市場規模の調べ方は?TAM・SAM・SOMの違いを解説
2024.5.1
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この記事では企業分析を行う際に役に立つ、「市場規模」の意味や使い方を解説します。
図解を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
市場規模とは?
市場規模とは、一定期間に、ある事業分野においての取引金額や、販売数量を指します(=業界全体の総売上)。
市場規模は、新規事業を立ち上げる際には、どの程度の売上が見込めるかを推定するための基礎的な情報となります。また市場規模の変化をみることで、企業の売上の予測などを立てる基礎を得ることができます。
例えばアイスクリームの市場規模は、約5,500億円となっています。
そのため、アイスクリームビジネスを営む場合、理論上は5,500億円が上限の目安となります。
さて、市場規模は大きく、TAM、SAM、SOMの3つに分類することができます。
ここからは、それぞれの市場規模の定義についてを解説します。
TAM、SAM、SOMとは何か?それぞれの意味と使い方
TAM (Total Addressable Market)、
SAM (Serviceable Addressable Market)、
SOM (Serviceable Obtainable Market)
は、市場規模に関連する概念です。
これらの概念を使用することで、新規参入する市場の全体像や、今後の成長可能性を把握することができます。
まずは、それぞれの意味についてを解説します。
TAMとは
TAMとは、「Total Addressable Market」の略称で、ある製品またはサービスがターゲットとする可能性のある市場全体の規模を指します。
例えば、スマートフォン市場のTAMは、世界中の消費者が購入できるスマートフォンの合計規模です。
TAMを把握することで、新規事業を立ち上げる際に、市場における製品・サービスの総需要を把握することができます。
TAMが大きければそれだけ魅力的な市場となりますが、一方で競合の数も多くなる傾向があります。
SAMとは
SAMとは、「Serviceable Available Market」の略称で、ある企業が実際にターゲットとすることができる市場の規模を指します。
例えば、日本に拠点を置くスマートフォンメーカーのSAMは、日本国内の消費者が購入できるスマートフォンの合計規模です。
SAMを把握することで、特定の顧客セグメントの需要を把握することができます。
SOMとは
SOMとは、「Serviceable Obtainable Market」の略称で、実際に自社が獲得できるであろう現実的な市場規模という意味で使われます。
SAMと比較すると、SOMは最も現実的な市場規模を表した指標であり、企業の短期目標としても使われます。
また、SOMは「Share of Market」の略称としても用いられます。この場合は、 ある企業が実際に占める市場のシェアを指します。
TAM、SAM、SOMとは何か?まとめ
このように市場規模と言っても、定義によって意味が異なります。
ぜひ、「市場規模」が何を指しているのかを、その都度確認しましょう。
さて、簡単なクイズです。
知識の確認にぜひ活用してみてください。
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タップで回答を見ることができます
TAM
SAM
SOM
TOM
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TAM、SAM、SOMの使い分け:市場規模を正確に把握する方法
TAM、SAM、SOMは、市場規模を把握するために使用されますが、それぞれ異なる目的や使い方があります。
TAMの使い方
TAMは、ある製品やサービスがターゲットとする可能性のある市場全体の規模を示し、新しい製品やサービスの開発や拡大戦略を立てる際に使用されます。
新しい製品やサービスが、最大どの程度の収益を上げる可能性があるかを把握するために役立ちます。
SAMの使い方
SAMは、実際にターゲットとすることができる市場の規模を示します。
具体的な中長期経営計画の策定に用いられたり、実際にターゲットとすることができる顧客数や収益を把握するために役立ちます。
SOMの使い方
SOMは、ある企業が実際に獲得することが可能、又は既に獲得している市場のシェアを示します。
そのため、競争環境や市場シェアの変化を把握したり、市場戦略を調整するために使用されます。
使い方のまとめ
それぞれの使い分けにおいて、市場リサーチや顧客調査を行うことで、現状や将来の見込みを把握することができ、正確な市場規模を把握することができます。
TAM、SAM、SOMの2種類の算出方法
TAM・SAM・SOMの算出方法は主に2つあります。
- トップダウンアプローチ(マクロデータを元に算出)
- ボトムアップアプローチ(顧客数と商品単価から売上を積み上げて算出)
まずは簡単なクイズです。
資産運用サービスを提供するウェルスナビの決算説明会資料には、市場規模の情報が開示されています。
こちらの市場規模の情報は、トップダウン、ボトムアップのどちらで市場規模が算出されているでしょうか?
![](https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/a762e54674a34de9b502522e7d0501e9/%E5%B8%82%E5%A0%B4%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E2%91%A0%E5%95%8F%E9%A1%8C%EF%BC%9AVer2.0.png)
タップで回答を見ることができます
トップダウン
ボトムアップ
それではそれぞれのアプローチを順に解説していきます。
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチとは、マクロ的な視点から考える分析方法で、新規参入を図る市場全体からターゲット層を除いていく方法です。
主にTAMから計算し、最終的に自社がアプローチできる顧客層を把握する際に用いられる方法です。
トップダウン分析を用いる際は市場全体の数値が重要になってきますが、古い市場規模のデータを用いると正確な分析ができず、見込み収益を見誤る可能性が出てくるため注意が必要です。
トップダウンでTAMを算出するウェルスナビ
ウェルスナビの決算説明会資料では、最初に20~50代が有する金融資産の金額が起点となっています。
これは、マクロの数字であることから、トップダウンで市場規模(TAM)が算出されていることがわかります。
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ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチとは、ミクロ的な視点から考える分析方法で、自社の商品・サービスの需要の大きさを顧客1人1人のデータから計算していく方法です。
主に実際の顧客に対するアンケートなどから市場調査を行っていきます。
ボトムアップ分析を用いる際の注意点は、顧客に対するアンケートで曖昧な質問を行い正確なデータが収集できない点です。そのため、顧客に対するアンケートを行う前に具体的な質問を用意する必要があります。
ボトムアップでTAMを算出するフリー
フリーの決算説明会資料では、顧客になりうるユーザー数とfreeeの課金体系を乗じた金額として市場規模(TAM)が算出されています。顧客数と販売単価を積み上げていることから、ボトムアップで市場規模(TAM)が算出されていることがわかります。
![](https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/82d56f50195e41169113b788cdfc92e8/image.png)
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