決算書の読み方

<h2 id="h6ba69b6b2c">営業活動によるキャッシュ・フロー</h2><h3 id="hb0faabcc0f">営業活動によるキャッシュ・フローの概要</h3><p>会社の本業の事業によって、一定期間にいくらのキャッシュが入ってきたのかを表します。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/e96cb18e895342808de3c9f8a113cab7/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8917.JPG" alt=""></p><h3 id="ha1df77ce0d">営業活動によるキャッシュ・フローの読み方</h3><p>営業活動によるキャッシュ・フローは<span style="color:#c7243a">プラスが望ましい</span>です。<br>もし仮に数年に渡ってマイナスが続く場合、会社は大きな問題を抱えている可能性が高いため、早急に原因を特定し解決が求められます。<br>一方で、特定の年度だけ一時的にマイナスになってしまう場合もあります。その場合、マイナスだからといって緊急性は高くはありません。広告宣伝費などを多額に費やした場合には一時的に本業で支出するキャッシュの方が多くなってしまうことがあります。<br>従って、<span style="color:#c7243a">営業活動によるキャッシュ・フローを見る際には、複数年度の数値を並べ、時系列で確認することが重要</span>となります。</p><h3 id="h662ebc917e">営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法</h3><p>営業活動によるキャッシュ・フローに関しては、<span style="color:#c7243a">直接法と間接法の2つの種類の表示方法</span>があります。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/5ae89dbfa83d4623971bc1bdb219fe7b/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8918.JPG" alt=""><br><br>投資活動や財務活動には存在しない、<span style="color:#c7243a">営業活動特有の表示方法</span>です。<br>いずれの作成方法を採用しても、<span style="color:#c7243a">最終的な数値は同じ</span>になります。<br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/05007cc325ed4a80b9b84e3246909f2e/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8919.JPG" alt=""><br></p><h4 id="h6b39d09f15">間接法による表示</h4><p>間接法とは、<span style="color:#c7243a">損益計算書に表示されている当期純利益の金額を調整し、力技でキャッシュの動きを計算する方法</span>です。<br>営業活動によるキャッシュ・フローは、原則として間接法で表示されます。実務上、間接法のほうが簡単に作成することができるという理由もあり、<span style="color:#c7243a">ほぼ全ての会社が間接法を採用</span>しています。<br>従って、この記事でも間接法による表示を前提に解説をします。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/8fe33af918024fbb8d5e3b2101846beb/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8920.JPG" alt=""><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/172d5fa2279e4319ba39ba3f02b53146/%E2%91%AB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9B%B8%E3%81%A8%E3%81%AF.png" alt=""></p><h4 id="hba6ff4fdab">直接法による表示</h4><p>直接法とは、<span style="color:#c7243a">実際の現金の流れに沿って、営業活動によるキャッシュ・フローを計算する方法</span>です。<br>直感的にキャッシュの動きを追うことができるため、間接法よりも理解しやすい傾向があります。しかし、取引が多く、複雑になるほど、記録する負担が増えることから実務ではほとんど採用されません。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/b00328fe71e143c79483812d4bb21a53/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8921.JPG" alt=""><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/6b18e18d5f6340b1b603f3fe201597bc/%E2%91%AA%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9B%B8%E3%81%A8%E3%81%AF.png" alt=""></p><h3 id="h9b05112c0f">営業活動によるキャッシュ・フローの主要項目</h3><p>間接法による表示を前提とし、<span style="color:#c7243a">営業活動によるキャッシュ・フローで登場する下記の主要項目</span>の意味について解説します。</p><ul><li>税金等調整前当期純利益</li><li>非資金損益項目</li><li>営業外・特別損益項目</li><li>本業項目に関する増減調整</li></ul><h4 id="hdc04561383">税金等調整前当期純利益</h4><p>最終的に企業の手元に残る、税金を支払う前の利益です。損益計算書に計上される金額と同じ金額がキャッシュ・フロー計算書でも表示されます。<br>キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローは、<span style="color:#c7243a">損益計算書で算出した利益の数値（税金等調整前当期純利益）を出発点</span>とし、下記のような各種の調整を加えることで、キャッシュの動きを算出しています。</p><h4 id="h347f0da2be">非資金損益項目</h4><p>非資金損益項目の代表として減価償却費があります。<br><span style="color:#c7243a">損益計算書上では費用項目</span>となりますが、<span style="color:#c7243a">実際には費用計上時にキャッシュが流出しない特徴</span>があります。このような非資金流出項目は、<span style="color:#c7243a">キャッシュ・フロー計算書上では加算項目</span>となります。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/d57d6e92dd914a528b7731bceaa0a523/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8923.JPG" alt=""><br></p><h4 id="hbdc31aa910">営業外・特別損益項目</h4><p>損益計算書上では、<span style="color:#c7243a">営業外損益、特別損益となる項目</span>が該当します。<br>営業活動によるキャッシュ・フローの小計の金額は、<span style="color:#c7243a">本業のキャッシュ稼得能力を表示</span>するため、営業外項目や特別項目を考慮外にする必要があります。<br>従って、間接法において、これらの項目を加減して調整しています。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/7a56b182183d489abc790197911600bc/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8924.JPG" alt=""><br></p><h4 id="h4ebf307252">本業項目に関する増減調整</h4><p>売上債権、棚卸資産、仕入債務などの<span style="color:#c7243a">本業で発生する項目</span>を、調整しています。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/16066c37ff8f40748e767f443195fdf1/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8925.JPG" alt=""><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/7cc2bb7297ad4768a00099546e74acdd/%E2%91%AC%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9B%B8%E3%81%A8%E3%81%AF.png" alt=""></p><h4 id="hcf83e1357e"><br></h4><p><span style="color:#c7243a">売上債権の増減額</span>とは、<span style="color:#c7243a">前期に比べて売上債権がどの程度の金額が動いたかを意味します。</span>通常、売上債権の減少は、売上債権の回収を意味します。従って、売上債権の回収金額だけ、手元のキャッシュが増加します。<br>売上債権が前期より減少すると、キャッシュ・フローではプラス表記となります。一方、前期より増加すると、マイナス表記となります。<br><br><span style="color:#c7243a">棚卸資産の増減額</span>とは、<span style="color:#c7243a">前期に比べて棚卸資産がどの程度動いたかを意味します。</span>通常、棚卸資産の減少は、商品が販売されたことを意味します。従って、棚卸資産を販売した分だけ、手元のキャッシュが増加します。<br>棚卸資産が前期より減少すると、キャッシュ・フローではプラス表記となります。一方、前期より増加すると、マイナス表記となります。<br><br><span style="color:#c7243a">仕入債務の増減額</span>とは、<span style="color:#c7243a">前期に比べて仕入債務がどの程度動いたかを意味します。</span>通常、仕入債務の減少は、債務の支払いが完了したことを意味します。従って、仕入債務を支払った分だけ、手元のキャッシュが減少します。<br>仕入債務が前期より減少すると、キャッシュ・フローではマイナス表記となります。一方、前期より増加すると、プラス表記となります。</p><h4 id="hec6f6aff16">法人税等の支払額</h4><p>税金の支払いによる、現金支出額を意味します。<br>キャッシュ・フローではマイナス表記となります。<br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/6a8ceae564344654bbbdf45f7a27e90b/%E2%91%AD%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%BC%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9B%B8%E3%81%A8%E3%81%AF.png" alt=""></p><h2 id="h47abd7e1d3">投資活動によるキャッシュ・フロー</h2><h3 id="h08f86e4826">投資活動によるキャッシュ・フローの概要</h3><p>投資活動によるキャッシュ・フローは、<span style="color:#c7243a">会社の投資状況</span>を表します。<br>成長フェーズの会社では、積極的な投資が行われることから、投資活動によるキャッシュ・フローは通常マイナスとなります。<br>一方、構造改革など事業の整理を行なっている会社では、資産をスリム化するため不採算の設備や遊休資産の売却が進むため、投資活動によるキャッシュ・フローがプラスになる場合もあります。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/1d102cefb110472581c8176545300c3b/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8927.JPG" alt=""></p><h3 id="h8ca02cce41">投資活動によるキャッシュ・フローの読み方</h3><p>投資活動によるキャッシュ・フローを見る際に、３つのポイントがあります。</p><ul><li>投資財源</li><li>投資先</li><li>投資規模</li></ul><p>1つ目は<span style="color:#c7243a">投資財源</span>です。投資を行う際にはキャッシュが必要です。そのため、そのキャッシュがどこから捻出されているかを知る必要があります。<br>2つ目は<span style="color:#c7243a">投資先</span>です。何に投資をしているのかを知ることで、会社の今後の成長を予測することが可能です。<br>3つ目は<span style="color:#c7243a">投資規模</span>です。投資に対する会社の本気度を確認することができます。<br>投資活動のキャッシュ・フローを見る際には、必ずこの3点を確認しましょう。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/9cf5b6d28159421298d159bb13a3d6bb/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8928.JPG" alt=""><br></p><h3 id="hae2ffa8a75">投資活動によるキャッシュ・フローの主要項目</h3><p>投資活動によるキャッシュ・フローで登場する下記の３つの<span style="color:#c7243a">主要項目の意味</span>について解説します。</p><ul><li>有形固定資産の支出・収入</li><li>無形固定資産の支出</li><li>投資有価証券の支出・収入</li></ul><h4 id="h9251c4e0cf">有形固定資産の支出・収入</h4><p>有形固定資産とは、建物や機械のような、目に見える固定資産です。<br>通常、有形固定資産を取得する際に、キャッシュは減少します。従って、有形固定資産の支出はマイナス表記となります。<br>一方、有形固定資産を売却する際には、売却代金を得るため、キャッシュは増加します。従って、有形固定資産の収入はプラス表記となります。</p><h4 id="h817a2a6f88">無形固定資産の支出</h4><p>無形固定資産とは、ソフトウェアや特許権のような目に見えない固定資産です。通常、無形固定資産を取得する際に、キャッシュは減少します。従って、無形固定資産の支出はマイナス表記となります。</p><h4 id="hc392fb0eba">投資有価証券の支出・収入</h4><p>投資有価証券とは、長期投資目的で保有する企業の株式等を意味する固定資産です。<br>通常、投資有価証券を取得する際に、キャッシュは減少します。従って、投資有価証券の支出はマイナス表記となります。<br>一方、投資有価証券を売却する際には、売却代金を得るため、キャッシュは増加します。従って、投資有価証券の収入はプラス表記となります。<br></p><h2 id="h1817d8cc25">財務活動によるキャッシュ・フロー</h2><h3 id="h099c44b1e0">財務活動によるキャッシュ・フローの概要</h3><p>財務活動によるキャッシュ・フローは、<span style="color:#c7243a">資金調達の状況</span>を表します。<br>金融機関からの資金調達や返済の状況や、株主還元、資本政策などの財務戦略を読み取る上で有用となる情報を知ることができます。<br><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/969c0fe8a3494987be0a83c57810f94d/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8930.JPG" alt=""><br></p><h3 id="h19f3a5b66e">財務活動によるキャッシュ・フローの読み方</h3><p>財務活動によるキャッシュ・フローは、<span style="color:#c7243a">プラス・マイナスの多寡で一概に判断することが難しい指標</span>です。<br>例えば、自己資本比率が高い場合、積極的に資金調達を行い投資に回した方が企業価値の向上に寄与します。一方、有利子負債比率が高い場合には、支払利息の負担も無視できないため、返済支出が多くなる傾向があります。<br>このように<span style="color:#c7243a">会社の財政状態を考慮した上で、財務活動によるキャッシュ・フローの内容を判断することが重要</span>です。</p><h3 id="h721063e034">財務活動によるキャッシュ・フローの主要項目</h3><p>財務活動によるキャッシュ・フローで登場する<span style="color:#c7243a">下記の6つの主要項目の意味</span>について解説します。</p><ul><li>短期借入金の純増減額</li><li>長期借入れによる収入・支出</li><li>社債の発行による収入・支出</li><li>リース債務の返済による支出</li><li>自己株式の収入・支出</li><li>配当金の支払額</li></ul><h4 id="hb229f3b608">短期借入金の純増減額</h4><p>短期借入金で現金を調達した場合、キャッシュが増加するため、プラスで表記されます。一方、短期借入金を返済した場合、キャッシュの減少を意味するためマイナスで表記されます。</p><h4 id="h09ebe847f6">長期借入れによる収入・支出</h4><p>長期借入金も短期借入金と同様の動きとなります。<br>資金調達を行なった場合はプラスで表記され、一方、資金を返済した場合マイナスで表記されます。</p><h4 id="h4b12a32493">社債の発行による収入・支出</h4><p>社債を発行して資金を調達した場合、社債の発行による収入が増加するため、プラスで表記されます。一方、社債を償還した場合、キャッシュが減少するため、マイナスで表記されます。</p><h4 id="h5033db5644">リース債務の返済による支出</h4><p>リース債務の返済による支出は、キャッシュが減少するため、マイナスで表記されます。</p><h4 id="h9a8162b0f2">自己株式の収入・支出</h4><p>自己株式とは、会社が自ら株主から株式を買い取る行為です。<br>株主還元の1種となるため、投資活動ではなく、財務活動に表示されます。自己株式を取得した場合、キャッシュが減少するため、マイナスで表記されます。一方、自己株式を売却した場合、キャッシュが増加するため、プラスで表記されます。</p><h4 id="h17e0b75d93">配当金の支払額</h4><p>株主に対して配当金を支払う場合、キャッシュが減少します。<br>従って、キャッシュ・フロー計算書上では、マイナスで表記されます。</p>

キャッシュ・フロー計算書の読み方や、意味、構成、実際の使い方についてを解説します。財務三表の中でも特に難しい報告書ですが、この記事を通じて理解を深めましょう。

選択肢①

選択肢②

会計クイズ

【図解】キャッシュ・フロー計算書とは？読み方を企業分析のプロがわかりやすく解説

学習コンテンツ

<h2 id="h2165c678d5">物価は経済にどんな影響を与えている？</h2><p>物価とは、モノやサービスの平均的な価格を表した指標です。物価の変動は景気の動向を表す一面もあるため、経済の動向と密接な関係にあるといえます。つまるところ、経済を理解したければ、物価の動向を観察するのがひとつの選択肢として有効なのです。</p><h2 id="h320077a59b">物価の動向がわかる経済指標</h2><p>物価は需要と供給のバランスにより変動します。市場に溢れるモノやサービスの需要を決める要素のひとつにあるのが、消費者のお財布事情。個人消費を支える雇用を見れば、経済の動向も見えてきます。</p><h3 id="h1dd826b5e4">現金給与総額とは</h3><p>厚生労働省では、毎月「毎月勤労統計調査」をまとめ、労働者の給与実態を調査集計しています。<br>そのうち「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」を合算した数値が、現金給与総額です。<br>きまって支給する給与は、契約で定められた通常の給与に所定外労働給与（残業代）を足したものです。<br>特別に支払われた給与は、突発的に支給された契約外の賞与やボーナスが含まれます。<br>現金給与総額は一般労働者およびパートタイム労働者別に月次で集計され、給与水準の推移確認に用いられます。<br>給与は会社の景気が改善したのちに変動する要素であるため、景気動向指数のうち遅行指数に該当します。<br>現金給与総額が上昇傾向にあるなら、景気の上昇は進んでいる状態であると判断する材料になるでしょう。<br>現金給与総額は、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査」内「第1表　月間現金給与額」から、「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」を合算して算出します。<br>当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。<br>厚生労働省「<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">毎月勤労統計調査</a>」</p><h3 id="h3dbcfc0bc0">所定外労働時間とは</h3><p>所定外労働時間は、企業が定めた定時である「所定労働時間」を超えて働いた残業時間を指します。あくまで所定労働時間は企業の定めによりますので、1日8時間の法定労働時間を超えた時間とは限りません。所定労働時間が7時間に定められている場合には、7時間を超えた時間がすべて該当します。<br>所定外労働時間は、製造業では先行指数、全産業では一致指数に該当する指数です。所定外労働時間が延びる傾向が見られるなら、景気の上昇傾向にあると判断できるでしょう。<br>厚生労働省が毎月公表する「毎月勤労統計調査」内「第2表　月間実労働時間及び出勤日数」から「所定外労働時間」を参照します。<br>当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。<br>厚生労働省「<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">毎月勤労統計調査</a>」</p><h3 id="h7ec09b57e2">常用雇用指数とは</h3><p>常用雇用指数とは、各月月末の常用労働者数を指数化したものです。<br>常用労働者とは、無期限もしくは1か月以上の期間を定めて雇われている者を指し、労働者の増減傾向を確認できます。<br>労働者の雇用は、企業にとって大きな負担になりえるため、企業は景気の回復を実感してからでないと雇用に踏み切らない傾向があります。そのため常用雇用指数は景気動向指数の遅行指数のひとつとされており、景気の上昇から遅れて上がり始めます。<br>常用雇用指数は、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査」内「時系列第2表　労働時間指数 」に集計されています。<br>当月分の速報は翌々月初旬、確報は翌々月下旬からさらに翌月の初旬に公開されます。<br>厚生労働省「<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">毎月勤労統計調査</a>」</p><h4 id="h80b6ff4b3f">指数の考え方</h4><p>毎月勤労統計調査で作成される指数は、基準年の平均値を基準値100として求められます。<br>常用雇用指数における基準年は2005年であり、5年ごとに見直しがされています。<br>指数を算出する算式は以下の通りです。<br>各月の指数＝各月の調査結果の実数/基準値×100<br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/b3dd261b1b314b9fa2956f41ae2b712e/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%891.JPG" alt=""><br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/3e78202e14b2410da3e9d96fa7a48554/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%892.JPG" alt=""></p><h3 id="h74c1e85cf2">消費者物価指数とは</h3><p>消費者物価指数とは、消費者が購入するあらゆる商品やサービスの価格の変化を指数化し、変動を測定できるようにしたものです。<br>基準時を100とした指数に対し、数値が上回っていれば物価が上昇。指数が105を示したなら、5%の物価上昇が発生しているとみることができます。<br>景気がよい時には消費者の購買意欲が高く、物価も上昇する傾向となります。一方景気が悪化している時は低下気味の消費者の購買意欲を支えるため、物価も下がる傾向がみられます。<br>しかし景気が悪化しているのに物価が上昇する「スタグフレーション」という状態もあるため、物価指数のみで景気動向を判断するのは危険といえるでしょう。<br>消費者物価指数は総務省統計局が毎月公表。当該月の翌月下旬に公表と、年末・年度末にも12か月分の動向が集計されます。<br>総務省統計局「<a href="https://www.stat.go.jp/data/cpi/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">消費者物価指数</a>」</p><h4 id="h80b6ff4b3f">指数の考え方</h4><p>消費者物価指数は、品目または類ごとに計算されます。<br>基準年の年間平均を100とした場合の算式は以下の通りです。<br>各品目の指数＝各品目の調査結果の実数/基準値×100<br>基準年は2021年10月現在は2020年としており、末尾が0と5の年ごとに見直しされます。<br>2020年基準における指定品目は582種類となっており、それぞれの指数に指定されたウェイトで加重平均し、最終的に総合指数などを算出します。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>物価はモノやサービスの価格を表す指標であり、その動きは需要と供給によって決まります。需要が景気の向上によって伸びれば、経済が大きく回り、景気に紐付くあらゆる指標に変化が見られるでしょう。<br></p>

日々生活の中でよく見るモノの値段から経済を把握することができます。

【物価の状況を表す経済指標】モノの値段から経済を把握できる経済指標を徹底解説

<h2 id="ha3255cf156">国際収支は国の損益計算書？</h2><p>国際収支とは、日本と海外の間で行われた資金のやり取りの記録です。財貨やサービスの輸出をプラス、輸入をマイナスとして計上し、一定期間内の収支を集計します。<br>日本からいくらの資金が支出され、いくらが収益となったか。プラスとマイナスを比較した成績を算出するところから、国の損益計算書とも呼ばれています。<br><a href="https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exbpsm6.htm/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">国際収支の仕組み</a><br>国際収支は、日本国内の居住者（居住者）と外国の居住者（非居住者）の間で行われた取引を、以下の区分により計上します。<br>・経常収支<br>・金融収支<br>・資本移転等収支<br>計上する価格は原則として取引価格を使用し、取引が発生した時点を計上時期とします。<br>原則として国際収支の資料は円建てで作成され、外貨建ての取引は市場実勢レートにて円換算されます。<br><img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/99305afb08cc406b83210a74cbf6796e/AT_trading_keizaisihyou_1.JPG" alt=""><br></p><h3 id="hcf170198ff">経常収支</h3><p>経常収支は、居住者と非居住者の間で行われた経済活動のうち、財貨・サービス・所得の取引や経常移転を対象としたものです。集計上は以下の項目に分けて集計されます。<br>・貿易・サービス収支<br>・第一次所得収支<br>・第二次所得収支</p><h3 id="hd3ada1dfb2">貿易・サービス収支</h3><p>居住者と非居住者の間で行われた対価を伴う取引が計上されます。<br>財貨を対象とした収支は「貿易収支」として計上されます。<br>・一般商品全般<br>・非貨幣用金<br>無形財であるサービスを対象とした収支は「サービス収支」として計上されます。<br>・輸送<br>・旅行<br>・金融<br>・知的財産使用料<br>・通信・コンピューター・情報サービス<br>・文化・娯楽サービス<br>・その他業務サービス</p><h3 id="h99b1f8c94e">第一次所得収支</h3><p>第一次所得収支は、居住者・非居住者間で発生した雇用者報酬、投資収益が計上されます。また投資収益は以下の3つに区分されます。<br>・直接投資収益：親会社と子会社の間で発生した配当金・利子<br>・証券投資収益：子会社以外からの配当金、債券等の金融商品の利子<br>・その他の投資収益：上記に該当しない利子。貸付金・借入金・預金などの利子・利息が該当する</p><h3 id="ha2a820fbb9">第二次所得収支</h3><p>第二次所得収支は、居住者と非居住者間で発生した、対価を伴わない資産の提供にかかる収支が計上されます。<br>食糧や衣料品などの無償資金援助、外国人労働者による本国への送金などが該当します。</p><h3 id="h750e4c4095">金融収支</h3><p>金融収支は、居住者と非居住者の間で行われた経済活動のうち、貨幣的資本の取引を対象としたものです。集計上は以下の項目に分けて集計されます。<br>・直接投資<br>・証券投資<br>・金融派生商品<br>・その他投資<br>・外貨準備</p><h4 id="h04c15562fd">直接投資</h4><p>外国企業の株式取得、貸付期間が1年を超える金銭の貸付けなどの企業間取引が計上されます。資本を投下した対象によって以下に区分されます。<br>・株式資本<br>・収益の再投資<br>・負債性資本</p><h4 id="h2fda069d51">証券投資</h4><p>証券投資は、株式、投資信託、債券の取引のうち、直接投資や外貨準備に該当しないものを計上します。具体的には以下の項目が該当します。<br>・株式<br>・投資ファンド持分<br>・債券（中長期債、短期債）</p><h4 id="h20c72ee5ab">金融派生商品</h4><p>先物取引、オプション取引、スワップ取引など、他の金融商品の価格に連動して価格が決まる金融商品を計上します。</p><h4 id="heda3a59c77">その他投資</h4><p>直接投資、証券投資、金融派生商品、外貨準備のいずれにも該当しない金融取引を対象に計上します。具体的には以下の項目が該当します。<br>・持分<br>・現預金<br>・貸付・借入<br>・保険・年金準備金<br>・貿易信用・前払<br>・その他資産・その他負債</p><h4 id="hc132d4775d">外貨準備</h4><p>為替介入や通貨危機に対する対応などに使用する通貨当局が管理する対外資産を計上します。具体的には以下の項目が該当します。<br>・貨幣用金<br>・特別引出権<br>・IMFリザーブポジション<br>・その他外貨準備</p><h3 id="h520083c714">資本移転収支</h3><p>対価を伴わない固定資産の提供や債務免除等を計上します。性質により以下の項目に分類されます。<br>・資本移転<br>・非金融非生産資産の取得処分<br><br><a href="https://navi.funda.jp/articles/financial-indicators/gdp" target="_blank" rel="noopener noreferrer">国際収支と密接な関係である「GDP」はこちらから</a></p><h2 id="h2ab3427b74">国際収支の考え方</h2><p>国際収支は、発生した取引を複式簿記の手法を用いて記帳します。<br>複式簿記では、ひとつの取引に対し、資産の増加・負債の減少を借方、資産の減少・負債の増加を貸方に記載します。<br>またその資産の増加・負債の減少の原因となった現象を貸方、資産の減少・負債の増加の原因を借方に記載します。<br>&nbsp;<img src="https://images.microcms-assets.io/assets/6133d7fd3656441cbbc75f00f8616cd8/902a58694e1040f2a30768afe26bc64b/AT_trading_keizaisihyou_2.JPG" alt=""><br>国際収支は、複式簿記の原則に基づき以下の計算式が成り立ちます。<br>経常収支＋資本移転等収支－金融収支（＋誤差脱漏）＝0<br>ただし、国際収支は金額の構成が複雑な上、規模が大きいため誤差が非常に出やすい特徴を持ちます。その誤差は「誤差脱漏」を使用して帳尻を合わせ、貸方・借方それぞれの合計の誤差をゼロにする前提で運用されます。<br>国際収支における黒字・赤字は、一般的には財貨・サービスの輸出入差額を示す経常収支を指しています。</p><h3 id="h4ab9958c71">外貨準備高とは</h3><p>外貨準備高は、国が保有する外貨であり、国際通貨として認知されているものです。国が通貨危機などに陥り、自国の通貨の価値が危ぶまれてしまうと、自国通貨を使った海外との取引が困難となります。<br>外貨準備高は外国の通貨や証券で構成されており、直ちに使用できるものとして準備されています。もし自国の貨幣を使った貿易が困難となった場合でも、外貨準備高を用意しておくことで、緊急時に国際収支を支えることができるのです。</p><h2 id="h539dd78d4e">日本の国際収支は黒字なのか？</h2><p>日本の国際収支は、2020年においては17兆6,976億円の黒字となりました。<br>貿易・サービス収支は、昨年比で▲9,965億円の▲4,905億円となりました。貿易収支が2兆6,645兆円の黒字幅拡大を見せたものの、サービス収支が▲3兆5,362億円の赤字転化をした影響が大きく、貿易収支を食い潰した形となっています。<br>一方で好調なのが第一次所得収支で、堅調に20兆7,175億円の黒字。第二次所得収支、貿易・サービス収支の赤字を吸収してなお、17兆6,976億円の黒字を出しています。<br><a href="https://ecodb.net/ranking/imf_bca.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">諸外国との収支比較</a><br>世界の国際収支を見ると、2020年の1位は中国で2,740億米ドル。2位はドイツで2,670億米ドル。日本は1,644億米ドルで、第3位につけています。4位に台湾、5位に韓国が入り、トップ5中4か国がアジアが占め、アジアの経済力の強さが浮き彫りになりました。<br>一方のアメリカは6,161億米ドルの赤字で、193か国中最下位。192位のイギリスのおよそ6倍の経常赤字を計上しており、世界最大の貿易赤字国の地位を不動のものにしています。<br>ただし、アメリカはGDP成長率が2%台と堅調に推移しており、国内需要が絶好調。多くのモノを必要とするアメリカ国内経済を支えるために、膨大な輸入が必要という側面もあります。</p><h2 id="h76ce952876">国際収支はなぜ重要なのか？</h2><p>国際収支を通じて得られる対外取引状況の数字からは、日本の世界における立ち位置を見ることができます。また国際収支とあらゆる指標との関係を知ることで、国際収支から今後の経済の動向を予測することも可能です。</p><h3 id="h3fd0054c0c">国の経済活動の状況を表している</h3><p>国際収支は、国が海外との貿易でどのような取引をしているのかを明確に表す指標です。国際収支を分析すれば、国が何を収入源として、どんな経済を展開しているのかを見ることができます。<br>日本は長らく”モノ作り大国・日本”として、製品の輸出が外貨の稼ぎ頭でした。しかし近年では貿易収支は赤字となり、貿易大国の姿は鳴りを潜めています。一方で経常収支を押し上げているのが、投資や第一次所得です。対外経済取引の主役がモノから人、カネへとシフトしている現状から、日本が投資立国、人材立国としての立場を強めていることがうかがえます。</p><h3 id="he1f78e6da4">国際収支と為替相場は深い関係</h3><p>国際収支の動きは、為替相場と深い関係を持っています。<br>例として、日本からアメリカへの輸出を増やした場合、アメリカからの代金受取により、経常収支は黒字側に振れる動きを見せます。その代金はドルで受け取っているため、代金を受け取った企業はドルで円を買う動きが生まれるため、円の価値が上がり円高ドル安に振れる要因となります。<br>反対にアメリカからの輸入が増えた場合には、アメリカ側で日本円が売られてドルが買われるため、円安ドル高の傾向が強まります。</p><h3 id="hacdef3b63a">国際収支と貿易摩擦の関係</h3><p>貿易摩擦は、貿易黒字国と赤字国の間で起きる貿易上の衝突のこと。輸入される製品が国産品と競合し、国内の生産者が職を失うリスクが生まれます。輸入国側の消費者とすれば、商品の選択肢が増えるため安価な商品の輸入は歓迎したい面もありますが、職を失った生産者の業態転換が簡単ではないため、国は生産者や作業を保護するために輸入制限や高い関税をかける場合もあります。<br>輸入制限や関税がかけられると、輸出側はそれまで通りに売れなくなるため、国際収支に大きなダメージを受けることになります。そのため輸出側は輸入を再開してもらえるように働きかけますが、その折り合いが上手くつかない場合、国家間の対立を招く恐れもあります。</p><h2 id="ha214098e44">まとめ</h2><p>国際収支からは、世界経済において現在の日本がどのような立ち位置にいるかが見えてきます。国際収支の構成を見れば、各国とどのような関係を築いているのか、日本は何を売りにして生きていく国なのかといった実態が見えてくるでしょう。</p>

国際収支は、日本と海外の資金のやり取りを表します。経済を回している資金が日本に入っているのかを把握できます。