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各業種の動向がわかる経済指標を徹底解説

各業種の動向がわかる経済指標を徹底解説

2023.4.6に更新

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大手町のランダムウォーカー

トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

目次

産業の仕組みと業種について

経済を構成する産業には様々な種類の業種があり、大きく分けて三つに分類されています。

各産業は、他の産業と密接に関わり合いながら、それぞれの事業を成立させています。第二次産業は第一次産業が、第三次産業は第二次産業がなければ、事業を成立させることはできず、第一次産業も第二次・第三次産業からの需要があってこそ成り立っています。
各家庭にレトルトのカレーが並ぶには、まずカレーの材料を生産・収獲(第一次産業)し、それを加工会社が製品へ加工(第二次産業)。運送業が運搬し小売業で販売(第三次産業)して、初めて消費者の手に届きます。どこかひとつが好調ならよいというものではなく、相互に支援しあう関係であってこそ、それぞれの産業が好調になるのです。

業種ごとのGDPの割合

GDPを業種ごとに見た割合は以下の通りです。
 
国内では製造業のGDP比率が最も高く全体の約2割。次いで卸売・小売業、不動産業が続きます。

2010年から2019年にかけて増進傾向にあるのが専門・科学技術、業務支援サービス業と保健衛生・社会事業。IT化の促進と保健・福祉への意識の高まりが、GDPへも現われている結果となっています。
内閣府「2019年度国民経済計算

鉱工業の動向がわかる経済指標

GDPにおいて大きな比率を占める鉱業・製造業の総計である鉱工業。日本経済において重要な役割を担う業種であり、その動向ひとつでGDPにも大きな影響を与えます。
その鉱工業全体の動向を示す統計が「鉱工業指数」です。鉱工業指数は、基準年を100とした指数の形で、その時点の鉱工業の状況を示します。日本のGDPの2割を占め、関連業種も含めれば4割もの経済活動に影響を与える鉱工業は、その動向が非常に重要。また景気の動きに敏感に反応するため、国内の経済状況の変動を察知するための指標として非常に優秀です。

鉱工業指数

鉱工業指数は、国内の鉱業・製造業の生産量や出荷量、設備の稼働状況などを把握するための指数です。5年ごとに更新される基準年(現在は2015年)と該当年を比較し、生産・出荷・在庫・在庫率の指数を算出します。

生産指数、出荷指数、在庫・在庫率指数とは

鉱工業指数は、主に「生産指数」「出荷指数」「在庫指数」「在庫率指数」の4つの指数で構成されています。

基準年=100として、当該月の生産・出荷・在庫量を品目ごとに指数化。鉱工業全体や業種別・品目別などの目的別に集計し、総合的な指数を算出します。

製造業の動向がわかる経済指標

鉱工業指数とは別に、製造業特有の指数も存在します。第二次産業である製造業は、あらゆる業種との繋がりを持つ日本における主要産業のひとつです。動向のひとつひとつが日本経済に大きな影響があるため、指標を用いて動向を見守る必要があるのです。

生産指数 集積回路とは

集積回路とは、半導体基板の上に抵抗やコンデンサ、トランジスタなどをまとめた電子部品を指します。鉱工業指数の対象となる157の品目のひとつとして数えられます。
集積回路は、あらゆる電子製品に組み込まれる部品であり、その需要は非常に高いものです。あらゆる電子製品の開発が求められるハイテク産業においては必須の部品であることから、集積回路は経済の動向を判断する指標のひとつとして注目されています。
経済産業省「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)、製造工業生産予測指数

粗鋼 生産高とは

一般社団法人日本鉄鋼連盟では、国内における粗鋼の生産高を集計し公表しています。毎月速報として公開され、暦年・年度の集計データがそれぞれ年に1度更新されています。
粗鋼は圧延や鍛造といった加工を施される前の鋼です。主に自動車などの材料や建築に使われる建材に用いられます。
比較的高級商材となる材料であることから、粗鋼の生産高は景気の動向を測る指標のひとつとして用いられています。
一般社団法人日本鉄鋼連盟「鉄鋼生産速報

新車販売台数とは

一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する、自動車の登録台数を集計した指標です。毎月稼働日1日目に新車登録車数の総計を発表。4日目には新車メーカー別、8日目には中古車のデータが公表されます。
2018年における自動車製造業の製造品出荷額は62兆3,040億円。全製造業における製造品出荷額のおよそ19%が自動車であり、GDPの約1割を占める巨大産業として大きな存在感を持っています。自動車の販売台数は、そのまま日本経済の隆盛に直結するといえるほど大きな比率を占めているため、新車販売台数は景気の動向を判断する材料のひとつとして重視されているのです。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会「統計データ

建設業の動向がわかる経済指標

建設業はGDPの約5%に留まっていますが、建材や各種サービスとも関係が強く、経済への影響は非常に大きな業界といえます。建設業の動向を調査することにより、日本経済の動向を予測できる面も大いにあるでしょう。

建設工事受注

建設業の動向は、建設工事受注動態統計調査を通じて確認できます。工事は、受注から着工、竣工と長い期間をかけて行われるため、経済的な影響が起きるのは受注時点よりも未来となります。そのため建設工事受注は先行指標としての側面を持ち、建設業の将来的な景気を予測する材料となります。
建設工事受注動態統計調査は、建設大手50社を対象に毎月実施され、翌月末に公表。また年計は翌年の1月末、年度計は翌年の4月末に、対象月の月報と共に公表されます。
国土交通省「建設工事統計調査

新設住宅着工

建設業の指標において、もうひとつ注目したいのは新設住宅着工に関する指標です。新築住宅の購入は金額が大きく、一般的にはそうそう簡単に購入には踏み切れません。1%でも値下がりが発生すれば支払金額に大きく影響するため、景気が悪化トレンドにある間は、下がりきるまで買い控える傾向が強く見られます。そうした市民心理の影響をダイレクトに受ける指標のため、民間消費に影響する指標として注目されています。
新築住宅着工は建築動態統計調査の一部として行われ、毎月の統計は翌月末に公表されます。また年計は翌年の1月末、年度計は翌年の4月末にまとめて発表されるのが通例です。
国土交通省「建築着工統計調査

マンション契約率

株式会社不動産経済研究所が発表する「マンション市場動向」では、毎月のマンション契約率を集計し公表しています。非常に高額な買い物であるマンションは支払いが数十年と続くため、個人の先行きが不透明である間はなかなか購入に踏み切れないものです。そのため契約率の上昇が見られるようになると、財政状態が良好である個人が経済の先行きを明るいと判断している証拠となるため、民間消費の動向を表す指標のひとつと考えられています。
株式会社不動産経済研究所「マンション市場動向

サービス業の動向がわかる経済指標

第一次産業・第二次産業を除くサービス産業(広義)は、GDPの約7割。市場規模は拡大の傾向を続けています。動向が経済に大きな影響を与えるサービス業を測る指標を通じて、経済動向を見極めましょう。

広告扱い高

広告費は景気が悪くなると削られる対象となる経費の「3K(交通費、交際費、広告宣伝費)」のひとつ。すなわち広告への資金流入が多ければ多いほど、景気が好調であるとみなすことができます。また広告費は実際の収益に繋がる前の先行投資であるため、経済指標においては先行指標となり、今後の経済を予測する材料として非常に大きな役割を果たします。
株式会社電通「2020年 日本の広告費

第三次産業活動指数

第三次産業の活発さを表す指標として、経済産業省が公表しています。全産業のうち、第一次産業と第二次産業を除くすべての産業が含まれる第三次産業は、経済産業省の区分では広義のサービス業に該当。GDPの7割を占めるサービス業の動向を指数で読み解くことにより、経済活動に繋がる産業の生産活動を総合的に捉えることができます。
経済産業省「第3次産業(サービス産業)活動指数

指数の仕組みの解説

第三次産業活動指数は、基準年である2015年の付加価値額の平均を100とした指数で表されています。第三次産業活動指数の対象となる業種は「日本標準産業分類」の13大分類を一部組み替えた11分類に属する業種です。
その11分類は個人を相手にした「広義対個人サービス」と事業者を相手にした「広義対事業所サービス」に分けられ、それぞれの区分ごとに指数が算出されます。
また月次の指数は、季節季節による指数の動きの癖を無視した「原指数」と、クセを加味した「季節調整済指数」として算出。原指数は前年同月と、季節調整済指数は同年前月との比較において使用されます。   

小売業販売額

経済産業省が公表する商業動態統計には、全国の小売業の販売活動の動向を明らかにする指標として「小売業販売額」が含まれています。
集計は毎月行われ、速報値は調査対象月の翌月末、確報値は翌々月末に公表されます。
小売業販売額はサービス業の動向を見る指標としては非常に有効です。小売業販売額の増減は家計の消費支出とかかわりが深く、GDPの個人消費の割合とも連動して動くため、個人消費の観点から景気の動向を見るには優れた指標といえます。
経済産業省「商業動態統計

全国百貨店売上高

一般社団法人日本百貨店協会では、定期的に「百貨店売上高」として、地区別の百貨店売上高を指標として公表しています。
日本全国の百貨店を対象に、衣料品・身の回り品・雑貨など8大分類19小分類別に売上高を集計し、百貨店全体における経済活動の状況を集計しています。集計は月次で行われ、翌月末付近に公表されます。
全国百貨店売上高に反映される売上高は、贅沢品が多く含まれる傾向が強い傾向があります。可処分所得に余裕がある個人による贅沢品の購入傾向から、個人が景気の先行きをどのように見通しているかを伺いすることができる指標です。
一般社団法人日本百貨店協会「百貨店売上高

チェーンストア売上高

日本チェーンストア協会では、チェーンストアの販売統計を公表しています。
日本全国1万店舗以上のチェーンストアを対象に、食料品・衣料品・住関品などの項目別に売上高を集計。前年同月比、前月比を算出しています。集計は月次で行われ、翌月下旬に公表されます。
チェーンストアは生活必需品や食料品といった身近な商品を購入する場所です。そのためチェーンストアの売り上げ推移から、個人が持つ消費に対する意識を推測できるでしょう。
日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計

コンビニエンスストア売上高

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が公表しているのが「コンビニエンスストア売上高」です。
協会正会員であるコンビニエンスストアチェーン5万店舗以上を対象に、「日配食品」「加工食品」「非食品」「サービス」の分類ごとに売上高を集計。来店客数、平均客単価といった指標を集計しています。集計は月次で行われ、翌月下旬に公表されます。
コンビニエンスストアはチェーンストア同様、生活必需品を購入する場所です。客単価、来店数といったチェーンストアにない指標も加え、より個人レベルでの消費への意識を推測しやすい指標といえるでしょう。
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ

旅行取扱状況

旅行取扱状況とは、主要旅行業者による旅行商品の取扱高の統計です。観光庁が主導で集計を行っています。
海外旅行、インバウンド向け外国人旅行、国内旅行ごとに集計した取扱高と、前年同月比・前々年同月比を併記します。
旅行や観光の多くはレジャーであり、景気が悪い時期には需要が落ち込みます。一方で好景気時には非常に賑わう業界のため、景気との一致指数として非常に優秀な指標です。また昨今はコロナ禍の影響もあり、前々年同月比が非常に落ち込んでいます。この数値が戻る時には、よりダイレクトに景気の回復とコロナ禍からの脱却を感じ取ることができるでしょう。
観光庁「旅行業者取扱額

まとめ

経済の動きは産業の活性化と強く連動しており、産業の動向はあらゆる指標から読み解くことができます。身近な商品が手元に届くまでには、あらゆる産業のかかわりがあり、どこかひとつの産業がなくなっても商品の売買・製造は成り立ちません。

産業の仕組みと業種について

経済を構成する産業には様々な種類の業種があり、大きく分けて三つに分類されています。

各産業は、他の産業と密接に関わり合いながら、それぞれの事業を成立させています。第二次産業は第一次産業が、第三次産業は第二次産業がなければ、事業を成立させることはできず、第一次産業も第二次・第三次産業からの需要があってこそ成り立っています。
各家庭にレトルトのカレーが並ぶには、まずカレーの材料を生産・収獲(第一次産業)し、それを加工会社が製品へ加工(第二次産業)。運送業が運搬し小売業で販売(第三次産業)して、初めて消費者の手に届きます。どこかひとつが好調ならよいというものではなく、相互に支援しあう関係であってこそ、それぞれの産業が好調になるのです。

業種ごとのGDPの割合

GDPを業種ごとに見た割合は以下の通りです。
 
国内では製造業のGDP比率が最も高く全体の約2割。次いで卸売・小売業、不動産業が続きます。

2010年から2019年にかけて増進傾向にあるのが専門・科学技術、業務支援サービス業と保健衛生・社会事業。IT化の促進と保健・福祉への意識の高まりが、GDPへも現われている結果となっています。
内閣府「2019年度国民経済計算

鉱工業の動向がわかる経済指標

GDPにおいて大きな比率を占める鉱業・製造業の総計である鉱工業。日本経済において重要な役割を担う業種であり、その動向ひとつでGDPにも大きな影響を与えます。
その鉱工業全体の動向を示す統計が「鉱工業指数」です。鉱工業指数は、基準年を100とした指数の形で、その時点の鉱工業の状況を示します。日本のGDPの2割を占め、関連業種も含めれば4割もの経済活動に影響を与える鉱工業は、その動向が非常に重要。また景気の動きに敏感に反応するため、国内の経済状況の変動を察知するための指標として非常に優秀です。

鉱工業指数

鉱工業指数は、国内の鉱業・製造業の生産量や出荷量、設備の稼働状況などを把握するための指数です。5年ごとに更新される基準年(現在は2015年)と該当年を比較し、生産・出荷・在庫・在庫率の指数を算出します。

生産指数、出荷指数、在庫・在庫率指数とは

鉱工業指数は、主に「生産指数」「出荷指数」「在庫指数」「在庫率指数」の4つの指数で構成されています。

基準年=100として、当該月の生産・出荷・在庫量を品目ごとに指数化。鉱工業全体や業種別・品目別などの目的別に集計し、総合的な指数を算出します。

製造業の動向がわかる経済指標

鉱工業指数とは別に、製造業特有の指数も存在します。第二次産業である製造業は、あらゆる業種との繋がりを持つ日本における主要産業のひとつです。動向のひとつひとつが日本経済に大きな影響があるため、指標を用いて動向を見守る必要があるのです。

生産指数 集積回路とは

集積回路とは、半導体基板の上に抵抗やコンデンサ、トランジスタなどをまとめた電子部品を指します。鉱工業指数の対象となる157の品目のひとつとして数えられます。
集積回路は、あらゆる電子製品に組み込まれる部品であり、その需要は非常に高いものです。あらゆる電子製品の開発が求められるハイテク産業においては必須の部品であることから、集積回路は経済の動向を判断する指標のひとつとして注目されています。
経済産業省「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)、製造工業生産予測指数

粗鋼 生産高とは

一般社団法人日本鉄鋼連盟では、国内における粗鋼の生産高を集計し公表しています。毎月速報として公開され、暦年・年度の集計データがそれぞれ年に1度更新されています。
粗鋼は圧延や鍛造といった加工を施される前の鋼です。主に自動車などの材料や建築に使われる建材に用いられます。
比較的高級商材となる材料であることから、粗鋼の生産高は景気の動向を測る指標のひとつとして用いられています。
一般社団法人日本鉄鋼連盟「鉄鋼生産速報

新車販売台数とは

一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する、自動車の登録台数を集計した指標です。毎月稼働日1日目に新車登録車数の総計を発表。4日目には新車メーカー別、8日目には中古車のデータが公表されます。
2018年における自動車製造業の製造品出荷額は62兆3,040億円。全製造業における製造品出荷額のおよそ19%が自動車であり、GDPの約1割を占める巨大産業として大きな存在感を持っています。自動車の販売台数は、そのまま日本経済の隆盛に直結するといえるほど大きな比率を占めているため、新車販売台数は景気の動向を判断する材料のひとつとして重視されているのです。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会「統計データ

建設業の動向がわかる経済指標

建設業はGDPの約5%に留まっていますが、建材や各種サービスとも関係が強く、経済への影響は非常に大きな業界といえます。建設業の動向を調査することにより、日本経済の動向を予測できる面も大いにあるでしょう。

建設工事受注

建設業の動向は、建設工事受注動態統計調査を通じて確認できます。工事は、受注から着工、竣工と長い期間をかけて行われるため、経済的な影響が起きるのは受注時点よりも未来となります。そのため建設工事受注は先行指標としての側面を持ち、建設業の将来的な景気を予測する材料となります。
建設工事受注動態統計調査は、建設大手50社を対象に毎月実施され、翌月末に公表。また年計は翌年の1月末、年度計は翌年の4月末に、対象月の月報と共に公表されます。
国土交通省「建設工事統計調査

新設住宅着工

建設業の指標において、もうひとつ注目したいのは新設住宅着工に関する指標です。新築住宅の購入は金額が大きく、一般的にはそうそう簡単に購入には踏み切れません。1%でも値下がりが発生すれば支払金額に大きく影響するため、景気が悪化トレンドにある間は、下がりきるまで買い控える傾向が強く見られます。そうした市民心理の影響をダイレクトに受ける指標のため、民間消費に影響する指標として注目されています。
新築住宅着工は建築動態統計調査の一部として行われ、毎月の統計は翌月末に公表されます。また年計は翌年の1月末、年度計は翌年の4月末にまとめて発表されるのが通例です。
国土交通省「建築着工統計調査

マンション契約率

株式会社不動産経済研究所が発表する「マンション市場動向」では、毎月のマンション契約率を集計し公表しています。非常に高額な買い物であるマンションは支払いが数十年と続くため、個人の先行きが不透明である間はなかなか購入に踏み切れないものです。そのため契約率の上昇が見られるようになると、財政状態が良好である個人が経済の先行きを明るいと判断している証拠となるため、民間消費の動向を表す指標のひとつと考えられています。
株式会社不動産経済研究所「マンション市場動向

サービス業の動向がわかる経済指標

第一次産業・第二次産業を除くサービス産業(広義)は、GDPの約7割。市場規模は拡大の傾向を続けています。動向が経済に大きな影響を与えるサービス業を測る指標を通じて、経済動向を見極めましょう。

広告扱い高

広告費は景気が悪くなると削られる対象となる経費の「3K(交通費、交際費、広告宣伝費)」のひとつ。すなわち広告への資金流入が多ければ多いほど、景気が好調であるとみなすことができます。また広告費は実際の収益に繋がる前の先行投資であるため、経済指標においては先行指標となり、今後の経済を予測する材料として非常に大きな役割を果たします。
株式会社電通「2020年 日本の広告費

第三次産業活動指数

第三次産業の活発さを表す指標として、経済産業省が公表しています。全産業のうち、第一次産業と第二次産業を除くすべての産業が含まれる第三次産業は、経済産業省の区分では広義のサービス業に該当。GDPの7割を占めるサービス業の動向を指数で読み解くことにより、経済活動に繋がる産業の生産活動を総合的に捉えることができます。
経済産業省「第3次産業(サービス産業)活動指数

指数の仕組みの解説

第三次産業活動指数は、基準年である2015年の付加価値額の平均を100とした指数で表されています。第三次産業活動指数の対象となる業種は「日本標準産業分類」の13大分類を一部組み替えた11分類に属する業種です。
その11分類は個人を相手にした「広義対個人サービス」と事業者を相手にした「広義対事業所サービス」に分けられ、それぞれの区分ごとに指数が算出されます。
また月次の指数は、季節季節による指数の動きの癖を無視した「原指数」と、クセを加味した「季節調整済指数」として算出。原指数は前年同月と、季節調整済指数は同年前月との比較において使用されます。   

小売業販売額

経済産業省が公表する商業動態統計には、全国の小売業の販売活動の動向を明らかにする指標として「小売業販売額」が含まれています。
集計は毎月行われ、速報値は調査対象月の翌月末、確報値は翌々月末に公表されます。
小売業販売額はサービス業の動向を見る指標としては非常に有効です。小売業販売額の増減は家計の消費支出とかかわりが深く、GDPの個人消費の割合とも連動して動くため、個人消費の観点から景気の動向を見るには優れた指標といえます。
経済産業省「商業動態統計

全国百貨店売上高

一般社団法人日本百貨店協会では、定期的に「百貨店売上高」として、地区別の百貨店売上高を指標として公表しています。
日本全国の百貨店を対象に、衣料品・身の回り品・雑貨など8大分類19小分類別に売上高を集計し、百貨店全体における経済活動の状況を集計しています。集計は月次で行われ、翌月末付近に公表されます。
全国百貨店売上高に反映される売上高は、贅沢品が多く含まれる傾向が強い傾向があります。可処分所得に余裕がある個人による贅沢品の購入傾向から、個人が景気の先行きをどのように見通しているかを伺いすることができる指標です。
一般社団法人日本百貨店協会「百貨店売上高

チェーンストア売上高

日本チェーンストア協会では、チェーンストアの販売統計を公表しています。
日本全国1万店舗以上のチェーンストアを対象に、食料品・衣料品・住関品などの項目別に売上高を集計。前年同月比、前月比を算出しています。集計は月次で行われ、翌月下旬に公表されます。
チェーンストアは生活必需品や食料品といった身近な商品を購入する場所です。そのためチェーンストアの売り上げ推移から、個人が持つ消費に対する意識を推測できるでしょう。
日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計

コンビニエンスストア売上高

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が公表しているのが「コンビニエンスストア売上高」です。
協会正会員であるコンビニエンスストアチェーン5万店舗以上を対象に、「日配食品」「加工食品」「非食品」「サービス」の分類ごとに売上高を集計。来店客数、平均客単価といった指標を集計しています。集計は月次で行われ、翌月下旬に公表されます。
コンビニエンスストアはチェーンストア同様、生活必需品を購入する場所です。客単価、来店数といったチェーンストアにない指標も加え、より個人レベルでの消費への意識を推測しやすい指標といえるでしょう。
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ

旅行取扱状況

旅行取扱状況とは、主要旅行業者による旅行商品の取扱高の統計です。観光庁が主導で集計を行っています。
海外旅行、インバウンド向け外国人旅行、国内旅行ごとに集計した取扱高と、前年同月比・前々年同月比を併記します。
旅行や観光の多くはレジャーであり、景気が悪い時期には需要が落ち込みます。一方で好景気時には非常に賑わう業界のため、景気との一致指数として非常に優秀な指標です。また昨今はコロナ禍の影響もあり、前々年同月比が非常に落ち込んでいます。この数値が戻る時には、よりダイレクトに景気の回復とコロナ禍からの脱却を感じ取ることができるでしょう。
観光庁「旅行業者取扱額

まとめ

経済の動きは産業の活性化と強く連動しており、産業の動向はあらゆる指標から読み解くことができます。身近な商品が手元に届くまでには、あらゆる産業のかかわりがあり、どこかひとつの産業がなくなっても商品の売買・製造は成り立ちません。

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