはめていきましょう。
クロスSWOT分析とは?:SWOT分析を更に深く理解する
クロスSWOT分析とは?
SWOTの各要素をかけ合わせることで4種類の方向性を得ることができます。
これをクロスSWOT分析と言います。
SWOT分析とクロスSWOT分析の違い
SWOT分析は、内部環境と外部環境のプラス要因とマイナス要因を抽出し、自社の現状を把握するために使用するフレームワークです。
一方、クロスSWOT分析は、SWOT分析で収集した各要素をそれぞれ掛け合わせて、具体的な戦略を立案するためのフレームワークです。
クロスSWOT分析の使用方法
それぞれの要素を掛け合わせて、4つの分析を行います。
Strength(強み)×Opportunity(機会)
Strength(強み)× Opportunity(機会)は積極的攻勢と呼ばれます。
外部環境の追い風を受けて自社の強みをどこまで伸ばせるかを考えます。
Strength(強み)×Threat(脅威)
Strength(強み)× Threat(脅威)は差別化戦略と呼ばれます。
いかに自社の強みで脅威を回避するかを考えます。
Weakness(弱み)×Opportunity(機会)
Weakness(弱み)× Opportunity(機会)は段階的施策と呼ばれます。
自社の弱みで取りこぼしている機会を、いかに段階的に解消していくかを考えます。
Weakness(弱み)×Threat(脅威)
Weakness(弱み)× Threat(脅威)は専守防衛/撤退と呼ばれます。
最悪の事態の回避策を検討します。
SWOT分析とクロスSWOT分析を使うメリットと注意点
SWOT分析とクロスSWOT分析を使うメリットと注意点について解説します。
SWOT分析のメリット:自社の状況を整理できる
SWOT分析を用いることで、内部環境と外部環境のプラス要因とマイナス要因を把握することで、自社の状況を客観的に整理することができます。
また、全体を視覚化できるため議論を進めやすくなります。
SWOT分析の注意点:手法にすぎない
SWOT分析はあくまで手法にすぎないため、分析をしただけでは戦略立案や画期的なアイデアに繋がりません。
そのため、分析をすることが目的にならないようにしましょう。
SWOT分析を実践するためのポイントとテンプレート
SWOT分析を実践するためのポイントとテンプレートを紹介します。
SWOT分析の実践方法:PEST分析・3C分析と合わせて使う?
外部環境の分析を行う際は、効果的なフレームワークである「PEST分析」を活用しましょう。
PEST分析とは、マクロ環境を分析するためのフレームワークです。
PEST分析のPESTとは、「Politics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の頭文字をとったものです。
それぞれの要素を分析することで、自社の機会と脅威を把握することができます。
PEST分析について詳しく知りたい方は、下記の記事もおすすめです。
関連記事
PEST分析とは?マクロ環境分析のフレームワークを解説
navi.funda.jp/article/pest-analysis
また、内部環境の分析を行う際は、効果的なフレームワークである「3C分析」を活用しましょう。
3C分析とはミクロ環境分析のフレームワークで、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)を分析することです。
それぞれの要素を分析することで、自社の強みと弱みを把握することができます。
クロスSWOT分析では目標達成のための戦略を考える
クロスSWOT分析は各要素を掛け合わせるだけで終わるのではなく、目標達成のための戦略まで落とし込みましょう。
また、戦略を実践したら必ず振り返りを行い、新たな課題が出てきた際は再度戦略の見直しを行いましょう。
SWOT分析の事例
それでは、最後に企業事例を見ていきましょう。
今回はSwitchやマリオシリーズで有名な任天堂を例にSWOT分析の現状把握を紹介します。
任天堂のStrength(強み)
任天堂の強みは主に以下のようなものがあります。
- ソフトとハードの開発力
- ブランド
- デジタルコンテンツ
- 多額の現金を保有
- ファブレス経営
- 無借金経営
任天堂の1番の強みは、Switchをはじめとしたハード機器やマリオシリーズなどのソフト等のヒットコンテンツを作る開発力です。
また、製造を外部委託するファブレス経営や無借金経営を行うことにより、多額の現金を保有しています。
これにより、業績が悪化した際の安全性の確保や次の開発投資を開始できる状態を維持しています。
任天堂のWeakness(弱み)
任天堂の弱みは主に以下のようなものがあります。
- ハードに依存
- ヒット商品の有無
ハード商品が普及するか否かで売上に大きなブレが生じます。
なぜなら、ゲームソフトだけを持っていてもゲームで遊ぶことはできないためです。
そのため、業績がハードの普及率に依存しているという弱みがあります。
また、ヒット商品の有無によって業績のブレが生じるのも任天堂の弱みです。
任天堂のOpportunity(機会)
任天堂の機会は主に以下のようなものがあります。
- ゲーム業界の市場規模拡大
- 巣ごもり需要によるユーザー層増加
- eスポーツ文化による追い風
PwCの調査によると、2021年のゲーム市場規模は2,156億ドルですが、2026年には3,235億ドルまで拡大する見込みです。
また、コロナ禍で巣ごもり需要によるユーザー層が増加したことやeスポーツ文化による追い風が任天堂の機会となります。
任天堂のThreat(脅威)
任天堂の脅威は主に以下のようなものがあります。
- 他の娯楽との競争リスク
- 季節的変動
- 為替レートの変動
任天堂は他のゲームソフトとも競争していますが、娯楽に費やす時間という観点ではYouTubeやNetflixなどのネットコンテンツ、漫画、テレビなども競合に当てはまります。
また、ゲームソフトは12月の年末が1番売れ行きが良いという特徴があります。
そのため、12月の年末商戦に魅力的な商品をリリースできるかどうかというリスクがあります。
以上、任天堂の事例でした。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
SWOT分析のまとめ
以上、SWOT分析の解説でした!
SWOT分析を使うことで自社の現状を把握することができ、今後の事業戦略を立てやすくなるため、ぜひ活用してみてください!
また、決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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