コロナ禍でメディアはどうなった?GunosyとZUUを事例に解説
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企業分析2024.4.29
企業のビジネスモデルと財務数値を結びつける会計クイズ。
1日1問挑戦して、ビジネス知識を身に付けましょう。
今回は、メディアビジネスを展開する2社の比較問題です。
この記事では、メディアビジネスがどのように収益を生み出すのか、コロナ禍でどのように変化したのかを、数字を使って解説します。
会計クイズ:登場企業紹介(グノシーとZUU)
最初に今回の登場企業の紹介です。
・Gunosy(メディア + アドネットワーク)
・ZUU(メディア + フィンテック化支援)
この2社はメディアビジネスを展開する企業です。
同じメディアビジネスを展開していますが、それぞれメディアの特徴が異なります。また、メディア以外のビジネスにも違いがあります。
Gunosy(グノシー)の事業内容と売上高の内訳
Gunosyは情報キュレーションサービス・ニュース配信アプリを開発・運営している企業です。
主な収益源は、キュレーションメディア「グノシー」などでの広告配信収入です。
ZUUの事業内容と売上高の内訳
ZUUは経済・金融情報サイトを開発・運営している企業です。
主な収益源は、金融特化型メディア「ZUU online」での広告配信や企業へのメディア構築支援、コンサルティングなどでの収入です。
Gunosy(グノシー)とZUUの売上高の推移
GunosyとZUUの売上高の推移を比較します。
Gunosyはコロナ禍に業績低下した一方で、ZUUは右肩上がりで成長しています。
両者共に、情報メディアを運営していますが、コロナ前後の動きが異なることが読み取れます。
会計クイズ:問題(GunosyとZUU)
以上を踏まえてクイズです。
キュレーションメディア「グノシー」を運営するGunosyの損益計算書はどちらでしょう?
両者のビジネスモデルとコロナ禍での業績がどのようにコスト構造に影響するのかを予想して考えてみてください。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
損益計算書について詳しく知りたい方は、下記の記事もおすすめです。
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会計クイズ:正解の発表
正解は選択肢②がGunosyの損益計算書でした。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
Gunosy(グノシー)とZUUのビジネスの特徴
それではここから解説です。
Gunosyが運営するメディア「グノシー」はキュレーションという特徴がありますが、ZUUが運営するメディア「ZUU online」は金融特化という特徴があり、同じメディアでもそれぞれ違いがあります。
Gunosy(グノシー)のビジネス解説
まず、Gunosyのビジネスについて解説します。
Gunosyの売上高の内訳
Gunosyはキュレーションメディア「グノシー」での広告配信収入が約62%を占めています。
ゲームメディア「ゲームエイト」での広告収入を含めると、売上高の約8割がメディアビジネスで構成されていることが読み取れます。
Gunosy(グノシー)のビジネスモデル
広告主にグノシーなどの広告枠を提供し、広告料を得る広告配信収入がメインです。
外部メディアからも広告枠を仕入れて広告主に販売するアドネットワークも展開しています。
ZUUのビジネス解説
次にZUUのビジネスについて解説します。
ZUUの売上高の内訳
ZUUの売上高の内訳を見ると、約98%をフィンテックプラットフォームで構成していることが読み取れます。
フィンテックプラットフォーム事業は、金融特化型メディア「ZUU online」での広告配信や企業へのメディア構築支援、コンサルティングなどです。
ZUUのビジネスモデル
広告主にZUU onlineなどの広告商品を提供し、広告料を得る広告収入がメインです。
顧客企業のメディアサイトの構築や運用支援サービスも展開しています。
GunosyとZUUの損益計算書の違い
以上を踏まえて、両者の損益計算書を比較すると、アドネットワークでの広告枠の仕入費用を含むGunosyの方が売上原価率が高いことが分かります。
コロナ禍でのGunosy(グノシー)とZUUの経営判断の違いを解説
ここからはコロナ禍での各社の経営判断についてを決算書から読み解いていきます。
Gunosy(グノシー)はコロナ禍で売上高は落ちたが黒字?
GunosyとZUUの業績推移を見ると、Gunosyは売上高が減少しています。
しかし、損益計算書を確認すると黒字となっています。
なぜ売上高が減少したにもかかわらず黒字を維持できたのでしょうか?
Gunosy(グノシー)は広告需要の減少に伴い売上高も減少傾向に
まずはじめに、売上高が減少した要因を見ていきます。
Gunosyはコロナ禍により広告需要が減少しました。
その結果、グノシーの広告配信収入もアドネットワーク収入も減少し業績が低下しました。
広告宣伝費の削減により黒字化
Gunosyは業績悪化に伴い広告宣伝費を大幅にカットする判断をしていることが読み取れます。
また、アドネットワークの売上高に連動して媒体仕入費も減少しました。
このような大幅なコストカットの結果、黒字を維持することができています。
Gunosy(グノシー)のコロナ禍での変化まとめ
Gunosyはコロナによって広告需要が減り売上高が大幅に減少しました。
変動費中心の売上原価は売上減少に伴い減少し、広告宣伝費を大幅カットすることで黒字を維持しています。
ZUUは売上高増加だが、赤字?
次にZUUのコロナ禍での経営判断について見ていきます。
ZUUはコロナ禍でも売上高を伸ばしていますが、損益計算書を見ると赤字となっています。
なぜ売上高が右肩上がりで伸びているにもかかわらず赤字なのでしょうか?
コロナ禍により投資需要が拡大し、ZUUのメディアPV数増加
コロナ禍で投資需要が拡大したため、訪問者数増加に伴い広告もメディア支援も好調で推移しています。
業績に伴い、積極的に投資し費用増加
業績好調に伴い投資を拡大しました。
その結果、人件費と広告宣伝費が大幅に増加し赤字を計上しました。
ZUUのコロナ禍での変化まとめ
ZUUはコロナ禍での投資需要の影響で売上高が大幅に増加しました。
一方で、採用と広告宣伝を強化した結果赤字を計上しています。
会計クイズまとめ:グノシーとZUU
最後にまとめです。
今回はメディアビジネスというテーマで、両者のビジネスモデルを比較しました。
同じメディアビジネスといっても、両者のメディアの特徴やコロナ禍での需要が全く違うことが決算数値を見ることによって読み取ることができます。
以上、今回のクイズの正解は、選択肢②がGunosyでした。
お付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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<この分析記事の出典データ>
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