【図解】メーカー3社比較!メーカーのビジネスモデルを徹底解説!
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企業分析2024.4.29
企業のビジネスモデルと財務数値を結びつける会計クイズ。
1日1問挑戦して、ビジネス知識を身に付けましょう。
今回は、メーカー3社の比較問題です。
会計クイズ:登場企業紹介
最初に今回の登場企業の紹介です。
・ヤクルト本社(乳酸菌飲料)
・雪印メグミルク(乳製品)
・資生堂(化粧品)
この3社はメーカーという点で共通点があります。
同じメーカーですが、扱っている製品がそれぞれ異なり、ビジネスモデルにも違いがあります。
ヤクルト本社:事業内容と特徴
ヤクルト本社は乳酸菌飲料「ヤクルト」を製造し、世界中で販売するメーカーです。
宅配チャネルでは業務委託の「ヤクルトレディ」が訪問販売しているという特徴があります。
ヤクルトレディは国内だけで30,000人以上います。
会計クイズ:問題
以上を踏まえて、クイズです。
乳酸菌飲料を扱っているヤクルト本社の損益計算書はどれでしょう?
各社のビジネスモデルがどのようなコスト構造になるのかを予想して考えてみてください。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
会計クイズ:正解の発表
正解は選択肢②がヤクルト本社の決算書でした。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
それでは解説です。
ヤクルト本社:ビジネスモデル
ヤクルト本社は、乳酸菌飲料「ヤクルト」を中心とする飲料および食品を製造販売しているメーカーです。
ヤクルト本社の販売チャネルは主に店頭、自販機、宅配の3つがあります。
チャネル別販売比率を見ると、ヤクルトレディ(宅配)による販売が全体の半分を占めています。
ヤクルトの宅配チャネルでは、ヤクルトレディが毎週届けます。
乳酸菌や腸のはたらきに関する情報を家族に合わせて提供します。
ヤクルトレディは全国で3万人以上います。
ほとんどが主婦であり、その多くが個人事業主です。
以上を踏まえて、ヤクルト本社の損益計算書を見ていきます。
機能性表示食品などの高付加価値食品の販売や宅配・自動販売機などの直販により食飲料品メーカーの中では売上総利益率が高い傾向にあります。
販管費の内訳を見ると、広告宣伝費の他に、直販のための人件費と販売手数料が多く占めています。
資生堂:ビジネスモデル
資生堂は、アジアを代表するビューティー企業です。
売上高の内訳を見ると、化粧品で約80%構成されています。
資生堂はデパートなどに店舗を構え、カウンセリングを通して化粧品を販売しています。
店舗では、ビューティーコンサルタントが直接接客します。
具体的には、自社化粧品を使って美しくなってもらうための提案を行っています。
以上を踏まえて、資生堂の損益計算書を見ていきます。
原価のかからない化粧品を広告やビューティーコンサルタントで販売しています。
したがって、原価率が低くなり、媒体費等と人件費などの販管費が高くなります。
雪印メグミルク:ビジネスモデル
雪印メグミルクは、牛乳やヨーグルト、バターなどの乳製品を中心に製造するメーカーです。
雪印メグミルクの主な販売先は国内の小売店や食品商社がメインです。
以上を踏まえて、雪印メグミルクの損益計算書を見ていきます。
複数の業者を仲介して消費者に製品を提供しています。
直接の販売先が商社や小売店のため原価率が高くなります。
メーカーの決算書を読む注意点
雪印メグミルクの2022年3月期は前年度から原価率が7%上昇し、販管費率が7%減少しました。
従来は、優位な商品陳列の礼金などであるリベートを販売促進費として計上していました。
しかし、2022年3月期から販売促進費を売上高から減算して処理したため、500億円以上の影響が決算書に反映されました。
メーカーの決算書を読む際は、会計基準の変更により費用の処理が変わるため注意が必要です。
会計クイズ:まとめ
最後にまとめです。
今回は、メーカーというテーマで、各社のビジネスモデルを比較しました。
メーカーと言っても、各社の販売チャネルや販売戦略などが全く違うことが決算数値を見ることによって読み取ることができます。
以上、今回のクイズの正解は、選択肢②がヤクルト本社でした。
以上、お付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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