従業員増加率とは?計算式や分析方法をわかりやすく解説
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会計2024.5.31
従業員増加率とは?
従業員増加率とは、従業員数がどの程度増加しているかを示す経営指標です。
成長中の企業は、売上だけでなく従業員数も増加するのが一般的です。そのため、この数字が高いと、積極的に人材を採用していることを意味するため、これから成長する期待ができると判断することができます。
この記事では、従業員増加率の意味や計算式、分析方法について図解を用いてわかりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
従業員増加率の計算式
従業員増加率は、以下の計算式で算出します。
- (当年度従業員数÷前年度従業員数−1)×100=従業員増加率(%)
なお、期首の場合は期首同士で、期末の場合は期末同士で、年平均の場合は年平均同士で比較します。
従業員増加率の基本的な考え方
従業員増加率は、前期と今期の従業員数を比較して、どれほど増えているかを見る指標です。
基本的に企業が従業員を増やすのは、以前に比べて業務が多くなり、今いる従業員のみでは仕事をさばけなくなるであろうタイミングです。
そのため、従業員増加率が高い場合は、売上が伸びる前兆ととらえることができます。
逆に、従業員増加率がマイナスの場合は、従業員数が減少したことを意味するため、売上が減少するのではないかと推測することができます。
すべての企業に当てはまるわけではないですが、上記の理由により、従業員の増加率から企業の成長性を測ることができます。
従業員増加率の分析方法とは?
計算式に当てはめて経営指標を算出するだけでは、企業の情報を読み取ることはできません。必ず算出した指標の数値から、意味のある示唆を見つけることが重要です。
従業員増加率は従業員の増減数が元になっているため、従業員数が大きく変動している企業を分析する際に使うのが有効です。その際、なぜ増減したのかまで把握する必要があります。
従業員数が大きく変動する要因は、主に以下の2つです。
- 事業の拡大のために大量に新たな従業員を採用した時
- 企業を買収した結果、買収先の企業の従業員数がそのまま増加した時
それぞれの要因ごとに分析方法が異なります。
事業拡大の場合
事業の拡大によって従業員が増加した場合は、以下の情報を確認しましょう。
- 企業全体で従業員がどれほど増えたのか
- どの事業の従業員がどれほど増えたのか
事業ごとの従業員の動きを調べることによって、企業がどの事業に力をいれているのか?など成長分野の事業までわかることがあります。
企業が力をいれている事業が分かれば、その事業がどうなると成長するのかまで具体的に調べることができます。その結果、ニュースやプレスリリースが出た際に、それが企業にとってどれだけプラスになるのかを把握することが可能になります。
また、急激に従業員数が減っていた場合は
- 事業を縮小するのか
- 配置転換したのか
- 中で大量退職などの問題が発生したのか
などと推測することができ、決算書やプレスリリースなどで減少した要因を確認することで、より深い分析を行うことができます。
M&A等の場合
M&Aとは、「Mergers」and 「Acquisitions」の略で、企業・事業の合併や買収の総称のこと指します。他の企業の事業が自社に入るまたは、他の企業を自社に統合することなどが該当します。
企業のM&Aなどにより従業員が増減するケースは、必ず他の指標とセットで見ることが望ましいです。
企業を買収し子会社化した場合、従業員増加率が急激に向上していたとしても、それは買収による一時的なものであるため、その数値のみで判断をするのは非常に難しいです。
また、買収した企業の財務数値と従業員数が合算されるため、買収した企業の規模次第では大きく経営数値が変化してしまうことがあります。基本的に、買収直後に業績が急激に良くなることは稀で、通常は効率性の指標が一時的に悪化します(利益率や資産回転率など)。
したがって、従業員数が買収により大きく変動していた企業を分析する際は、上記の点に注意して財務数値を見る必要があります。
従業員増加率を見る際の注意点
従業員増加率を見る際の注意点は、以下の2点です。
- 従業員の増加数も確認する
- 業界ごとに差がある
それぞれ詳しく見ていきます。
従業員の増加数も確認する
従業員増加率はあくまでパーセント表示であるため、指標を見る際は必ず従業員の増加数も確認する必要があります。
例えば、50人が60人に増えたのと、500人が600人に増えたのでは、従業員増加率は同じ(20%)ですが、従業員の増加数は大きく異なります。
前者の場合は、ベンチャー企業が速いスピードで成長していくのが期待できますし、後者の場合は、中堅企業が新規事業を始めたのかなと推測することができます。
また、大企業が20%も従業員を増やした場合、人事部に負担がかかるため、組織に問題が発生しやすくなるリスクがあります。
このように、従業員増加率を見る際は、従業員の増加数もセットで確認しましょう。
業界ごとに差がある
従業員増加率は業界ごとに差があります。
営業やエンジニアなどは比較的人を増やしやすい職種ですが、専門知識が必要な士業やコンサル、研究員などの場合は人材育成に時間がかかるため、急激に従業員が増加するのは難しいです。
そのため、異業種での比較の際は、従業員増加率だけを見て企業の成長性を判断してはいけません。必ず業界の特徴もあわせて確認しましょう。
従業員増加率の調べ方とは?
最後に、実際の指標の調べ方を紹介します。
今回は有価証券報告書と決算説明会資料を使って、従業員増加率の計算に必要となる数値を取りに行きます。
有価証券報告書から従業員増加率を計算する
有価証券報告書の第一部【企業情報】の中の、第1【企業の概況】に企業の財務数値のデータが掲載されています。
企業の概況の主要な経営指標当の推移から5年間の財務データを見ると、従業員数という項目が記載されています。
その数値をもとに、企業全体としての従業員数と増加率を計算します。
さらに詳しく見る際は、【企業の概況】の5【従業員の状況】から各事業ごとの従業員数を計算することで、企業がどの事業に力を入れているかを把握することができます。
決算説明会資料から従業員増加率を計算する
また、有価証券報告書の他に、決算説明会資料を参考に計算する場合もあります。
従業員数が企業の事業を伸ばす際のKPIになっている場合は、ほぼ確実に決算説明会資料にも掲載されているのでぜひ確認してみてください。
※企業によっては掲載していない場合もあります。
従業員増加率のまとめ
以上、従業員増加率の解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
従業員数がどの程度増加しているかを示す経営指標です。企業分析の際は、従業員増加率の数値を見て終わるのではなく、なぜ大きく変動したのかを分析することで、より深い示唆を得ることができます。
ぜひ参考にして頂けますと幸いです。
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