早速ですが、皆さんは、か性ソーダという化学品を聞いたことがありますか?
か性ソーダとは、塩の電気分解によって得られる代表的なアルカリ製品です。
日常生活で耳にすることはほとんどありませんが、多くの産業基盤を支えています。
早速ですが、簡単なクイズです。
下記の3つの日常品のうち、か性ソーダが使われているものはどれでしょう?
①衣類
②電気自動車
③紙
正解は、3つ全ての製造過程で、か性ソーダが使われています。
他にも、化学繊維、パルプ、食品、石鹸など、多くの産業を支えています。
今回は、このか性ソーダの国内販売シェアトップクラスである、化学製品の専門商社「ソーダニッカ株式会社(以下ソーダニッカ)」を事例に取り上げ、商社ビジネスの決算書の読み方を解説します。
商社のビジネス
まずは、商社がどのようなビジネスを行なっているのかを解説します。
商社は様々なビジネスを手掛けていますが、その中でも代表的なビジネスに「トレード」ビジネスがあります。
商社のトレードビジネスとは、メーカーと顧客を繋ぐ仲介のビジネスが一般的です。売り手と買い手のニーズを引き合わせ、売買取引を成立させます。
多くの商社が、このトレードビジネスを基盤とし、企業活動を行っています。
商社の種類
商社と言っても様々な種類の商社が存在します。
皆さんが一般的にイメージする商社は「総合商社」と呼ばれる業態かと思われます。
総合商社は、「カップラーメンからロケットまで」と言われる程、幅広い領域の商取引を行っています。
一方、総合商社の他にも、特定の分野の領域に特化して商取引を行う「専門商社」という業態も存在します。
専門商社のビジネス
専門商社は、特定の分野に特化し、商取引を行います。
総合商社ほど、幅広い商品を取り扱っていないものの、特定の領域に特化した知識や経験を元に、付加価値を高めて商品を流通させることが可能な業態です。
特定の分野に特化している専門商社には、多くの強みが存在します。
専門商社の強み①顧客との距離
顧客との距離が近いことは、専門商社の大きな強みです。
顧客の課題やニーズを直接聞き取り、きめ細かなオーダーを引き受け、顧客が最も求めている提案を行うことが可能となります。
専門商社の強み②業界特化の専門知識
業界に特化した専門知識を有することはもちろん、多くのメーカーとの人脈を構築していることも専門商社の大きな強みです。
最適なメーカーの剪定や、専門知識を活かした取引の交渉が可能となります。
専門商社の強み③大きな失敗に繋がりにくい
また、業界構造や業界の歴史と深く関わっていることから、リスクマネジメントに優れていることも専門商社の強みです。
無理な投資、無理な提案などを避け、その結果、大きな失敗を回避することが可能となります。
専門商社の商品開発力
さらに、近年ではトレードビジネスの他にも、専門商社の強みを活かし、メーカーと共同で商品開発を手掛けるケースも増えてきています。
このように、土台となるトレードビジネスで競争優位を構築し、サプライチェーンの川上に進出する柔軟性を有していることも専門商社の強みです。
専門商社の会計クイズ
今回は、化学品の専門商社であるソーダニッカを題材に、専門商社の決算書の読み方を解説します。
ソーダニッカは、素材メーカーから化学品、機能材を仕入れ、花王やライオン等の生活品を扱う顧客へと販売するトレードビジネスを中心に展開しています。
以上を踏まえて、まずは簡単なクイズです。
ソーダニッカの損益計算書は、下記のうちどちらでしょうか?
※損益計算書とは、企業の経営成績を報告する決算書です。
サプライチェーンで登場する2社の比較です。ぜひ専門商社のビジネスをイメージしながら考えてみてください。