会計クイズとは、企業のビジネスモデルと財務数値を結びつけるトレーニングができるコンテンツです。
今回は小売業である「ニトリHD」「ウエルシアHD」「MonotaRO」の3社のROE比較問題です。
クイズを通じて、分析力やビジネスリテラシーを身に付けましょう!
会計クイズ:登場企業紹介
最初に今回の登場企業の紹介です。
・ニトリHD
・ウエルシアHD
・MonotaRO
この3社は、小売業を展開している企業です。
同じ小売業ですが、それぞれビジネスモデルに違いがあります。
ニトリHD:事業内容と特徴
ニトリHDは、家具やインテリア用品の製造販売をしている会社です。
プライベートブランドの家具を消費者に店舗で販売しています。
店舗数は約700店舗あります。
ウエルシアHD:事業内容と特徴
ウエルシアHDは、調剤薬局併設型ドラッグストアチェーンを運営している会社です。
医薬品や化粧品、食品などを消費者に店舗で販売しています。
店舗数は約2,000店舗あります。
MonotaRO:事業内容と特徴
MonotaROはオフィス用品や工具などを扱っている通信販売会社です。
主に中小企業向けに、工場用間接資材をインターネットを通じて販売しています。
同じ小売業という共通点を持つ3社ですが、扱っている商品や販売チャネルが異なります。
商品や販売チャネルが違うことでROEの構成要素がどのように変わるかを考えてみてください!
会計クイズ:問題
小売業を展開する「ニトリHD」、「ウエルシアHD」、「MonotaRO」3社のROEのうち、ニトリHDのROEはどれかを予想してみてください。
このクイズの解答は...
(下記のボタンを押して回答できます)
選択肢①
選択肢②
選択肢➂
会計クイズ:正解の発表
正解は選択肢③がニトリHDのROEでした。
お付き合い頂き、ありがとうございます。
それでは、会計クイズの解説に移ります。
まずは、3社の相違点を比較してみましょう。
3社のビジネスモデルの整理と違い
今回の3社のうち、ニトリHDのみ「製造物流小売」というビジネスモデルを展開しているのに対して、ウエルシアHDとMonotaROは仕入販売を展開しています。
ニトリホールディングスの事業内容
ニトリは一般的な小売業とは異なり、製造から物流、販売までを自社で保有しています。
そのため、サプライチェーン全体を自社で最適化できます。
製販一体でマージンが取られないため、他の小売業よりも原価率が低くなりやすいです。
しかし、物流まで自社で抱えて積極的にコスト削減を行っているため、高い利益率を実現しています。
貸借対照表にも特徴が現れています。
ニトリHDは店舗だけでなく、製造工場や物流設備を保有しているため固定資産が大きい傾向があります。
ウエルシアホールディングスの事業内容
ドラッグストアを運営するウエルシアHDは仕入販売のため、原価率は高い傾向にあります。
ドラッグストアは人件費や賃料などの店舗運営費がかかるため、利益率は非常に小さくなります。
MonotaROの事業内容
MonotaROもウエルシアHD同様、仕入販売のため原価率は高い傾向にあります。
一方、通信販売は販管費があまりかからないため、ウエルシアHDより利益率は高くなります。
ウエルシアとMonotaROの貸借対照表
仕入販売2社の貸借対照表も確認します。
ウエルシアHDは店舗にかかる固定資産、MonotaROは物流センターにかかる固定資産が計上されています。
しかし、製造物流小売のニトリHDと比べるとそこまで大きくはなりません。
3社の総資産回転率
結果、製造物流小売のニトリHDは、仕入販売の2社よりも総資産回転率が小さくなりやすい傾向にあります。
これはニトリが製造、物流、小売を自社で展開しており、固定資産を多く保有していることが要因です。
このように製造物流小売のニトリHDは、総資産回転率という視点で見ると、効率性が低くなってしまいます。
そのため、ニトリは、決算資料で主要な経営指標の目標数値と実績を開示しています。
貸借対照表や損益計算書からでは読み取れない経営指標を開示することで、自社の「効率性」をアピールしています。
まとめ
今回は小売業を展開する3社のビジネスモデルの特徴をROEという視点から解説しました。
決算数値を見ることで、身近に使用しているサービスの実態を読み取ることができます。
以上、正解は選択肢③がニトリHDでした。
以上、お付き合いいただきありがとうございました。
決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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