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家電メーカー「バルミューダ」のビジネスモデルを徹底解剖!

2024.4.29

家電メーカー「バルミューダ」のビジネスモデルを徹底解剖!

会計クイズとは、企業のビジネスモデルと財務数値を結びつけるトレーニングができるコンテンツです。

今回は家電を扱う「バルミューダ」「富士通ゼネラル」「ビッグカメラ」の3社の比較問題です。

クイズを通じて、分析力やビジネスリテラシーを身に付けましょう!

会計クイズ:登場企業紹介

最初に今回の登場企業の紹介です。

  • バルミューダ
  • 富士通ゼネラル
  • ビックカメラ

この3社は、家電を販売している企業です。

しかし、家電の販売でも、家電の製造をしているのか、仕入販売をしているのかにより大きくビジネスが異なります。

まずは各社の特徴を押さえましょう。


バルミューダ:事業内容と特徴

バルミューダは、家電の製造販売をしている会社です。

高機能と高いデザイン性を特徴とする高級なキッチン家電や空調機を販売しています。

2021年にはスマートフォンにも参入しています。


富士通ゼネラル:事業内容と特徴

富士通ゼネラルは、家電の製造販売をしている会社です。

AIエアコン「nocria」やウェアラブルエアコン「Cómodo gear」などの空調機を販売しています。


ビックカメラ:事業内容と特徴

ビックカメラは、家電の仕入販売をしている会社です。

みなさんも一度は見たことがあると思いますが、グループ全体で261店舗展開する家電量販店です。

家電の販売という共通点を持つ3社ですが、相違点があります。それは、製造販売なのか、仕入販売(小売)なのかの違いです。

また、製造販売のなかでもバルミューダにはどんな特徴や強みがあるかをイメージして解いてみてください。


会計クイズ:問題

家電を販売する「バルミューダ」、「富士通ゼネラル」、「ビックカメラ」3社の貸借対照表のうち、バルミューダの貸借対照表はどれかを予想してみてください。

タップで回答を見ることができます

1

選択肢①

2

選択肢②

3

選択肢③

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会計クイズ:正解の発表

正解は選択肢①がバルミューダの貸借対照表でした。

お付き合い頂き、ありがとうございます。

それでは、会計クイズの解説に移ります。

まずは、3社の相違点を比較してみましょう。


相違点①:販売相手

今回の3社には、メインの販売相手という相違点があります。

ビックカメラはエンドユーザーである消費者に販売しているのに対し、バルミューダと富士通ゼネラルはエンドユーザーに販売する家電量販店などの企業に販売しています。

バルミューダはECなどのエンドユーザー(消費者)への販売チャネルもありますが、大半は家電量販店などの企業に販売しています。

販売先の違いにより、売上債権の大きさが異なります。

ビックカメラの主な販売相手は、エンドユーザー(消費者)への販売がメインのため、その場での現金決済が多くなり売上債権が大きくなりにくい傾向にあります。

反対に、バルミューダや富士通ゼネラルは、ビックカメラのような家電量販店に販売しています。

多くの場合、企業間取引では掛けで取引されるため、売上債権が大きくなりやすい傾向があります。


相違点②:設備

2つ目の3社の相違点に、設備を保有しているかしていないかという点があります。

ビックカメラは全国に261店舗を展開しており、その店舗にかかる土地や差入保証金など固定資産が多くなる傾向にあります。

そのため、貸借対照表に多くの固定資産が計上されています。

残りの2社はメーカーという共通点があります。

しかし、固定資産の大きさが異なります。

なぜバルミューダはメーカーなのに固定資産が小さいのでしょうか?

バルミューダの固定資産が小さい理由は「ファブレスメーカー」だからです。

「ファブレスメーカー」とは自社で工場を保有せず、外部の工場に製品の生産を委託するメーカーのことです。

バルミューダの設備の状況を確認してみても、生産設備を保有していないことがわかります。

以上、家電業界3社の貸借対照表比較でした。

最後に、少し応用的な内容ではありますが、バルミューダの特殊な業績推移について解説します。


バルミューダの業績

バルミューダは2020年から2021年にかけて、キッチン関連の好調や携帯端末の新発売により全体の売上高が45%増加しています。

しかし営業CFは増加しているどころか大きくマイナスになっています。

売上高は好調なのに、営業CFが大きくマイナスになるのはなぜなのでしょうか?

その理由を解き明かすために、バルミューダの営業キャッシュ・フローの計算書を確認します。

この計算書は先頭に「税引等調整前当期純利益」、最後に「営業活動によるキャッシュ・フロー」、その間に利益と現金の動きの差を埋める各調整項目が並んでいます。

調整項目には、例えば

  • 現金が動かない費用である「減価償却費」
  • 現金が動かないが利益は変動する「売上債権の増減額」

などがあります。

今回、業績好調に見えるバルミューダの営業CFがマイナスになっているのは、売上債権の増加が原因です。

ここで、売上債権の増加と営業CFの関係性を解説します。

掛けで商品を売り、その代金が期末時点で未回収の場合を考えてみましょう。

このとき、商品を売り上げているため、損益計算書上はその分の利益が発生しています。

しかし、この取引からは現金が流入していません。

ここで利益の動きと現金の動きにズレが生じています。

したがって、売上債権が増加した場合は、発生した利益から売上債権の増加分を差し引くことで、現金の動きを正しく把握することができます。

バルミューダは、2021年11月に発売した携帯端末が28億円売り上げたことなどによって、12月末時点の売上債権が前年比で約30億円増加しています。

しかし、この約30億円は掛け取引であるため、その分の現金はまだ入ってきていません。

その結果、2021年12月期は、営業による現金の流入額より流出額のほうが大きい状態(=営業CFがマイナス)になっています。

バルミューダは営業CFの金額だけ見ると、経営が傾いているのではないかと思うかもしれません。

しかし、大きなマイナスの主な原因は売掛金の未回収です。

翌期に携帯端末販売等の売掛金が回収されさえすれば、このマイナスは特に問題ありません。


まとめ

今回は家電の販売をしている3社のビジネスの特徴を解説しました。

決算数値を見ることで、身近に使用しているサービスの実態を読み取ることができます。

以上、正解は選択肢①がバルミューダでした。

以上、お付き合いいただきありがとうございました。

決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。

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<この分析記事の出典データ>

バルミューダ IR

富士通ゼネラル IR

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この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

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