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物価の状況から経済を把握できる経済指標を徹底解説

物価の状況から経済を把握できる経済指標を徹底解説

物価は経済にどんな影響を与えている?

物価とは、モノやサービスの平均的な価格を表した指標です。物価の変動は景気の動向を表す一面もあるため、経済の動向と密接な関係にあるといえます。つまるところ、経済を理解したければ、物価の動向を観察するのがひとつの選択肢として有効なのです。

物価の動向がわかる経済指標

物価は需要と供給のバランスにより変動します。市場に溢れるモノやサービスの需要を決める要素のひとつにあるのが、消費者のお財布事情。個人消費を支える雇用を見れば、経済の動向も見えてきます。

現金給与総額とは

厚生労働省では、毎月「毎月勤労統計調査」をまとめ、労働者の給与実態を調査集計しています。

そのうち「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」を合算した数値が、現金給与総額です。

きまって支給する給与は、契約で定められた通常の給与に所定外労働給与(残業代)を足したものです。

特別に支払われた給与は、突発的に支給された契約外の賞与やボーナスが含まれます。

現金給与総額は一般労働者およびパートタイム労働者別に月次で集計され、給与水準の推移確認に用いられます。

給与は会社の景気が改善したのちに変動する要素であるため、景気動向指数のうち遅行指数に該当します。

現金給与総額が上昇傾向にあるなら、景気の上昇は進んでいる状態であると判断する材料になるでしょう。

現金給与総額は、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査」内「第1表 月間現金給与額」から、「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」を合算して算出します。

当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。

厚生労働省「毎月勤労統計調査


所定外労働時間とは

所定外労働時間は、企業が定めた定時である「所定労働時間」を超えて働いた残業時間を指します。あくまで所定労働時間は企業の定めによりますので、1日8時間の法定労働時間を超えた時間とは限りません。所定労働時間が7時間に定められている場合には、7時間を超えた時間がすべて該当します。

所定外労働時間は、製造業では先行指数、全産業では一致指数に該当する指数です。所定外労働時間が延びる傾向が見られるなら、景気の上昇傾向にあると判断できるでしょう。

厚生労働省が毎月公表する「毎月勤労統計調査」内「第2表 月間実労働時間及び出勤日数」から「所定外労働時間」を参照します。

当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。

厚生労働省「毎月勤労統計調査


常用雇用指数とは

常用雇用指数とは、各月月末の常用労働者数を指数化したものです。

常用労働者とは、無期限もしくは1か月以上の期間を定めて雇われている者を指し、労働者の増減傾向を確認できます。

労働者の雇用は、企業にとって大きな負担になりえるため、企業は景気の回復を実感してからでないと雇用に踏み切らない傾向があります。そのため常用雇用指数は景気動向指数の遅行指数のひとつとされており、景気の上昇から遅れて上がり始めます。

常用雇用指数は、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査」内「時系列第2表 労働時間指数 」に集計されています。

当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。

厚生労働省「毎月勤労統計調査


指数の考え方

毎月勤労統計調査で作成される指数は、基準年の平均値を基準値100として求められます。

常用雇用指数における基準年は2005年であり、5年ごとに見直しがされています。

指数を算出する算式は以下の通りです。

各月の指数=各月の調査結果の実数/基準値×100


消費者物価指数とは

消費者物価指数とは、消費者が購入するあらゆる商品やサービスの価格の変化を指数化し、変動を測定できるようにしたものです。

基準時を100とした指数に対し、数値が上回っていれば物価が上昇。指数が105を示したなら、5%の物価上昇が発生しているとみることができます。

景気がよい時には消費者の購買意欲が高く、物価も上昇する傾向となります。一方景気が悪化している時は低下気味の消費者の購買意欲を支えるため、物価も下がる傾向がみられます。

しかし景気が悪化しているのに物価が上昇する「スタグフレーション」という状態もあるため、物価指数のみで景気動向を判断するのは危険といえるでしょう。

消費者物価指数は総務省統計局が毎月公表。当該月の翌月下旬に公表と、年末・年度末にも12か月分の動向が集計されます。

総務省統計局「消費者物価指数


指数の考え方

消費者物価指数は、品目または類ごとに計算されます。

基準年の年間平均を100とした場合の算式は以下の通りです。

各品目の指数=各品目の調査結果の実数/基準値×100

基準年は2021年10月現在は2020年としており、末尾が0と5の年ごとに見直しされます。

2020年基準における指定品目は582種類となっており、それぞれの指数に指定されたウェイトで加重平均し、最終的に総合指数などを算出します。

まとめ

物価はモノやサービスの価格を表す指標であり、その動きは需要と供給によって決まります。需要が景気の向上によって伸びれば、経済が大きく回り、景気に紐付くあらゆる指標に変化が見られるでしょう。


この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

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トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

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