コカ・コーラの儲けの仕組みを徹底解説!
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企業分析2024.4.29
企業のビジネスモデルと財務数値を結びつける会計クイズ。
1日1問挑戦して、ビジネス知識を身に付けましょう。
今回は、コカ・コーラビジネスを展開する日米比較の問題です。
この記事では、米国本社のThe Coca-Cola Companyと日本企業のコカ・コーラボトラーズジャパンHDのビジネスモデルの違いを、数字を使って解説します。
今回の会計クイズ
会計クイズ:登場企業紹介
最初に今回の登場企業の紹介です。
・The Coca-Cola Company(米国の本社)
・コカ・コーラボトラーズジャパンHD(日本の会社)
この2社は、有名な炭酸飲料である「コカ・コーラ」を扱っている企業です。
両社ともにコカ・コーラを提供する清涼飲料水に関するビジネスを展開しています。
商流の解説:コカ・コーラシステムとは?
コカ・コーラ社がコカ・コーラの原液を製造開発し、提携先のボトリングパートナーがその原液を使い完成品を販売しています。
したがって、The Coca-Cola Companyは原液の製造や開発が中心の原液メーカーという特色が強い会社です。
一方、ボトリングパートナーにあたるコカ・コーラボトラーズジャパンHDは、The Coca-Cola Companyの100%子会社である日本企業です。
コカ・コーラ株式会社から原液等を仕入れ、完成品を販売しています。
したがって、コカ・コーラの原液を製造開発する会社と、原液を仕入れ、それを元に完成品を製造して販売する会社という違いが両者には存在します。
会計クイズ:問題
以上を踏まえてクイズです。
コカ・コーラの原液を製造開発するThe Coca-Cola Companyの損益計算書はどちらでしょう?
両社のビジネスモデルがどのようなコスト構造になるのかを予想して考えてみてください。
※両社ともに2021年度のデータを元にしています。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
損益計算書について詳しく知りたい方は、下記の記事もおすすめです。
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会計クイズ:正解の発表
正解は選択肢①がThe Coca-Cola Companyの決算書でした。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
それではここから解説です。
この記事では、米国本社のThe Coca-Cola Companyと日本企業のコカ・コーラボトラーズジャパンHDのビジネスモデルの違いを、数字を使って解説します。
ビジネスモデルの解説:コカ・コーラシステム
この2社は、有名な炭酸飲料である「コカ・コーラ」を扱っている企業です。
両社ともにコカ・コーラを提供するビジネスを展開していますが、The Coca-Cola Companyは原液の供給やマーケティングを行っているのに対して、コカ・コーラボトラーズジャパンHDは製品の製造・販売を行っています。
ビジネスモデル:コカ・コーラの全体像
まずは、コカ・コーラの製造から販売までの全体像についてを改めて解説します。
コカ・コーラ社がコカ・コーラの原液を製造・開発し、提携先のボトリングパートナーがその原液を使って完成品を販売しています。
The Coca-Cola Company:収益の内訳
原液を製造開発するThe Coca-Cola Companyの収益の内訳を見てみましょう。
The Coca-Cola Companyは、収益の半分以上、販売量の8割以上を原液販売で占めています。
全世界に存在するボトリングパートナーの数だけ販売先が存在し、独占販売をすることが可能となります。
コカ・コーラボトラーズジャパンHD:収益の内訳
一方、コカ・コーラボトラーズジャパンHDは完成品を製造し、小売店への販売や自動販売機(ベンディング)による消費者への直接販売を行っています。コカ・コーラ以外にも、様々な清涼飲料水を製造販売しているため、収益源も多岐に渡ります。
コカ・コーラ:収益性
以上を踏まえて、両社のビジネスの収益性を比較します。
コカ・コーラ:両者のビジネスの違い
原液販売を行っているThe Coca-Cola Companyは、高付加価値の原液を限られたパートナーに対して販売するため、売上高が小さく売上総利益率が高い傾向にあります。
一方、原液を仕入れ、完成品の販売を行っているコカ・コーラボトラーズジャパンHDは、薄利多売のビジネスであり、売上高が大きく売上総利益率が小さくなる傾向があります。
コカ・コーラ:付加価値の比較
両者のビジネスの違いが、どのように数字に反映されるのかを確認します。
2社の損益計算書データをみると、原液を販売するThe Coca-Cola Companyの方が売上総利益率が高く、付加価値を高めて販売していることが読み取れます。原液の仕入先は限られていることから、より高い価値を付けて販売することが可能となっています。
コカ・コーラ:販売費の比較
次に、販売費についてを見ていきます。
The Coca-Cola Companyの原液販売ビジネスはボトラーへの販売が中心となります。
したがって、既に売り先が決まっているため、販管費率を低く抑えることができるという特徴があります。
一方、コカ・コーラボトラーズジャパンHDは一般消費者向けに販売する必要があります。
一般消費者向けの清涼飲料水市場は競争の激しい市場であるため、販売に関する費用も多額に発生します。
The Coca-Cola Companyの販管費内訳を見ると、ブランディング目的などの広告宣伝費がメインであり販売費や物流費は少ないことが読み取れます。
一方、コカ・コーラボトラーズジャパンHDの販管費内訳を見ると、販売手数料及び販売促進費など販売量を増やすためのコスト負担が大きいことが読み取れます。
コカ・コーラ:利益率
最後に、両社の利益率を比較してみます。
上記のビジネスの違いからもわかる通り、原液販売の方がより付加価値を上げて販売することができることから、原液販売の本社と製造販売のボトラーは収益性の差が大きいのが分かります。
コカ・コーラ:儲けの仕組み
The Coca-Cola Companyの原液販売ビジネスは非常に高収益という説明をしましたがリスクも存在します。
それは、ボトリングパートナーが儲からなくなってしまったり、撤退してしまった場合には販売先が減ってしまうというリスクです。
つまり、ボトリングパートナー無しではビジネスを成り立たせることができません。
そのため、The Coca-Cola Companyはボトラーの販売促進費を一部負担する等、ボトリングパートナーの支援も行っています。
また、決算書を見ると、支援の一つとして、日本コカ・コーラ株式会社から1,000億円以上のリベート収入を得ていることが分かります。
コカ・コーラボトラーズジャパンHDはThe Coca-Cola Companyからのリベート収入がなければ、毎期巨額の赤字であることも読み取れます。
このように、原液を販売する会社はボトリングパートナーのサポートも積極的に行っています。
会計クイズ:まとめ
以上、今回の会計クイズのまとめです。
今回は、コカ・コーラというテーマで、両社のビジネスモデルを比較しました。
コカ・コーラビジネスと言っても、両社のビジネスモデルや収益性、コスト構造などが全く違うことが決算数値を見ることによって読み取ることができます。
今回のクイズの正解は、選択肢①がThe Coca-Cola Companyでした。
以上、お付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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<この分析記事の出典データ>
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