事例で学ぶフリーミアムモデル!なぜ無料でサービスを提供できるの?
2024.4.29
フリーミアムというビジネスモデルはみなさん知っていますか?
みなさんが一度は使った経験がある「Spotify」や「モンスト」などもフリーミアムというビジネスモデルを採用しています。
この記事では事例を通じて、フリーミアムの仕組みについてを解説します。ぜひ最後までお付き合いください。
フリーミアムとは?
フリーミアムとは、「フリー」と「プレミアム」を組み合わせた造語です。
製品やサービスの基本的な機能を無償で提供し、より高度な機能やサービスを有料で提供し収益を得るビジネスモデルです。
クリスアンダーソンは著書『フリー』で、1人当たりの運営費用が0に近いデジタル商品の場合は、5%の有料ユーザーによって、95%の無料ユーザーの費用を回収できると述べています。
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フリーミアムモデルでは、無料ユーザーに制限を設けることで、無料ユーザーにストレスを与えたり、有料ユーザーになると使える機能やサービスなどに魅力を持ってもらい、有料ユーザーになることを促します。
フリーミアムモデルで機能やサービスに制限を設ける場合は、いくつかパターンがあります。
フリーミアムとは:①機能の制限
無料版では、一部機能を使えないように制限を設けているケースです。
例えば、クックパッドでは、有料ユーザーにならなければ、レシピの検索機能が使えません。
フリーミアムとは:②利用上限
ストレージの使用量や毎月の閲覧件数などで、利用上限を設けているケースです。
例えば、iPhoneを持っている方ならご存じの通り、一定量までは無料でiCoudでデータを保存することができます。しかし、一定量を超えると有料ユーザーにならなければ、それ以上のデータをiCloudに保存できません。
フリーミアムとは:③サポートの制限
無料プランでは、カスタマーサポートが使えないなどのサポートに制限をかけるケースです。
例えば、adobeのソフトウェアの体験版は原則としてサポート対応していません。
フリーミアム:採用事例のクイズ
それでは、ここまでの説明を踏まえて、簡単なクイズです。
フリーミアムのビジネスを採用している企業は以下のうち、どれだと思いますか?
タップで回答を見ることができます
Tesla
Zoom
NIKE
フリーミアム:ビジネスモデルを採用している企業事例
フリーミアム:ビジネスモデル採用事例①Zoom
オンライン会議ができるアプリケーションを提供しているZoomは、無料バージョンでは3人以上の場合40分間までという制約や、参加可能人数の制限などがあります。
Zoomがアプリケーションを運営する上でかかるメインの費用は、サーバー代となります。Zoomのサーバー代は1ユーザーあたりの単価が低いため、フリーミアムモデルに適しています。
Zoomの場合は、2019年時点で10万ドル以上の収益をもたらした大口顧客の55%は、元々無料ユーザーだったように、フリーミアムから有料顧客への転換がうまく行っています。
フリーミアム:ビジネスモデル採用事例②Spotify
音楽配信サービスを提供しているSpotifyは、基本的に楽曲は無料で聴けますが、音楽と音楽の間に広告が入ったり、自分で曲を選択できないなどの制約があります。
Spotifyの費用は、サーバー代に加えて、音楽の著作権使用料が発生します。
音楽の著作権料は、1曲再生あたり、0.3〜0.5円程度となっています。
音楽の著作権料は、比較的割高になってしまう可能性がありますが、Spotifyは有料課金率が高いため、フリーミアムモデルを適用できています。
Spotifyは、MAU(月間アクティブユーザー数)が3.8億人で、有料ユーザー数が1.7億人となっており、フリーミアムモデルがうまくいっています。
フリーミアム:ビジネスモデル登場の背景
ベンチャーキャピタルのフレッド・ウィルソン氏が最初に「フリーミアム」のビジネスモデルを以下のように唱えています。
サービスを無償で提供し、口コミ、SNSでの紹介、オーガニック検索などで効率的に大量の顧客を獲得し、その後その顧客に対して有償の付加価値サービスやより機能が充実したサービスを提供することです。
フリーミアムという名前自体は、ウィルソン氏のブログにて、名前を募集し、フリーミアムが最も適切な用語として選ばれました。
フリーミアム:ビジネスモデルの収益構造
フリーミアムの収益構造について解説します。
フリーミアムの収益は、基本的に有料ユーザーからしか獲得できません。そのため、有料ユーザーで稼いだ利益で、無料ユーザーへの提供コストを回収する必要があります。
収益は「有料ユーザー×1ユーザーあたりの単価」で算出することができます。
ただし、広告でマネタイズしているパターンもあります。
費用は、全ユーザー数×1ユーザーあたりの提供コストです。
しかし、全ユーザーといっても、まったく使わなくなったユーザーもいるため、MAU(月間アクティブユーザー)などがより適切な場合があります。
フリーミアム:ビジネスモデルの強み
フリーミアムの強みは、基本機能を無料で提供しているため、顧客が使用するまでの敷居が高くありません。そのため、有料ユーザーになる可能性のある無料ユーザーを大量に獲得できる可能性があります。
無料で使えるため、顧客自身もSNS等でも紹介しやすく、広がりやすく、ネットワーク効果が期待できるサービスは特に相性がいいです。
無料ユーザーには提供しているサービスや製品の中などで有料機能を訴求できる状態のため、基本的に外部の広告費等をかけずに有料ユーザーを獲得できます。
フリーミアム:ビジネスモデルの弱み
フリーミアムモデルの弱みは、有料ユーザーから得た利益を無料ユーザーの費用の補填に使うモデルのため、1ユーザーあたりのコストが高い場合や、1ユーザーあたりの単価が低い場合に、利益を出すどころか、費用の回収も難しくなってしまうことです。
以下の事例を参考に考えてみます。
・全ユーザー数 1,000人
・1ユーザーあたりの提供コスト 100円
・有料ユーザー数 100人
・1ユーザーあたりの単価 500円
この場合、費用が100,000円で売上が50,000円になるため、損失が発生してしまいます。
もちろん、有料ユーザー数の割合を増やせばいいという考え方もできますが、自社で管理するのは難しいです。
そのため、提供コストが限りなく0に近いほどよく、1ユーザーあたりの単価は高いほどいいです。
フリーミアム:まとめ
今回は、フリーミアムというビジネスモデルを解説しました。
実際にこのようなビジネスを展開している企業は日本にもたくさんあります。
例えば、チャットツールで有名な「Chatwork」やレシピサイトを運営する「クックパッド」などが該当します。
決算書を読む際や、ビジネスを学ぶ際などに意識してみてください。
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